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愛すべき『蟲』と迷宮での日常 作者:マスター
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第八十六話:(瀬里奈外伝)聖母SERINA(2)

◆最後以外:瀬里奈さん
◆最後の一つ:囚われの美少年


 くっくっく、今度こそは成功間違いなしよ!!

 入念な調査の結果…あの山には、山賊がいる!! そして、そこにはテンプレの如く囚われの美少年がいるのよ!! いや~、前世じゃ山賊とか夢物語みたいな存在だったけど、本当に居るとは、驚きだわ。

 蛮族万歳!! 囚われの美少年万歳!!

ギィー(お母様!! やはり、あの山賊達…ギルドと業務提携しているようです)

ギギ『あら、やっぱりそうなの。山賊にしては、物資や装備が充実していると思っていたのよ。という事は、囚われた亜人達はギルドの変態達のところに送られるのね…うらやまけしからん!!』

 子供達からの調査結果を確認してみた。

 山賊達が根城にしている場所は、いくつもの出口が用意されている。そのうちの一つが少し離れた場所まで繋がっており、そこで所属不明の馬車が何度か確認された。その馬車に運び込まれた積荷は人間大の麻袋。中身までは、確認できなかったらしいけど…まぁ、想像の通りでしょうね。

 その後、子供達が馬車を追尾してみたら色々な場所を回った。一応、追跡されていないか警戒はしていたみたいだけど、モンスター相手に対人相手の警戒なんて無いようなものだ。数時間後、尾行していた馬車がギルド寮付近で停車して一人の男性が降車し、寮の中へと入っていったとの事だ。

ギギ(人が人を売る…モンスターより野蛮じゃありませんか。モンスターは同族同士じゃそんな事はしませんよ!! まぁ、牝を求めて殺し合う事はあったりもしますが、それは生存本能、故の事です)

ギーー(売る方も売る方ですが…それを買う方もけしからん!! )

 子供達の言う通りだ。美少年美少女は世界の財産!! それを違法な方法で手に入れようなど、ギルドが許してもこの瀬里奈が許しません!!

ギギッギ『囚われの美少年を助ける → キャー素敵 → 抱いて!! この展開に間違いはない!! さぁ、入念な計画を立てて世界の財産を救い出すわよ。皆!! お母さんの春の為に頑張るのよ』

 これ程までに熱い展開になれば種族の壁など些細な問題になるはず。

 今すぐにでも山賊達を成敗して、囚われの美少年達を助け出したい。だけど、こういう事をする腐った連中は万が一に備えての準備もしているでしょう。助けるはずが、逆に捕まっては話にならない。

 俗にいう高ランク冒険者と呼ばれる者が必ずいる。その対策をしてから救いに行きましょう。正面切って戦っても大抵の場合には負ける気はしないけど…よくある敗北のパターンは、数に押し負けるのが鉄板なのよ。

 万が一捕まったら、ウ=ス異本みたいな展開が!!

 となれば、まずは情報収集ね。敵の数から能力、行動パターンなど把握できる事は全て押さえてから行動するのよ。そして、確実に救い出すのよ!! あ~、後、山賊の中に美少年がいたら教えてね。個人的な指導をするから!!

………
……


 それから、四日の時間を要して山賊達の戦力分析が終わった。総数30名からなる山賊達。遠目で見た限りは、実力は決して高くはない。不意を突けば全員急所をワンパンで始末できる。

 唯一の問題は、美少年山賊がいな…じゃなかったわ。定期的に『風』の魔法で周囲警戒を行っている事だ。それに、引っかかると山賊が総出で襲ってくる。

ギギ『まぁ、そんな些細な事…私達には関係ないかしらね!! 気配察知などできない状況をつくり、各個撃破するまでよ』

 最小限の努力で最大の成果を求める。これぞ日本人!!

ギー(準備万端です!! 何時でも山に火を放てます!!)

 よろしい!! 山火事を見る為に山賊達が洞窟を出た瞬間に入口を崩落させる。これで中と外を完全に分断する。

 当然、時間稼ぎにしかならないがそれで十分。外にいる山賊どもを始末したら、事前に掘っておいた地下通路を通じで内部に侵入。そして、中に残った少ない山賊を一網打尽にする。最後は、入ってきた地下通路から捕まった美少年達を連れ出す!!

