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第三十二話:ゴリフ爆誕(3)
◆一つ目:ゴリヴィエ
◆二つ目:タルト
心地よい日差しと絹芋虫の香りに包まれて、最高に心地よい朝を迎えようとした時に外から乙女の…タルトの悲鳴が木霊した。
「イヤアアアァァァァァァァーーーー」
一瞬、モンスターに襲われたかと思ったが、蟲達が厳重に警戒網を掻い潜って来られるかと言われれば不可能に近い。蟲達が死んだ気配もないし、一体何が起こったのか理解に悩む。
朝から騒がしい猫耳だな…。窓から外を見てみるとタルトが半ケツのままテントに駆け込むのが見えた。
………女性としてあれは、どうなのよ。もうちょっと、恥じらいとかそういうのを持った方がいいと思うんだけどね。まぁ、見なかった事にしておこう。それが紳士というものさ。
二度寝という最高の贅沢もありだが、迷宮に居るので自重してシャワーでも浴び眠気を飛ばそう。
………
……
…
蝗に卵、そして今朝方に蟲達が発見した蜂の巣を襲撃して手に入れたハチミツと蜂の子。蜂の子達は、食べる分を残して全員影に放り込んでお仲間になるように魔力にどっぷり漬け込んでいる。
ムシャムシャ
迷宮では、栄養価が偏りがちだが…私には全くの無縁である。常に新鮮、栄養価抜群。ゴリヴィエ達にお裾分けしてあげてもいいのだが、あまり施しを与え過ぎるのも考えものであろう。
今後は、基本的に二人で迷宮に潜る事になるのだ。故に、現状が普通だと思われてしまうと後々に支障をきたす可能性がある。
「レイア様、少しお話が…今、よろしいでしょうか?」
ゴリヴィエとタルトが訪ねてきたので中に招き入れた。
「食事中なので、食べながら失礼するよ。何用かな?」
女性陣営の視線が、私の食卓に並んでいる蜂の巣に視線が集中している。ふむ…そんな視線で見られると分けない私が悪者に見えるじゃないか。
「実は、今朝方に悲鳴を上げた件でちょっと伺いたい事がありまして…あの卵ってもしかしなくても」
「無論、蟲を改良して作り上げた特別製だ。体内で孵化して、体内の老廃物を食料として最終的に蟲自体が主の老廃物として排出される。その間、宿主の身体能力を強化するという嬉しい副作用付きの可愛い子だが…何か、粗相でも?」
「ほら、言った通りじゃないタルト。私だって今朝方同じ体験しましたが、別に驚かなかったですよ。体内で蟲が移動しているのが分かりましたからね。それにしても、身体能力まで強化してくれるとは嬉しい限りですね。あ、今日も卵を頂いてもよろしいですか?」
やはり、理解ある者には分かって貰えるのだ。この卵がどれだけ有用性が高いものであるかを。軽いし、持ち運びしやすい、栄養も抜群、更に身体能力まで強化されるのだ…人気が出て当然の商品のはずなんだけどね。
「ううう、素晴らしい商品なのですが…何か違う。せめて、一言だけでも蟲が出てくるって教えてくださいよ。私、本気で驚いたんですからね!! もう、人生でこれ以上無いくらいに!!」
「それは、失礼したね。まぁ、お詫びの代わりに蟲達が今朝方取ってきた蜂の巣を分けてあげよう」
「ハチミツ…じゅるり。卵なんですもんね。丸呑みしたら、体内で孵化する事もありますよね。あ、私…蜂の子はいらないので、蜜と甘い部分だけ下さい」
手の平返しの速さに脱帽だ。タルトは、高ランク冒険者になれる素養が高いと見える。ゴリヴィエもタルトの手の平返しの速さに若干、脱帽している。
蟲に蜂の巣を切り分けさせて、二人に分け与えた。
「うちのタルトが、本当にすみません。何から何まで…あ、これ美味しいですね。蜂の子は生だと少々厳しいので、後で炒めて食べますね」
「気に入って貰えて何よりだ。それと、君等二人の新しい防具が出来ているから持っていくといい」
壁にかかっている、二人の防具を指さした。実戦向きに作っているので、ドレスとかスカートとかそんなオシャレはない。プロテクター入りのジーンズに、プロテクター入りの長袖だ。色が全く入っていなく、真っ白である。必要ならば、自分で染めさせる。
