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第百三十五話:(蛆蛞蝓外伝)天獄に到達した蛆蛞蝓(4)
◆一つ目:蛆蛞蝓
◆二つ目:ゴリフリーテ
◆三つ目:蛆蛞蝓
◆
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄あぁぁぁぁぁぁ」
こちらに向かってくるモンスターに対して、蛆蛞蝓ちゃんラッシュをお見舞いしてあげる。この瀬理奈様の大人用人型模型・・・ワンオフ機だけあって、性能は恐ろしく高い。それに加えて、指先に穴を開けて私の触手を伸ばしているから、遺伝子情報の書き換えも出来ちゃう!!
さぁ、どんどんかかってらっしゃい!!
「蛆蛞蝓ちゃんすごーーい!! でも、僕達だって、結構やれるんですよ」
ヴォンヴォン
イヤレス様が『水』の魔法の身体能力強化に加え、敵モンスターに対しての弱体化・・・更には、『風』の魔法による先制攻撃。魔法の同時運用は勿論、瀬理奈様から直伝された○イトセイバーの使い方は見事です。
ランクDモンスターのバランオークの攻撃を先読み、回避と同時に複数の急所を攻撃して撃沈させている。流石は、ゴリフリーナ様とゴリフリーテ様のご姉弟です。戦闘に関するセンスは、光る物があります。
「ランクDのモンスターがお話にならないレベルとは・・・」
「お姉様達には、止められていましたが・・・僕達だって、自己鍛錬を怠っていませんからね」
「だよね~。それにしても本当に良かった。僕達って顔が売れているから『筋肉教団』で依頼をだすと、それこそ血みどろの戦いがその場で起こって死傷者が出るほどなんですよ」
まぁ、今でも依頼とは全く関係無しに後ろから善意で護衛をしてくれている多数の冒険者達がおります。少しでも、ミルア様やイヤレス様にお近づきになりたい。そのためならば、お金を払ってでも護衛を引き受けたいと言う人達なのでしょうかね。
それに、駄目猫さんの魔の手から私達を守ってあげたいという真摯な人達も沢山!! 私が手を振ると、こっちに手を振り替えしてくれる男性達。
「駄目猫様も役に立ちますね。『筋肉教団』に依頼をした時は、その場で殺し合いが起こるとと思いましたが・・・駄目猫様が、それ私のだからと一言いっただけで、その場に居た冒険者が建物から逃げ出しましたからね」
しかし、駄目猫さんと相打ちしてでも、私達を助けようとする紳士淑女も居たので・・・この私が、双方を守るために、冒険者達にちょっと絶望的な死のイメージを乗せた魔力を送った。当然、駄目猫さんに隠れて送ったので、相手にしてみれば駄目猫さんから発せられたと思うでしょう。
生きながらバラバラにされ、体を作り替えられ、何度の復元され、そういったイメージを延々と送りつけた。そのお陰で、誰も死者が出ていないんです。これもこの私が淑女だから出来る技です。
「じゃぁ、そろそろ帰りましょうよ!! ヴァーミリオン王家のお二人を迷宮に連れて行っただけでも不味いのに・・・万が一怪我でもさせたら本当に私殺されちゃうって!!」
「大丈夫ですよ。僕達は、死なないから」
「そうそう、死ぬのはタルトさんだけですよ」
絶対零度のイヤレス様の視線。至宝と言われるほどのお二人から、こんな視線を送られるなんて、駄目猫さんは役得ですね。ほら、後ろで善意で護衛をしてくれている人達がなにやら悦に浸っている。
恐ろしや。
「まぁ、首から上さえあれば復元してあげますよ。ヴォルドー領の技術力は、世界一ですよ」
「またまた、そんな事をアイリ様・・・・・・・・・で、今朝から気になっていたんですけど、なぜ、そんなにお腹が膨れているんですか?」
ふっふっふ、ようやく、その質問をしてくれましたか。
チラ
イヤレス様とミルア様を見た。すると、任せて!! と熱いアイコンタクトが完了した。
「えっ!? なにって、タルト様とアイリ様との子供ですよ」
「ミルア様・・・そんな馬鹿な事が有るはずありませんよ。昨日まで、そんな気配すら無かったじゃありませんか」
「じゃあ、タルト様は、昨晩の事は何も覚えていないんですか?」
「そ、そんな駄目猫様・・・私とはお遊びだったんですね。昨晩あんな事をしたのに」
外に出たら、暴徒に殺されかねないと駄目猫さんが駄々をこねたので昨日は王宮に泊めて貰った。当然!! 何かあったらいけないと思い、お風呂も一緒に入り、晩ご飯を一緒に食べて、一緒のお布団で寝ました。
まぁ、覚えてないでしょうけどね!!
