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愛すべき『蟲』と迷宮での日常 作者:マスター
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第十八話:剣魔武道会(5)

気がつけば、ゴリフ物語を書いていた作者。



 誰もが私達の事を褒めてくれた。

 『闇』『雷』に次ぐ特別な属性として発現した『聖』の属性。そして、戦争という脅威から『ウルオール』を守る為に、私達姉妹は迷宮へ通う事となった。特に『闇』のグリンドールの対抗馬として、急成長を余儀なくされたのだ。

 パワーレベリングから始まり、一定以上の力がつくと私達姉妹は、効率重視という名目で二人きりで迷宮へ挑む日々が続いた。好きであった、料理や裁縫、生花などの女性らしい趣味に割く時間は急激に減少していった。

 しかし、いつか私自身の事を好きになってくれる男性が現れた時に家事が出来ない女性である事は恥ずかしい。故に、迷宮から帰ってきた短い時間を利用して寝る間も惜しんで色々と学んだのだ。

寝るのは迷宮で十分だ。迷宮外にいる時間は有効に使わねばいけない。

 一流の冒険者になる為と立派な花嫁になる為の二つの修行を同時に行ったのだ。

 そして、結果的に言えばその両方とも成功した。

 エルフは、亜人の中でも潜在能力が高くモンスターソウル吸収における恩恵を強く受けやすい。本来は、喜ぶべき事なのだが夢見る無垢な少女には辛い現実であった。

 5歳から迷宮へ挑み7歳で姉とペアで挑むようになった。だが、ランクBになった13歳の時に体に異変が起こったのだ。体脂肪は減り、女性らしい柔らかい肌から男性らしい筋肉質な肌に変わり、腹筋は割れ始め、身長は伸び続け、体重も増えた。

 将来は、母親似の絶世の美女になると言われていた私達が15歳の時には、素手で迷宮上層のモンスターを殴り殺せる程の素晴らしい肉体を手に入れていた。それからは、お互いに何かが吹っ切れたのだ。

 幸い、目に入れても痛くない程可愛い弟達が生まれ、蝶よ花よと両親と一緒に育てた。そして、可愛い弟達を迷宮…いや、モンスターソウルから守るべく私達が犠牲になろうと誓った。

 だが、ランクAの化け物になろうとも女を捨てる事は出来なかったのだ。いつか、家庭を持ち子供を産み食卓を囲みたいと夢を見る。そんな夢を見る事くらいは、許されるだろう。

 家事全般と生花、音楽、社交ダンスなど女性らしい事は、人並み以上にこなせるようになった。

「お姉様。早く寝ないと、明日は剣魔武道会ですよ」

「あぁ、分かっている。寝る前に素振り1000回してから寝る。先に寝てなさい」

 可愛い弟のイヤレスが明日の剣魔武道会の事を気にして早く寝なさいなんて…可愛すぎる。だが、弟の前では戦闘狂を演じなければならないのが辛い。

 二人が寝入った隙を見て、弟達の明日の衣装に完成させねばならない。姉と二人で毎晩こそこそと寝る間も惜しんで完成間際までこぎつけた。可愛い弟達の為なら四徹程度余裕である。

………
……


 本選まで生き残った冒険者達の女性は、大半が私の可愛い弟達が目当てのようだ。その目を潰してやろうかと本気で思った。

 スムーズに終了するかと思った剣魔武道会だが、重大な問題が発生した。

 一人の冒険者があろう事か替え玉受験してきたのだ…しかも、他国の皇帝陛下の勅命を受けたランクB冒険者。予選から受験していれば間違いなく本選に残ったであろう強者達である。

 しかも、予選に出られなかった原因が、我が国の兵士が無実の罪で投獄したからとなっては、頭が痛い。

 だが、我が国に非があろうとも可愛い弟達を悩ませる要因は、物理的にお灸を据えてやらねばなるまい。

「何もそのまま返す必要はあるまい。折角の剣魔武道会だ。冒険者として実力を披露させずに帰させたとなっては『ウルオール』の恥であろう」

「ですが、本選に残っている者達では…」

 安心しろ。あの者達の相手が務まるのは、私と姉以外におるまい。

………
……


 お灸を据える為にエキシビジョンマッチをお膳立てしたと思ったら、情熱的な告白をされた。

 今まで沢山の者達から求婚されたが、そのどれもが王家の威光や『聖』の魔法が目当ての者達であった。だが、今回は違う。

 レイアという冒険者の目は、今までの者達のような濁った目はしていない。一人の女性として見てくれている。

 乙女の勘がそう告げている。

 思わず「喜んで!!」と叫びそうになったが、弟達の前である。戦闘狂のイメージを崩す訳にはいかない。

 相手は、ランクAに近い冒険者、『蟲』の魔法、アルビノの美青年、紳士。人生においてこの機を逃すと後は無いだろう。

 特等席にいる姉を見て、「ごめんなさいお姉様。私、幸せになります」と目で言う。「抜け駆けは許しません。今すぐ、替わりなさい!!」と返事が来る。だが…言った者勝ちである。

「くっくっく、いいだろう。もし、お前が勝てたなら嫁になってやろう」

 さぁさぁさぁ、早く戦いましょう。姉が監視しているから、意図的に負けるような事をしては無効試合にされかねない。期待しておりますわ未来の旦那様。
さて、ゴリフのお名前を考えなければ…次話の投稿はしばしお待ちを。

『闇』『雷』『聖』『蟲』の順で特別な属性が発見されております。
年齢はこんな感じです。
『闇』=55歳前後 (グリンドール)
『雷』=30台後半 (?????????)
『聖』=20歳 (ゴリフ二人)
『蟲』=18歳 (レイア)
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