「予想以上に手触りがいいですね。それに、いい匂いがする」
タルトが新しい衣服に顔を埋めている。
手触りがいいのも、いい匂いがするのも当然だ。誰が作った作品だと心得ている。
「50層台の蟲達の外皮と糸で作り上げた衣服だ。鋼鉄製のフルアーマー並の防御力は約束しよう。更に、急所に使用している蟲の外皮はミスリル並の防御力を誇り一級品装備と遜色ない強度だ。軽いだけでなく通気性に優れており、汗をかいても直ぐに衣服が吸い取ってくれるだろう。後、臭い消しといってはアレだが…絹芋虫の糸を混ぜ込んでおり消臭効果も優れている」
「私が使っていた防具より遥かに性能がいい。レイア様…これ、一式を買うとすれば幾らくらい掛かるのでしょうか?」
「50層台の蟲の糸が代用できる品があるか不明だが…重さと通気性を度外視にして、強度だけで同じ物を作った場合には7千万くらいだろう。そう考えると、この衣服一式で一億くらいになるんじゃないかな」
希少金属であるミスリルのお値段が高額だから仕方ないのである。
「ブッーーー!! た、高すぎますよ レイア様!! というか、冒険者より生産者になった方が遥かに儲かるのではありませんか!?」
「タルトの言うとおり金だけ稼ぐならばそうだろうね。だけどね、私はこういった防具を売り出す気は全くない。強すぎる武器防具が安定供給されると、色々と困るのだよ」
強すぎる防具を安定供給できるなど、恐ろしい話である。悪しき者の手に…具体的にはギルドの手に渡れば、碌でもない事に繋がるだろう。
「じゃあ、早速着替えてきますね。えーっと、こっちの手甲がついている方が私の方でよろしいでしょうか」
「そうだ、ゴリヴィエは素手だったからね。素手だと手を悪くすると思ってね。結婚前の身だ、無駄に傷つける事もあるまい。それとも、無用な心配だったかね」
「いえ、ありがとうございます!!」
ゴリヴィエがタルトを引っ張り、部屋から退出していった。まったく、騒がしい女性陣営だ。
◆
レイア様がご用意してくれた装備一式は、本当に素晴らしい物であった。今まで、身につけていた鋼鉄製の防具と比べてみても重さは1/5以下になり、動きやすくなっただけでなく、通気性も優れており快適、更に消臭効果も高まり汗の匂いなどまるでしない。
手甲についても、急所に使用されているミスリル並の強度を誇る蟲の外皮が使われており、モンスターの攻撃を防いでも傷一つ入らない。しかも、手首を一定角度以上に曲げると手甲の中から10cm程の刺が飛び出る仕様になっており、暗殺者向けの装備だ。
「ゴリヴィエ…弱体化の魔法は、消耗が激しいから敵全体ではなく関節部分に一点集中するなど使い分けをしろ」
「はい!! 分かりました」
レイア様からの指導により、モンスターの弱点や効率的に敵を殺す方法なども学ばせてもらった。レイア様特製の卵を服用する事で効率がよくなり、モンスターの破壊速度も向上し、まさに嬉しい限り。
冒険者としての力量、男性としての魅力、社会的な地位…どれをとっても世界有数の紳士。
これでレイア様に筋肉があれば言う事はないのだが・・・残念である。無論、筋肉質である事は、先日バスローブの隙間から覗けた肉体を見てわかっている。だが、求める筋肉は、もっと分厚い胸板なのである。理想で言えば、ゴリフリーナ様やゴリフリーテ様のような筋肉がレイア様にあれば求婚をしていたのに、残念なイケメンである。
むっ………若干、防具の胸周りがキツイので、夜にでもサイズ合わせをお願いしよう。
筋肉に飢えていたところに、モンスター業界でも筋肉質で有名なオーガ系のモンスターが現れた。太い腕、毛深い胸毛、分厚い胸筋、ごつい顎…腹筋はたるんでいるので好みではないが、レイア様がこんなご容姿ならばと思わずには居られない。
ジュルリ
全身から魔力が溢れる。迷宮下層に入り、倒したモンスターの数は100を超えた。疲れるどころか力が溢れてくるような感じがする。
100体という数は、6人パーティーが三週間潜って倒すモンスターの数に匹敵する。それを一人で処理したという事は、通常パーティーに比べて成長度は計り知れない。元々、才能豊かなエルフという種族であるだけでなく、ゴリヴィエ自身も才能が高い事が拍車を掛けて、恐ろしい程の速さで成長をしている。