「・・・・・・・・・あれ!? 晩ご飯を食べた後からの記憶が無いんだけど!? 」
「それは大変ですね。でも、朝方の記憶はありますよね?」
「あ、うん・・・なぜか、下着姿のアイリ様がよ・・・こに・・・あれ?なんで!? それに、私も何故か裸だった気が!?」
そりゃ、服を着たままだったら、解剖したら汚れるじゃありませんか。駄目猫さんは、お父様の研究対象なのですから、良い機会でしたのですこーーし中身を見せて貰っただけです。大丈夫!! 元より綺麗にして戻しておいたから。新品ですよ・・・色々と。
まぁ、本人は知らない方がいい真実もあるので教えてあげませんけどね。一応、お父様からは、過去に駄目猫さんが「なんでもします」とお父様に言ったこともあるのでこの程度許容範囲だと仰っていた。
「アイリ様になんてことを!! 駄目猫様の鬼畜~」
「ほら、アイリ様こっちにおいでおいで、アイリ様のお子さんはこの僕達が守ってあげますからね。認知すらしないとか、屑の見本です」
シクシク
二人に泣きつく様をしっかりと後方の人達の目に焼き付ける!!
ちなみに、現在、お二人の杖がお腹の中にあるため、体積的にお腹の方に肉体がよっているだけなんですけどね。お二人の杖の解析率は13%と中々手強い。
「認知とかおかしいでしょう!! そもそも、アイリ様は女性でしょう。女同士で」
「子供くらい作れますよ。この私を誰だと思っているんですか?」
「いや、まぁ、レ・・・じゃなかった。あのお人が絡むと本当に何でもありですね。どうなっているんですか、ヴォルドー領」
間違ってお父様のお名前を出していたら、この私の蟲ゲノム術式を初めて亜人に対して使う事になっていた所でした。うーーん、それにしても上手に死亡フラグをさけますね。
やはり、お父様がいうように何かお持ちなのでしょうか。私にはそうは思えませんが・・・もっと調べなければ。
「二人とも早く次の階層にいくよ~時間は有限なんだよ」
「そうそう、早くしないと、来ちゃうから」
はいはーい、いまいきまーす。
駄目猫さんの手を引っ張り進む。ほら、自分の足で歩いてください。
◆
「なんてことを!!」
ズドン
王宮に激震が走るほど力を込めてテーブルを粉砕してしまった。だけど、それどころでは、ありません。まさか、ミルアとイヤレスが・・・迷宮に!?
あれほどモンスターソウルから遠ざけていたこの私達の努力を水の泡にさせようなど・・・どれほど愚かな行為か命で償って貰うしかありません。
「ゴリフリーナ!! 『筋肉教団』から情報を吐かせてきたわ。なんでも、迷宮でのレベリングの依頼を駄目猫が受諾したそうよ。蛆蛞蝓ちゃんも無理矢理つれてとのことよ」
「蛆蛞蝓ちゃんが側にいるということは、殺してもいいってことね」
「その通りね。鮮度の良い死体なら、直ぐに蘇生してくれるでしょう」
蛆蛞蝓ちゃんも家族なのだから言ってくれれば、黄金の杖と白銀の杖をいつでも提供したのに。ヴァーミリオン王家の秘宝ともいえる杖ですが・・・蛆蛞蝓ちゃんが『ウルオール』に貢献した度合いを考えれば、杖の一本や二本あげてもよいくらいです。
ペニシリンに加え、不治の病と言われた者達の治療、蟲系亜人、などあげればキリが無い程貢献しているのです。だから、ヴァーミリオン王家は蛆蛞蝓ちゃんに最大限の敬意を常に払っているのです。
ここ最近じゃ、『ウルオール』の貴族達全員に対してDNA検査をして血のつながりを判定する法律までできた。貴族達には義務として行い、国民は希望者のみDNA検査を行うことができる。国民の模範となるべく、貴族が断る理由はない。一部の女性達から批判の意見もありましたが、困ったものですね。
「ここから一番近い迷宮だと・・・『ガザーフ荒野』かしらね」
「えぇ、そこで間違いないわ。あの二人は目立ちますからね。外にでれば情報など筒抜けです」
「ただ、多数の冒険者も居るので表立って行動するとヴァーミリオン王家にいらぬ苦情が入る可能性もあります」
『筋肉教団』の元、世界が上手く周りつつあるのに、私達がそれを阻害したなんて悪評はよろしくない。
「はぁ~、厄介ね。ならば、お義母さまの武器庫から拝借してきたアレを使いましょう」
旦那様が考案し、お義母様が形にした。対『闇』の使い手を想定した武器。まさか、たかが猫一匹を始末する為に使うことになるとは・・・栄誉なことですよ。
◆
ガキン
「むぅ~、アイリ様~このモンスター堅い!!」
ミルア様の攻撃でも決定打に及ばないモンスター。イヤレス様は、その様子を察して魔法ならばいけると判断したのでしょう。『火』の魔法で炙っております。
「ランクCで最高の堅さを誇るタートライトという動物系のモンスターです。まぁ、用は亀なんですけどね。殆ど動かないので放置するのが一番です」
「駄目猫様が実は博識だったことに驚きです」
「ならば、駄目猫様の常識をこの私の常識で覆したげましょう。ミルア様とイヤレス様は、攻撃の当て方がよろしく無いんですよ。そこら辺は、これからもっとお勉強しましょうね。では、この私が小指一本でタートライトを倒して見せましょう」
「いくらなんでも、あの方達じゃあるまいし素手でそのモンスターを倒せる人なんて・・・」
「その喧嘩買いましたわ!! では・・・」
チョン
小指の先から伸びている私の触手が触れた瞬間、蟲ゲノムを注入した。いかに外皮が分厚く鋼鉄並の強度があろうとも・・・この私の敵ではありません!!
