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安倍首相がアベノミクスの成果と誇る一つが有効求人倍率の高さだ。ハローワ…
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安倍首相がアベノミクスの成果と誇る一つが有効求人倍率の高さだ。ハローワークでの求職者1人に対し、求人がいくつあるかを示す。
きのう発表された5月の数値は1・36倍で、1991年10月以来の高さだった。
少子化で働き盛りの人口が減っていることが大きい。アベノミクスで円安・株高に振れたことが景気を押し上げ、状況を改善したのも確かだろう。
一方で課題が山積している。正社員に限れば0・8倍台だ。世代や男女、地域ごとに格差があるとの指摘も専門家から出ている。さらに職種別の数値(パートを含む常用雇用)を見ると、ばらつきが目立つ。
保安5・02倍、接客・給仕3・45倍、建設2・93倍、介護サービス2・77倍……。一般事務を中心とする事務的職業が0・35倍なのに対し、肉体労働を伴う職種の人手不足が深刻だ。
これに対し、政府はもっぱら外国人技能実習制度の対象職種を増やし、滞日期間を延ばそうとしてきた。途上国への技術移転を目的としながら労働力不足の穴埋めに使われている。制度のそんな現状を追認する、その場しのぎの対応である。
人手不足を放置すれば、経済成長への足かせにもなりかねない。女性や高齢者が働きやすい環境を整え、ロボットの開発を急ぐとしても限界はあろう。
そろそろ、外国人労働者の受け入れ問題と正面から向き合うべき時ではないか。注目したいのは自民党の動きだ。
参院選での公約で「日本人だけでは労働力が不足し、社会に深刻な悪影響が生じる分野について、外国人労働者が適切に働ける制度を整備する」とした。
自民党の委員会が5月にまとめた提言は、介護や農業、旅館業を例示し、「移民政策と誤解されないように配慮しつつ就労目的の在留資格を(外国人に)付与して受け入れを進めていくべきだ」とした。国内の雇用への悪影響防止や治安の確保などを検討課題としている。
受け入れるなら生活者として迎えるべきで、外国人を単に労働力として見るのはおかしい。ただ、「いわゆる移民の受け入れは検討しない」と繰り返すだけの政府と比べ、現実を直視しているとは言えるだろう。
厚生労働省への届け出によると、国内で働く外国人は昨年秋時点で90万人を超え、3年続けて過去最多を更新した。どのような受け入れの仕組みが望ましいか。参院選での言及が乏しい野党を含め、論戦を通じて有権者に問題提起してほしい。
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