まずは、『土』の魔法で足止めをする。その上で、上から順に骨をバラバラにしていこう。骨を外すのも折るのも自由自在…。オーガ系のモンスターの骨格は既に把握している。
「さぁ、貴方はどんな悲鳴を上げてくれるんですか」
ゴリヴィエが頬を赤らめながら、モンスターへ特攻していった。
◇
迷宮に入り早十日。
元々才能があると思っていたが、ここまでとはね…王家の血筋だけが影響しているかは定かでないが恐ろしいな。
モンスターが足を引きずって逃げるのを楽しそうに見ているあの顔は、エルフとしてどうかと思うけどね。仲間を呼ばせる為に意図的に叫ばせた後に、始末とか…本当に才能あるわ。
「で、タルト君は、ゴリヴィエ様の華麗な成長ぶりを見ている暇があるなら、さっさと刺し殺す!! 脇腹を刺しても死なないでしょう。ナイフは、こう持って使うんですよ」
ナイフを持つタルトの手に私の手を重ねて…拘束されているモンスターの脳天を突き刺し左右にかき混ぜた。
グチュグチュ
「いやー、レイア様お願いだから手を離してください。脳天を抉る感覚が直に伝わってくる!!」
苦しみの悲鳴を上げてモンスターが絶命する。
タルトには、ゴリヴィエと同ランクまで成長してもらわねばならないのだ。効率よく、始末してもらわねば困るでしょう。
「ほら、じゃんじゃん殺しなさい。私の可愛い子達が捕まえてきたモンスターが順番待ちをして行列が出来ていますよ」
既に30体近いモンスターが拘束されて死ぬ順番を待っている。
弱点も刺す場所も指示しているのに、手間取るとは…まだまだ成長が足りていないのか。もっと成長させねばいけないね。
「モンスターの悲鳴が耳から離れない!! だけど、信じられない程の超効率。あぁ、モンスターの目が助けてと言わんばかりで若干哀れに思えてきた」
「グダグダ言っている暇があるなら、さっさと殺せ。ガチで戦っているゴリヴィエより倒すのが遅い場合には、卵を食わせてドーピングしますよ。なんなら、脳内に蟲を寄生させてこちらで体を…」
その瞬間、タルトがやる気を出したのか、身体能力向上に加えてモンスターに対して弱体化をかけたのが分かった。
「ヒャッハー!! モンスターなんて何体いようとこのタルト様の敵ではないわ!!」
なんだ、やれば出来るじゃん。
タルトが何かにとり憑かれたかの如く、モンスターの脳味噌を抉っていった。そこまで卵を食べるのが嫌だと思われている事に若干ショックではあるが、結果オーライだ。
現在、迷宮40層…そこのモンスター達を食べまくる事で成長する二人の将来が楽しみである。
◆
40層を拠点にして早数日…これより下に潜るのは、まだ早いとの事と狩りやすいモンスターが多い事で拠点を構えている。なんでも、更に下の階層に行くには、毒に対する耐性を付けてからで無いと危ないとの事だ。
そして、毎日のようにレイア様が建てた小屋でシャワーを借りてしまい、もう以前に生活に戻れないかもしれない。
仕方がないと言い訳をしたい…だって、モンスターの体液で汚れた体を洗いたいと思う欲求は当然だ。なぜなら、タオルで拭いた程度ではモンスターの匂いが落ちないからだ。故に、レイア様にお願いしてシャワーを借りてしまうのは当然の帰結である。
先日、テントや寝袋が臭いので床でもいいのでレイア様の小屋で寝かせてもらえないかと言ったら「『男女7歳にして同衾せず』という言葉をご存知ですが? 結婚前の乙女が既婚者の男性の部屋に泊まりたいとは何事ですか…少しは、恥じらいという物を持ちなさい」と思いっきり諭されてしまった。
ゴリヴィエ様からも「タルト…同じ女性として恥ずかしいです。良いですか、ご厚意に甘えすぎてはなりません。シャワーだけでもお借り出来ているこの状況でも奇跡に近いのですよ」なども言われた。
………よくよく考えてみれば、その通りであった。
