暴力団住吉会系組員らの特殊詐欺グループに現金をだまし取られた被害者の高齢女性7人が30日、住吉会の西口茂男総裁(87)らに対し、暴力団対策法が定める「使用者責任」があるとして、計約2億2千万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。弁護団によると、特殊詐欺で暴力団トップの責任を問う訴訟は極めて異例。
弁護団によると、同グループは「債券購入の権利が当たった」などと偽り、社債販売の名目で全国の高齢者らから約15億円を詐取したとされる。住吉会傘下の組長らが小規模の集団を率いていた可能性があるという。
原告は2014年1~7月ごろ、計約2億円を詐取された。被告は西口総裁ら幹部や、有罪が確定した組員ら計7人。
暴対法は、傘下の組員が「暴力団の威力」を用いて資金獲得のために市民の生命や身体、財産に危害を加えた場合、上部団体トップの責任を問えると定めている。
特殊詐欺では、詐欺グループの末端のメンバーが暴力団の威力を用いて被害者から現金を詐取したと認定することは難しい。このため弁護団は、暴力団が威力を背景に詐欺グループを統括していたと主張。メンバーが「組員が怖くて辞められなかった」などと述べた供述調書を根拠に、暴力団トップの使用者責任を問うことにした。