「ググギャアガガガアァァァァ」
直ぐに変化が訪れて苦しみもがくタートライト。 横っ腹からカマキリみたいな鎌が飛び出て、足も更に生えてきた。そして目玉は蟲系として外せない複眼に入れ替わりつつある。
「ブゥゥゥ!! アイリ様!! 一体何をしたんですか!? 」
「ちょっと、体の構造を弄って動物系モンスターから蟲系モンスターに種族転換する私だけの術式を施しました。残念ながら今まで成功例はありませんけど・・・それも間もなく終わりを迎えます!! お腹の中の子の解析率が100%になった時、この私は更に高みに登るのです。待っていてくださいねお父様~、必ずお父様にふさわしい力を手に入れて戻ります」
駄目猫さんが青い顔をして後ずさりしている。大丈夫ですよ。モンスター実験が成功していないのに、人体実験なんてまだ先のことです。
そういえば、駄目猫さんって、お父様に「なんでもします」って過去に言いましたよね。要するに、私の実験にも協力してくれるってことですよね!! 亜人だけあって耐久力もあるし、高ランク冒険者!!
じゅるり
「あ、あの・・・あの、アイリ様。昨晩、私の記憶がないのって」
「な、なんだってぇぇぇぇ!! 駄目猫様が進化する!?」
「駄目猫様、ちょっとまってね。進化するところ、しっかり見届けるから」
「ふふ、さぁ、どうでしょうね。悪い子には、教えてあげません」
勘ぐりすぎですよ。この私が、成功していないと言ったじゃりませんか。まさか、記憶がないのは、この私の蟲ゲノム術式を食らって死んだからと思っているんでしょうかね。まぁ、面白いので教えてあげません。
普通に酔いつぶれていただけなのですけどね。
「もういやぁぁぁ~~!! 死ぬ本当に死んじゃう!! そうだわ!! これは夢なんだ。夢なら早く覚めないと・・・・・・そうだ、寝よう。寝て起きればきっと全て解決している」
ついに現実逃避を始めた。そして、寝袋を取り出して、木陰に寝に行った。こんな迷宮のど真ん中で寝られるようになっただけでも図太い神経をお持ちだ。
しかし、駄目猫さんという恐怖の対象がないと、後ろに居る沢山の冒険者がこちらに来てしまいそうですね。幸い、タルト様が側の木陰で寝ているのは、死角でみえていないでしょう。
「仕方有りません。ここは、引率役の駄目猫さんが居ないと、後ろの冒険者が声を掛けてきそうなので・・・・この私が一肌脱ぎましょう!!」
お父様からは、この私の能力からできるだけ分身体を作成しないようにと言われております。ですが、後で合体するので今だけこの力を使う事をお許しください。
人型模型の中で体を二分割にする。そして、分体の方に駄目猫さんの遺伝子情報をダウンロードして、肉体を再現する。
ずぶり
「きゃーーー!! アイリ様の口から手が!!」
演出です!! 口から徐々に分体が外に出て行く・・・そして、外に出るタイミングで駄目猫さんの体を再現する。そうすることで、まるで他から見れば、この私の口から駄目猫が産まれてくるように見えるんです!! どうでしょう、すごいでしょう!!
ヌリヌリヌリスポン
「ふぅ~、これでお腹もへっこみました」
モモナ(駄目猫さんの肉体・・・まぁ、悪くはありませんね。ただ、ゴリヴィエ様ほど優れておりません。おっと、全裸ではイヤレス様とミルア様に失礼でした。外皮を変色させれば衣服を擬似的に再現することなど簡単です)
「す、すごい!! 何が凄いかわからない程すごーーい。蛆蛞蝓ちゃん?だよね」
「これぞ物理分身の術です。セリナ・アーツを極めれば誰でも出来るように!!」
イヤレス様がタルト(蟲)をさわり感触を確かめている。
なにやら、後方の冒険者達から驚きの声が聞こえてくる。「タルト副教祖が産まれた!? まさか、と、特別な属性なのか!?」「ば、化け物だ・・・」「い、今みたか!? あの美女の口からタルト副教祖が出ていたぞ」などなど、楽しいですね。
タルト様がこの場を離れて寝るのがいけないんです。私は悪くないですよ。
タルトが口から生まれる様子は、あれです・・・某忍者漫画の三人の一人大蛇○さんの様な感じ。
1話か2話で外伝も終わりになります。
今後の身の振り方を考えなければ・・・。
外伝ばかり続けてもアレなので
新作をやるしか無いか@@
例に漏れず、清く正しい!!
強くを助け弱気を・・・でいいんだよね。
力こそ正義!! 力なき正義は正義にあらず。

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