 待っていてね!! 未来のハーレム要員達~、瀬里奈が助けてあげるからね~。

ギッギーー『それでは、火を放ちなさい!! 周辺に住人がいないのは確認済みよ。派手にやっちゃいなさい』

ギィ(あいあいさ~)

 山賊達が住む山に火の手が上がる。枯れ木や枯葉など燃える物の準備も万全。山火事を起こす事で多少の問題は出るだろうが、全て山賊のせいにするわ!! なに、モンスターが火を扱う事例など数少ない、だから安心。

 そして、暫くして根城にしている洞窟から這い出てきた。燃え盛る炎と煙を確認しに来たのだろう…馬鹿め!! その瞬間、子供達が入口を崩落させた。

ギィ(作戦は順調に遂行中です。さぁ、お母様ズバーーってどうぞ)

 何が起こったのか理解出来ない内に、畳み掛ける!!

 腐れ外道に生きる価値なし!! 一撃で葬ってくれるわ。

ギッギ『シールドブーーメラン!!』

 投げたら最後…自分で拾いに行かないといけないシールドを投擲する。熊ですら真っ二つにする威力だ。人間を2、3人纏めて分解するのは余裕の威力!! 全力の投擲は、心地よい風きり音と共に山賊達を真っ二つにしていった。

ギィ(真横からの投擲だとは言え、一発で5人も…流石お母様!! )

 まだよ!! まだこんなもんじゃないわよ!! 一撃で片がつくなんて最初から思っていないわ。当然、第二は第三の攻撃準備もしてきている。この日の為に用意した木製の槍50本!! 一本投げるのに1秒掛かるとしたら投げ終わるまで50秒もかかる。だけど、手が四本あれば10秒ちょっとで投げ終わる。

ギッギギギギギ『誰ひとりとて逃がしません!! あたたたたたたたたたぁぁぁぁぁぁぁ』

 単騎でランクB認定される蟻が本気で投擲する槍の雨…薄い鉄板なんて貫く威力だ。雨のように降り注ぐ槍に一人、また一人と串刺しにされていく。

 勘の良い者は、仲間を盾にして逃げ出したが…夜の山中で私の子供から逃げられると思わないコトよ!! 夜目は利かないけど、今日に限って言えば山火事で明るいのよ!!

ギッギ『ふぅ、これで全部投擲終わり…生き残りは?』

ギーー(今、西に逃げた二人が10匹と交戦中…あっ、今終わったようです)

 外は片付いたわ。後は中ね。



 作戦は、すべて予定通りにうまく行っている。

 洞窟内部に残っている山賊は10人程度…しかも、ここが襲われるなど全く考えていない様子だ。てっきり、色々と準備されているものだと思ったけど、誰も攻めてこないとなると警戒心も薄れるという事かしらね。

 人質の救出も良いが、先に残った連中を始末するべく気配を辿っていった。

ギー『まぁ、予想の範疇内だけど…胸糞悪いわね。同じ女性として』

 山賊達に攫われた者達の末路なんて分かりきっていたが、現実を目の当たりにすると気分が悪いわね。オークなどの種族は、他種族の牝をさらう事はあるが…それは種族存続の為である。同じモンスターとして、理解はできる行為だ。

 しかし、これは違う!!

 山賊達に囚われた女性達は、可哀想な事に慰み者にされている。目には、生気がなく私が牢の前を通っても反応すら示さない。

「おーーい、外で何があったんだ? さっさと、戻って来いよ。俺一人じゃ白けるだろう。おっ、なんだ戻ってきてんじゃんか。外でな…に…がぁ」

 半裸に近い男が一人、無警戒でこちらに近づいてきた。頭に犬耳みたいなのがある事から亜人なのだろう。亜人が亜人を売る。

 同情の余地などないわね!!