レイア様があまりに優しいので、レイア様であった事を忘れてしまいそうでいた。そうだ…レイア様は『モロド樹海』の最凶と言われている存在だ。本来、少しでも間違った対応をすればあの世に直行便を出してくれる究極の紳士なのだ。
「持ってきた食料も半分を切りそうですし、明日くらいから引き上げですかね」
「レイア様にお願いして、食料を分けてもらえば…後、一ヶ月くらい滞在出来るのではありませんか。タルト」
ぜ、絶対に嫌である。主食が蟲になる事など許しがたい。そりゃ、食べようと思えば食べられますよ。
慣れとは恐ろしい物でレイア様からの善意のお裾分けで何度か食卓に並んだ蝗。事実、食べてみれば、恐ろしい事に普通に食べられたのだ。味は…むしろ美味しい気がした。但し、見た目や悲鳴を上げる点がマイナスで可能ならば食べたくない。
それに、蟲食に忌避感が無くなってしまうと、失ってはいけない何かを失ってしまう気がしてならないんです。
ビリビリ
「レイア様のご都合も……あれ? ゴリヴィエ様、衣服が裂けて…」
ゴリヴィエ様の寝巻きが破けた。しかも、ただ破けたわけではない…ゴリヴィエ様が肥大化して破けたのだ。
「うあ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ゴリヴィエ様が苦しそうに蹲り悲鳴をあげる。その間も、肉体が膨れ上がり、服がはち切れていく。魔力が奔流するだけでなく、体から蒸気が立ち上っている。
「ゴリヴィエ様がぁぁぁ!! どうしれば…はっ!! 困った時のレイア様。レイア様!! ゴリヴィエ様が!!」
と叫んでみれば…いつの間にか真横に居た。
思わず、早!! って突っ込んでしまいそうになった。
「異常な魔力が発生したと思えば……問題ない。限界を突破…いや、成長期なだけだ。一部の才能豊かなエルフは、モンスターソウルによる影響を大きく受ける。そして、よりモンスターソウルを吸収しやすい肉体へ…恩恵を最大限に活かせる体へと変化を遂げるのだ」
まるで、以前にも同じような現象を見た事があるかの如く落ち着いている。それに、成長期って…ゴリヴィエ様の成長期はとっくの昔に終わっているはずなのだが。胸なんて私より小さい。
というか、ゴリヴィエ様のお体がありえない程、肉肉しく変わっている。そりゃ、芸術的な筋肉に。
「はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ゴリヴィエ様を中心に風が荒れ狂う。テントや寝袋だけでなく、食料も彼方へと消し飛んだ。
夜だというのに、ゴリヴィエ様の体から放たれる魔力で周辺が明るい。細い腕は、太もものように太くなり…腹筋は、割れて綺麗な6パック…太ももは、オーガにも負けぬ肉質に…お顔は、鍛え抜かれた強面軍人のように濃い…面影はある程度残っているのが救いだが最早、別人のようだ。
「ゴリヴィエ様…その、大丈夫ですか」
きっと、ご自身に起こった変化を正しく理解できていないだろう。万が一、ご自身のご容姿を見たら倒れてしまうかもしれない。先程まで美少女だったゴリヴィエ様が…どこに出しても恥ずかしくない、筋肉質な男性のように変わってしまったのだ。
「はぁはぁはぁ…一体何が。これが、私の手…!? タルト、鏡を!!」
迷宮に鏡など有るはずがない…レイア様ならばと思って、横を見てみると何故か後ろを向いている。そして、大きなバスローブを私に渡してきた。
「嫁入り前の女性の素肌を見てしまうのは申し訳ないだろう。これを着させなさい」
何処まで紳士なのですか!! この状況下でそこまで気が回るレイア様に脱帽である。
まぁ、言われてみれば、ゴリヴィエ様は全裸…確かに色々と問題ですよね。あまりの衝撃的な出来事にその事を忘れていた。
「鏡はありませんが…ゴリヴィエ様から頂いたダガーの刀身で。………何を見ても驚かないでくださいよ」
ゴリヴィエが刀身に映る自身を見て止まっている。
「美しい…」
「えっ!?」
思わず、頭大丈夫ですかとお声掛けをしそうになった。
「素晴らしい。これが私の肉体…あの軟弱で醜い体が、こんなに美しくなるなんて。ビューティホー!!」
ゴリヴィエ様が何やらポージングを決めている…全裸で!!
