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第十三話:濡れ衣
誤字脱字が多くて申し訳ありません。
頑張っているのですが、どうしても><
◇
栄養価や鮮度…加えて繁殖も簡単。さらには、治癒薬にも近い嬉しい副作用もある。これ程まで完璧な食材は、無いと言っても過言ではない。だが、見た目や噛まれた際に鳴く事から絶大な不評を買っている。迷宮での生命線である蝗達…。
だから、その全ての悩みを解決すべく、蟲達の研究を止めないレイアである。万人に受ける食料を…そして、迷宮で飢える者を無くす為、日々涙ぐましい努力を繰り返しているのだ。
「そして、ついに生み出す事に成功したのだ。鮮度抜群、栄養価抜群、食べやすさ抜群、消化もよく快便をお約束!! まさに、ダイエット食としても売れる事、間違いなし!!」
誰に話している訳でもないけど、叫ばずにはいられなかった。そして、早速迷宮の中層へ、食事に困る者達に救いの手を伸ばすべく移動した。
紳士として、後輩を助けるのは当然であろう?
………
……
…
いや、待てよ。中層に人が居ないと思っている訳ではないが、ギルドで中層の依頼状況を確認した上で向かうのが効率的だろう。
◇
中層にて現在狩りをしているパーティーは、13組居ると教えてもらった。もちろん、ギルドの依頼を受けて狩りをしているパーティーが13組であり、実際はもう少し多いと予想している。
だが、実にちょうど良い数である。
まだ、試作段階である為、用意できた蟲は全部で30体。もし、冒険者の皆からご好評が得られるならば、更に増やそうと考えている。蝗と違い繁殖が難しいのが難点だ。
でも、みんなが喜ぶ顔が見られるなら頑張る。最終的には、領民にも是非食べさせてあげたい。
そして、レイアの影からバスケットボールより少し大きいサイズ蟲の卵が湧き出した。卵が割れて中から深紅の眼をした純白の兜蟹のような蟲が生まれ落ちた。蜘蛛をベースに色々と配合して生み出した。
これこそ、前世で見た○イリアンを参考にして作った素晴らしい蟲である。
私が考えた結論は、食べるのが辛いなら胃の中に直接送り込めばいい!! この蟲は、冒険者の顔に張り付き、口から長い管をだして冒険者の口から胃の中に直接卵を産み落とす。そして、胃液で卵の外皮が溶け落ちて生まれるのだ……蟲がな!! 更に管を通した際に苦しまないように部分麻酔を行うようにしている。
実は、この胃液で溶け落ちる卵の外皮は、栄養価抜群である。これ一つで、一日に必要なビタミンなどの栄養が全て摂れる!! 更に、胃の中で生まれ落ちた蟲が胃から大腸へ移動してお腹に溜まったアレを綺麗にお掃除してくれるのだ。
そして、最後はケツから出てくる。まぁ、その際に蟲とご対面する事になるが些細な問題だ。体外に出れば、数分で寿命が尽き、土に還る自然にも優しい蟲である。
しかも、心遣いの出来る蟲で『生んでくれて、ありがとう』とお礼を言うあたり律儀すぎる。残念なのは、その言葉が私以外に理解できず、ピギュアーーという鳴き声にしか聞こえないという事だ。
冒険者の為にも自然の為にも一粒で二度おいしい!!
いやいや、忘れてはいけなかった…嬉しい副作用がある。若干ながら身体能力が強化される。体内の蟲が、宿主が元気でいられるようにと力を分け与えるのだ。心温まるいい話だ。
一粒で三度美味しい!!
「さぁ、皆の者よ!! 今こそ、困っている冒険者達に救いの手を伸ばすのだ。そして、モンスターと冒険者の輝かしい未来を」
そして、地面を這いずり各方面へ散り散りに移動を開始した。
◆
中層(11~20層)で狩ること一年、モンスター達の動きから習性を理解し、そろそろ次のステップへ進もうとしているパーティーがいた。
エステール、ステラ、アリアという女性3人で全員がランクC冒険者。パーティーが後衛3という変則構成であり、魔法での足止めから火力でゴリ押しする。
そして、幸運にも最初の犠…栄えある生贄に選ばれたのだ。
雨が降る中『モロド樹海』の13層にてモンスター達を倒し、休憩をしていた。雨の中での戦闘は、視界が悪いだけでなく、体力の消耗も激しい。雨が降った際、殆どの冒険者は、止むまで休憩するのだ。
「なかなか、雨が止みませんね…」
「でも、雨が降ったのがこの階層で助かったわ。小型のモンスターが居ないから視界が悪くても見落とす事はないからね」
「言えてます。じゃあ、先に食事にしましょう」
全員が『水』の魔法が使える事から、食料で一番重たい水を殆ど用意せずに迷宮に挑める。故に、サポーターを雇わず迷宮での狩りを可能としているのだ。
各々が携帯している食事に手をつけようとした瞬間、茂みの中より深紅の眼をした見た事もない純白のモンスターが飛び出してきた。
ピギャ(お勤めご苦労様です。お食事を持って参りました)
「アリア!!」
パーティーリーダーを務めるエステールがモンスターに気づいた。名前を呼ばれたアリアは何事かと思ったが、自らに向かってくる白いモンスターを見て状況を理解した。
あまり得意ではないが、無詠唱で『風』の魔法を行使し仕留めようと試みた。だが、蜘蛛をベースに作った蟲である。機動力に関しては小型でも群を抜いている。
「当たらない!! ステラ、貴方の広範囲魔……」