 ズバン

 こちらを見て唖然としている隙に手に持っているシミターで首を跳ねた。

 勢いよく血が吹き出る。少々汚れてしまうが仕方あるまい。まだ、山賊は残っているのだ…叫ぶ間すら与えない。無論、懺悔の時間なども与えない。この手の輩は、反省しないのはわかりきっている。

 そもそも、そんな反省するような輩は、こんな事をやらない。

ギィ『食事するのは後にしなさい。それより、次へ行くわよ』

………
……


 ズドン

 ブチブチブチ

 骨が砕き、肉を引きちぎる。この四本の手から繰り出される攻撃を凌げる者は居らず…一人、また一人とバラバラにしていった。仮に片手の攻撃を防げたとしても残り三本の手から繰り出される攻撃を防がないといけないのだ。

 弱いわ!! こんなにも弱いのに、何故誰もここに助けに来なかったのかしらね。一番強そうだったリーダー格ですら別働隊の子が天井を崩落させた隙を突いての強撃で終わった…まさに瞬殺であった。しかし、高ランクっぽかったので念には念をきれて首と胴をバラして、心臓を突いておいた。

 まれに、死んだふりで難を逃れようとする者もいるからね。

ギッギ『中にいる連中は、これで全部かしら。それじゃあ、捕らえられた美少年達を助けにいきましょう~』

 あぁ、一応使えそうな物資などはしっかりと持って帰るから、みんな厳選するのよ!!

 少し歩いて牢の前に戻ってきたけど…どうしようかしら。囚われている者は8人…女性が6人と男性が2人。身なりが綺麗な女性2人と男性2人は、どうやら何もされていないようだ。きっと、売る時に価値が下がるとか、どこかのお偉いさんのお子さんなのだろうか。

 だが、残り半数が悲惨だ。

 無事な子達は、元気に泣き叫んでいるというのに…ささぁ!! 今すぐこの牢を壊してあげるわ。そして、この瀬里奈の胸に飛び込んでいらっしゃい!!

 ベキベキベキ

 鉄製の檻を文字通り腕力のみで引き裂いた。

ギッギー『さぁ、いらっしゃい!! 遠慮なく、この瀬里奈の胸に飛び込んでいらっしゃい』

グバァァァァ

 満面の笑みを浮かべて、両手を広げた。さぁさぁ!! 少々血まみれなのは気にしちゃダメよ。男の子なんだから、細かい事はいいわよね。何故か、美少年美少女達の顔が青ざめる。あら、貧血かしら!? それは、いけないわ!!

 なにが問題だったのかしら。

 ふと、横を見てみると…。子供達がナイスタイミングで先ほど始末した山賊の頭を貪りながらこっちにやってきた。サッカーボールみたいに転がしながら。

ギギ(スジっぽいです。これなら、クマちゃんの方が美味しい)

 なんて事!! 折角、いい雰囲気だったのに台無しじゃない!! お母さんのハーレム計画を邪魔するなんて…今日の晩御飯は抜きよ。

「いやぁぁぁぁぁぁ!! だれか助けてぇぇぇ!! こっちに来ないでよ!!」

「死にたくない死にたくない死にたくない!!」

「あっちにいってよ化物!!」

 クズン

 慣れたとはいえ、化物の一言はココロに来るものがあるわ。私だって、好きでモンスターに生まれたわけじゃないのに。まぁ、大人だから、許しちゃうわ。

ギィィ(お母様になんて事を!! 食べちゃいますよ)

 子供達が一斉に牙を向ける。

ギギ『落ち着きなさい。そのくらい想定の範囲内よ。そうね、とりあえず落ち着かせましょう』

 美少年に近づき…壁に追い立てる。そして、気合を入れて…壁ドーーーーーン!!

 ズゥドン!!

 石の壁が文字通り砕け散った。

 美少年相手に一度はやってみたかった事、それは【壁ドン!!】。しかし、ちょっと効果音がいまいちよね。ドンというよりズドン…。

ギッギ『リテイクいいかしら?』

ギーー(アンコール、アンコール)

 では、子供達のアンコールに応えて再度、壁ドーーーン!!

ドゥォーーーーン

 良い感じの振動が洞窟内に響いた。そのおかげで、今まで騒いでいた子達も静まり返った。壁ドンには、精神安定の効果があったとは知らなかったわ。今度から活用しようかしらね。

ギギ(お母様、とりあえず牢屋を全部開けておきました。…どうします?)

