◇最高裁判決の前後に仙台拘置支所で記者との主なやり取り
宮城県石巻市で2010年2月、元交際相手の姉ら3人を殺傷したなどとして殺人罪などに問われ、6月の最高裁判決で死刑とされた当時18歳の元少年(24)。元少年は最高裁判決の前後に仙台拘置支所で記者と面会して取材に応じた。主なやり取りは以下の通り。
【写真】「オレは成熟した大人であるべきでした」元少年の手紙
◇最高裁判決前
--判決を前にしての心境は。
◇弁護士とか手を差し伸べてくれる人がいる一方、大切な人を失った遺族がいる。事件から6年間積み上げてきたものや、それぞれの人たちを思うと複雑です。
--積み上げてきたものとは。
◇簡単には言えない……。手を差し伸べてくれる人たちへの感謝もあるが、遺族が「同じ目に遭わせてやりたい」と思うのは当然で。両極端の間、真ん中に俺がいて、どっちかの感情を選べずに複雑です。
--裁判員裁判で審理されたが。
◇1審は計画的と認定したが、計画なんてしていない。裁判員は審理が初めてで聞いてもらえなかったと感じている。
--被害者、遺族に対する気持ちは。
◇「ごめんなさい」と「俺はなんでこんなことをしてしまったんだ」というのがリンクして、頭の中でぐるぐる回っています。手紙を書いても受け取ってもらえず、拘置所の中で天に向かって手を合わすことしかできない。
◇最高裁判決後
--死刑判決という結論は変わらなかった。
◇執行される日が来ることをもっともっと考えるようになった。再起の準備をする必要はなくなったが、被害者への気持ち、自分のしてしまったことへの悔いは変わらない。
--気持ちは落ち着いているか。
◇判決文や審理の仕方は悲しい気持ちもわくが、建設的な死になればと思っている。
--建設的な死というのは。
◇人が亡くなる事件がなくなるとか、被害者の家族とか関係者につながるような……。抑止になるなら建設的なのかもしれない。澄んだ気持ちで執行されるよう、死ぬ意味を見いだしたい。
--少年法は過剰に未成年を守っているという批判がある。
◇10代と40代で行動や感情のコントロールは違う。そこは考えないといけないが、いざとなったら遺族の望みを聞き入れると思う。自分が裁判官なら。被害者の気持ち、憤りを考えると少年でも同じように裁かれるべきだ。
--今後をどう生きていくか。
◇今まで人を傷つける思想を放棄しないと、と考えてきた。被害者、遺族に悔いてきた気持ちもなくなることはない。今回の判決でそういうものを全部捨てるつもりはない。