先日、NHKの東北エリアのみの放送で、地方への移住の問題を取り上げていた。
地方へ移住するにあたっての問題点として、アンケートを取ってあげられていたのが…
- 仕事が無い…70%弱
- 娯楽が無い…20%弱
- その他
だった。
そりゃそうである。田舎に足りないものが仕事と娯楽なのだから、それを心配するのは当然の成り行きだ。
番組内では「ナリワイ」と名付けた何でも屋さんの女の人のことを取り上げていたが、果たして苦労に見合った収入が得られているかというと甚だ疑問であった。
自分は、2000年夏に東京から会津若松に帰ってきた。
あの頃はまだITバブルのギリギリ最後で、会津若松でもそれなりに仕事があった。その中でも大きな会社の募集があったので、応募したら正社員として採用された。今でもその会社で働いているのだが、あの時、あのタイミングで帰ってきていなかったら、間違いなくその後派遣で働いていたことだろう。なぜなら、その次の年には派遣のリストラをしなければならないくらい業績が落ち込んだからだ。
仕事が無いのも問題だが、娯楽がないのも問題だ。
自分が会津若松に帰ってきてから、2つあった映画館が無くなった。ゲーセンも殆ど潰れた。ラウンドワンのような娯楽施設は当然来ない。出来るのは塾と美容室とパチンコ屋くらいのものだ。
それでも、自分にはゲームやネットなどの趣味があるから、娯楽に困ったことはないのだが、そうではない人から言わせると、「ゆきぼうくんは酒は飲まないの? タバコも? パチンコとか行く? 行かないの!? 競馬も!? じゃあ、普段は何して時間つぶしているわけ?」ということになるらしい。
はっきりいって、時間を潰すほど時間が余っていない。1日24時間ではとても足りないと感じているほどなのだ。子供が生まれてからはますます時間が足りないと感じるようになり、Kindleで本を読むのさえ難しくなった。
自分の周りにも小さい子供がいる人は沢山いるのに、そういう人から「パチンコで時間をつぶす」とか言われると、「勿体なくないか? それ」と聞き返したくなってしまう。
まあ、100歩譲って仮に子育てをスポイルするとしても、やりたいことは沢山ある。映画館がなくてもTSUTAYAで借りてくることは可能だし、もっとたくさんの音楽に触れたい。Kindleのセールを漁りたい気持ちもあるし、サッカーだってもっと夜遅くの試合も見たい。ゲームだって、ホリデーシーズンにはやりたいゲームが山ほど出るのだ。ただ、時間が圧倒的に足りないのである。
テレビはある。
ラジオもある。
車もそこそこ走ってる。
だが、映画館がない。
アミューズメント施設もない。
そもそも公共交通機関が息してない。
冒頭のNHKの番組では、工夫次第で田舎暮しは楽しめるというように結論づけていたが、かなりの苦労を強いられる。都会の便利さを味わってしまった人はなかなか地方移住など出来るものではない。お金のあるリタイア組ならわかるが、以前にも書いたように田舎でスローライフ♡なーんてそんなに簡単ではないのだ。
会津若松は観光都市だ。お城があり、史跡があり、観光スポットには事欠かない。よく「いいねえ、そういうところ」と言われることもあるが、地元の人間はそんなところにはいかないのだ。当たり前である。だから、ああいうのは娯楽には入らない。
結局のところ、自分で楽しめる趣味を持っている人以外は、酒飲んでタバコ吸ってパチンコ屋で時間をつぶす日々が待っている。立派な展示会や劇団の講演など、文化的娯楽に触れる機会も少ない。能動的に大都市まで出かけて行って自分から触れるようにしないと、何にも接する機会がないのだ。
今日も田舎のパチンコ屋は、その巨大な駐車場に満杯の車を飲み込んでジャンジャンバリバリ営業中である。そして、喧騒の中タバコを吸いながら銀玉に一喜一憂する一日を過ごしている人が山ほどいるのだ。
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