ギギ『どうしますも何も連れて行かないとギルドの犬達が来て、売られちゃうわ。当然、全員連れてここを出て行くわよ。そうね、元気な子達は歩いて付いてこさせましょう。ダメな子は担いでいくわ』

 本来目的であった美少年との熱い抱擁には、失敗したけど。まだチャンスはあるわ。とりあえず、未来の美少年誕生の為にこの子達を世に解放しなくちゃ。

 来た道を戻って、町の近くまで案内してあげればいいでしょう。川に沿って下れば町に出られるのは確認済み。それに、この山火事を見て人も来ているでしょうからね。数時間も歩けば、町が見える場所までいけるわ。

 子供達に使える物資を持たせて先に行かせる。

 たとえ、言葉が通じなくても手招きなどの簡単なジェスチャーは理解できるでしょう。それに、こちらは言葉が分かるのだ。相手に合わせて頷くだけで、警戒心は薄れてくれるはず。

「わ、私達を呼んでいるの?」

 コクンコクン

ギギ『そうよ。ほら、ここに残っていたら悪い人に捕まっちゃうわよ』

「山賊の次はモンスターに捕まるとか俺は嫌だぞ!!」

「で、でも…ここにいたら」

 近くでひどい目に遭っていた女性を見て顔が引きつっている。

 半ば生きる屍となっている女性四人を担いだ。流石に、全裸では悪いと思ったので、綺麗とはいえないが、近くにあった布で身体を覆った。

ギッギギ『言葉が通じないのは不便よね。一応、敵対心が無いことは伝わっているみたいだけど』

 再び、手招きして呼び寄せる。

「わ、私はついて行くわ」

「本当に行くの!? ここにいたらお父様達が…」

「俺もついて行く。こんな場所にいても助かるかわからない。人身売買を行う組織なんて、相当ヤバイ」

「そうだな。良くて終身刑、悪くて死罪…身分問わずに。それを行っている山賊なんて普通じゃない」

 あら、この世界じゃ人身売買が禁止されているようね。それも、重罪のようだわ。そうなると、ギルドという組織は相当大規模のようね。こんなちっぽけな山賊なんて氷山の一角かしらね。

 囚われた美少年達も話が纏まったようだ。

 距離をとりつつ後を付いてくる…。それで十分だわ。



 それから、侵入に使った地下通路から無事に脱出して、川に沿って下流へと下っている。

 山賊達から奪ってきた物資で使えそう衣服や装備を幾つか美少年達に提供した。丸腰でモンスターである私の後をついてくるなど心許ないでしょう。それに、鉄製の武器程度じゃ、私の肌に傷一つ付けられないから渡しても問題はないわ。

「ねぇ…あのモンスター、やっぱり私達の言葉理解しているんじゃない」

「たぶんそうだろう。最上位のモンスターは、言葉を理解していると本で読んだ事がある」

ギィー『そうなの。知性の高いモンスターは、他にもいるのね』

「今、頷いたわよね。もしかして、貴方言葉を理解しているの?」

 何を今更…と思いつつ、頷いてみた。

「や、やっぱりそうなのね。これから、私達をどこに連れて行こうとしているの」

 あのね…相槌はうてるけど、言葉は通じないのよ!! せめて、YesかNoで回答できる事を聞いて欲しいわ。

ギィ(お母様、この子おバカちゃんです)

「今、なんか馬鹿にされたような気がしたわ」

 その通りなんだけど、無駄なところは鋭いわね。

ギーー(お母様~、町から人がやって来ましたよ~。冒険者と一般人っぽい人達です。一部の人が先行していて間もなく接触します)

 先行偵察に出していた子供達が帰ってきた。山火事を見て様子見に来たのだろう。予定通りだ。

 さて、この状況をみて町からやって来た者達が私をどのように扱うか…うん!! 最終的には間違いなく、ギルドの標本行きになるわね。

 となれば、担いできた少女達を下ろして、美少年達に食料などを分け与える。まぁ、この辺には強いモンスターもいないから大丈夫でしょう。幸い、町から人も近づいてきているので死ぬ事はないはず。

