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 バングラデシュの首都ダッカで1日午後9時(日本時間2日午前0時)ごろ、レストランに武装した男らが侵入し、日本人を含む客ら30人余を人質に立てこもった事件で、菅義偉官房長官は2日夜、日本人7人が死亡したと発表した。日本人1人は救出された。バングラデシュ治安当局によると、20人が死亡し、多くは外国人だという。

 菅官房長官によると、日本人で犠牲となったのは、男性5人、女性2人。いずれも国際協力機構(JICA)のプロジェクトに関わっていたという。

 一方、救出された1人は、建設コンサルタント会社「アルメックVPI」(東京都新宿区)に所属する40代の男性、渡辺玉興(たまおき)さん。同社が明らかにした。日本人男女8人で食事中のところを襲撃された。

 菅官房長官は一方で、8人以外で巻き込まれた日本人はいない、との見方を示している。

 JICAによると、日本人8人は、いずれもコンサルタント会社に所属し、交通インフラ事業に携わっていたという。コンサル会社は「アルメックVPI」のほか、「オリエンタルコンサルタンツグローバル」(同渋谷区)、「片平エンジニアリング・インターナショナル」(同中央区)。

 JICAは発生の1時間後に現地事務所が事件を把握。職員らの無事は確認できたが、その後、コンサルタント会社の社員らで安否が確認できない人がいることが分かった。

 犯人らは1日夜、レストランに侵入すると、「神は偉大なり」とアラビア語で叫んで発砲。外国人らを人質に立てこもった。駆けつけた治安部隊が攻撃を受け、隊員ら2人が死亡した。当局は、夜明けを待って2日午前7時40分ごろ突入した。作戦終了後、立てこもり犯6人を射殺し、日本人1人を含む人質13人を救出したと発表した。

 ロイター通信がイタリア政府の情報として伝えたところによると、亡くなった20人のうち9人がイタリア人。さらにイタリア人1人の安否がわからないという。バングラデシュ軍の報道官は、「犠牲者の多くは、とがった武器で殺害された」と述べ、刃物で刺された可能性を示唆した。

 事件を巡っては過激派組織「イスラム国」(IS)系メディアが「外国人を含む24人を殺害した」などと伝えたが、バングラデシュ当局や米国務省は「確認できない」としている。(都留悦史、五十嵐誠=ダッカ、塩入彩)