この時、世界のエルフを世界のゴリフに進化させる崇高な目的を持つ悪の教団の始祖が誕生したのだ。主な活動は、エルフに対する善意のパワーレベリングという教団の運動であった為、それを誰も咎める者はいない。
◇
昨日、超進化を遂げたゴリヴィエ…前世の某漫画に登場した吸血鬼のカー○様みたいに美しく成長したエルフ…筋肉が!! 戦闘力も筋肉に比例して強くなったようで、40層のモンスターを潰す時間が3割ほど短くなった。
「妻達には及ばないが…いい体を手に入れたな。羨ましい限りだよ」
「ありがとうございますレイア様。この肉体が手に入ったのもレイア様のご助力あってこそです。装備まで、作り直して頂き感謝してもしきれません。今後、何かお手伝い出来る事がありましたら是非お声掛けください」
暑苦しいまでにポージングを決めてセリフをいうゴリヴィエ…余程、その体が気に入ったのだろう。だが、本人曰く、まだ筋肉を付けたいようだ。
「あぁ、そうさせてもらおう。で、タルトは何をブツブツ言っているのかね」
「こんなの絶対おかしいよ!! あのゴリヴィエ様がたった一晩で…ゴリヴィエ様のご実家やギルドになんて報告すれば、いいんですか!?」
「おかしいも何も、昨晩自分の目で見ただろう?ありのままを報告しなさい」
まぁ、信じてくれる者がどれだけいるかは知らないがね。最悪、私が証人となる必要があるだろう。
「そうだ、レイア様にお伺いしたいことがありました。昨晩、肉体が変化している時に耳にしたのですがエルフの中には私のような体を手に入れられる者がいると。それは、亜人全てに言える事なのでしょうか?」
「ふむ…私も知っている前例はエルフ以外に居なくてね。それに、亜人なら、ちょうどいいサンプルがいるじゃん」
タルトの方を見る。
「え゛!? なんですか、その目…」
「なるほど。確か、タルトは私からの依頼を優先的に受けてくれるお約束でよね。いやー、本当に嬉しいわ」
タルトの顔が若干青ざめる。だが、ゴリヴィエから逃げられるはずも無い。いくらスペックが向上したといえどもゴリヴィエの方が何枚も上手だ。
「イヤーーー!! 私は、サポーターに戻るの!! これ以上、成長しないんだからね」
タルトの願いは虚しく終わる。
迷宮で寝袋、テント、食料の全てを失くしたタルトは、私からの食料と寝床を貰う為に…今後も冒険者としてゴリヴィエの片腕として働く事を誓った。
太マッチョに化けたタルトを見る日が訪れるかは、不明だが…一人の冒険者として、気になるところである。
………
……
…
ギルドでゴリヴィエを見たマーガレット嬢やギルド職員一同の顔芸は面白かった。その後、二人共ランクBの登録を無事に終えた。タルトに関しては、渋っていたが私がランクB相当のモンスターをソロで倒すところを見ているし、実力は私が責任をもって認めてると言って認可させた。
こうして、ゴリヴィエとタルトのペアが完成したのだ。
ゴリヴィエの容姿が○リヴィエ似⇒○ーズ様似に変化しました。
タルトの身体能力がランクB冒険者相当に上がりました@@
身体能力だけで見れば並のランクBを超えた。
次回は、帝都のお祭り編でもやろうかと思います。
レイア様が出店⇒ショバ代を集める愚か者(豪商のお嬢様)⇒ルールと言われて支払うレイア…「国が定めた規則ならば仕方がない」⇒安定の流れに(´・ω・`)
※皇帝陛下とお近づきになったのも、このお祭りが原因です@@

+注意+
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