ギィーーイ『私が案内できるのはここまでよ。あっちに町から人が来ているから拾ってもらいなさい』

「蟻さん、どうしたんですか? こんな場所で、置いていかれても…」

「たぶんだけど…この山火事を見て誰かが来ているんじゃないかしら」

 頷く。

「あ、あの!! ありがとうございました。本当なら、両親に話してちゃんとお礼を伝えたいんですが…信じてもらえないでしょうし、早めに逃げてください」

 あら、この美少年頭の回りが早くていい子ね!! 頭をポンポンしてあげるわ。ナデポスキル発動しないかしら。

 今がチャンスよ!! 早く、ナデポスキルをこの私に授けなさい!! 誰でもいいわ!! 今なら、この瀬里奈が信仰してあげるわ。

………
……


「蟻さん!! 化物なんて言ってごめんなさい。元気で」

ギギィ『クズン…いい子達じゃない。みんな元気で帰るのよ!! そして、世界に沢山の美少年を送り出すのよ!! この瀬里奈とのお約束だからね』

ギッ(言葉が通じないから、良かったけど…最後の一言はちょっとね)

 感動のお別れをして、颯爽とその場を立ち去る。美少年達に幸あれ!!




 まるで夢物語に出てくるような蟻のモンスターと別れて直ぐに、二人組の男性がやって来た。相当、急いでいたようでカラダのあちこちが汚れている。

「いや~、無事で良かった。安心したまえ、私達は君達を保護しに来たのだよ」

 ギルドの制服に身を包んだ一人の男が、こちらを見て安堵の表情を浮かべた。もう一人は、背格好から察するに冒険者だ。冒険者の方は、若干雰囲気が悪いがそういうものなのだろう。

「これで全員か? 他に助かった者はいるかな?」

 山火事をみて急いで助けに来てくれたのだろう。ギルドは、金の亡者だと父が嫌っていたが、存外そうでもないと思った。こうして、率先して人助けに来てくれるのだ。将来、懇意にしても良いと思う。

「これで全員です。もしかして、お父様がギルドに依頼を?」

「全員ですか…なら、良かった。証拠隠滅だ――殺れ」

「報酬は、弾んでもらいますよ」

 …えっ!?

 この場にいる全員が状況を理解するのに、一呼吸かかった。助けに来てくれたと思ったギルド職員の口から『殺れ』の一言。そして、冒険者からは『報酬の話』。

 逃げ切れる筈がない。高ランク冒険者の身体能力は、常人とは一線を画す。そんな相手から逃げる事など不可能だ。

「山火事で死体が見つかると、せいぜい苦しんで死になあぁぁぁ・・・」

 ズドン

 冒険者が魔法を放つ瞬間、円盤のような物が恐ろしい速さで冒険者を貫いた。地面には、蟻さんが持っていた丸い盾が突き刺さっている。その凄まじい威力で、人間を真っ二つにしても地面に突き刺さった状態で回転を続けている。

「これは、蟻さんの!!」

「ば、ばかぁ…一体どこから!! 向こうでなにが――グォヴ」

 次の瞬間には、ギルド職員の胸に槍が刺さっていた。

 あまりの出来事でなにがなんだか理解が追いつかない。だが、一番重要な事はしっかりと分かった。

 山賊に捕まる。モンスターに助けられる。そして…ギルド職員と冒険者が殺しにくる。これから導き出される答えは、ギルドが人身売買に携わっているという事だ。一瞬でもギルドに対して良い感情をもった自分が愚かで泣きたくなった。

「蟻さんが、また私達を助けてくれた」

「ありがとうございます蟻さん」

「蟻さん…この御恩はいつの日か。だけど、その前に帰ったらギルドに対して、ちょーーーっと抗議をしないといけないわ」

「その仲間に僕も混ぜてもらっていいかな。後、出来る事ならこの者達も介抱してやりたい」

 生き残った数少ない仲間。必ず助ける!!

 そして、ギルドから受けたこの屈辱…必ず果たす。

 しかし…あの蟻さんは何者だったのだろう。盾と槍を回収にきたら、再度お礼を言いたかったのだが、この武器を取りに来る気配がない。どうやら、遠くに行ってしまったのだろう。

「この盾と槍は、いつかお返し致します。それまでは、大事に預かっておきます」

 盾の裏側には、『Made in SERINA』と掘られていたが誰も読む事は出来なかった。
瀬里奈外伝は、これにて終了です(´・ω・`)

さて、次回はヒャッハー戦争だ!! 既に、次話分の執筆も終わっているのでゆっくり添削ヽ(´▽`)/

PS:
来週は、『小説家になろう公式生放送』を見学しに現地に逝ってくるよ。文字通り、逝ってくる。
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