広範囲魔法を得意とするステラを見てみると、顔に見た事もない白い蟲が張り付いていた。蟲が張り付いた隙間からステラが涙を流して助けを求める顔が見えた。
「う゛ぅぅぅう」
一匹目の蟲は、完全に囮であった。全員の注意を引きつけ背後から別の蟲が襲い掛かる。モンスターがそのような方法で襲って来るなど想定外の事であった。
理解が追いつかないこの状況を恐怖した。
「いやあぁぁぁぁぁ゛う゛うぅぅぅ」
そして、瞬く間に二人目の犠牲者が。
「アリアとステラを一瞬で…何なんだよこれ。誰かたすげぇぇぇおおお゛ぉぉぇぇぇ」
そして、リーダーであるエステールも程なくして蟲に取り付かれた。
………
……
…
数分後…未知のモンスターの襲撃を受けて、完全に憔悴していた。命が助かっただけ儲けたと思えるが、何が起こったのか理解できなかった。
襲われて何かをされたのは間違いない。だが、一向に身体的な変化は訪れなかったのだ。何がしたかったのか見当もつかない。
肝心のモンスターは、あっと言う間に移動して何処かに消えていったのだ。まるで、悪い夢でも見たかのようだ。
「やはり、全員異常なしか。あれは、なんだったんだ」
「もう、その話はやめましょう。思い出したくもありません」
体に有害な物を判別する『水』の魔法で卵の存在を検知出来るはずがない。なんせ、有害な要素など何一つ無いのだ。故に、気づけないのは当然。
「晴れてきましたし、さっきの事は悪い夢だとおもってバンバン狩りましょう」
蟲に襲われて食事を摂っていない事を完全に忘れているが、なぜかお腹が空かないのでそれを思い出す事は無かった。
この日の夜…『モロド樹海』中層に絶叫が響き渡るのであった。
◇
ギルド本部で耳を疑うような話をマーガレット嬢から聞かされた。
「中層において、見た事も無い深紅の眼をした白い蟲に襲われた冒険者達がいるだと!?」
「えぇ、それで今こうしてレイア様とお話をですね…」
語尾を濁してはいるが、間違いなく私が疑われている。
私の可愛い蟲達が無闇に冒険者を襲う事など無いと断言しておこう。私が指示すれば話は別だ。
「まさか、この私を疑っている訳じゃないだろうな。マーガレット嬢」
「う、上からの指示でして、一応確認をと…」
日頃、ギルドに美味しい思いをさせてあげている私を疑うなど許せんな。
「完全に濡れ衣だ。そもそも、この私が中層の冒険者を襲って何の得になると思う?」
「そこが謎なのですよ」
謎だと!! そんな、証拠も無しに疑いを掛けたのか!!
だが、このまま疑われた状態というのも嫌である。ここは、身の潔白を証明し、私に濡れ衣を着せようとした真犯人に天誅を与えるべきでしょう。
「いいだろう、真犯人を探してきてやる。それで、今まで何人死んだ?」
「誰も死んでおりません。それどころか怪我一つしておりません」
「……おぃ!! 被害が出たと言っただろう!? どういう事なんだよ」
「そんなの知りませんよ。真犯人に聞いてください」
一体、犯人は何がしたいんだ。私の可愛い蟲に罪を擦り付けるような自殺行為まで行い、訳が分からない。
「となれば、装備を狙った追い剥ぎか…」
「いえ、何も盗られておりません」
「じゃぁ、暴行目的か」
「いえ」
「じゃあ、モンスターの死骸は?」
「ありません」
マーガレット嬢との会話から、情報を整理してみる。すると、被害なんて出ていないと結論がでた。それなのに、被害が出たと言って私に文句を言ってくるギルド。
「話を聞く限り被害など出ていない。それなのに、私に嫌疑をかけてくるとは…喧嘩を売っているのか」
影から双頭百足が飛び出した。大きな口を開けてマーガレット嬢の直ぐ上で私からの指示を待っている。
双頭百足<<そうとうむかで>>…『モロド樹海』の56層に出現する双頭の大百足。全長30mもあり、二つの頭で獲物を捉えて左右に食い千切る。鋼鉄すら砕く強靭な顎は脅威である。更に、足の一本一本に小さな刺が無数にあり、刺のそれぞれが異なる毒を持っている。外皮や関節部分の強度は、ミスリル以上オリハルコン未満と非常に丈夫である。ただし、視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚の五感のうち視覚しか持ち合わせていない。故に、死角から攻めれば無傷で勝利が可能である。
その様子を見た冒険者達は、飲み物を噴水の如く噴き出し、腰を抜かす者や逃げ出す者がいた。
「も、申し訳ありません。こちらで再調査させますので」
マーガレット嬢が頭を下げで謝ったので、とりあえずは許す事にした。上からの指示で私に嫌疑を掛けたのだ、悪いのは上司である。
「上司に伝えておけ。次、証拠の無しに疑いを掛けてきたら朝日を拝む事は無いと思え」
その後、迷宮内でエーテリアとジュラルドと偶然出会ったので蟲の卵だけを試供品として提供した。この二人は、蝗だって普通に食べられるから胃に卵を送るでっかい子は必要ないからね。
濡れ衣とかひどいよね。
それと、卵の殻だけ食べるってなしだよ!!丸呑みしてね。
次話の展開ですが、ランクAに会いに行こう。
もちろん『聖』の魔法を使う双子の姫君です。
しかし問題なのは、どの程度執筆するかなんですよね。
現在の作者の思いは、5話程度でレイアの本気バトル込の予定です。
作者の日本語能力では不安がいっぱいだ。

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