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鳥取・島根“合区はつらいよ”東西350キロ「回りきれるわけない」

第24回参議院選挙 (7月10日投開票)

鳥取県大川寺で遊説し、有権者と握手して回る青木一彦氏
鳥取県大川寺で遊説し、有権者と握手して回る青木一彦氏
Photo By スポニチ

 隣り合う2県を合わせて1つとする「合区」で初めて選挙が行われる鳥取・島根では、文化や県民性の違い、根強いライバル意識などで有権者も候補者も戸惑っている。「1票の格差」是正のため、高知・徳島選挙区とともに生まれた合区だが「田舎ばかり不公平を押し付けられる」と不満の声が上がっている。

 選挙戦も折り返しを迎えた今週半ば、鳥取県の観光名所の一つ、大山寺の参道に自民党の現職・青木一彦氏(55)の姿があった。自身は島根県出身。「誰も戦ったことのない選挙戦。山陰の代表として両県の地方創生に尽くす」と、約100人の聴衆に訴えた。

 会社員の女性(55)は「いいですね」と青山氏の演説に好感を持つ一方で「鳥取県民としては、地元の声を吸い上げてくれるか不安もある」と漏らした。

 鳥取県の人口は47都道府県最少の約57万人。島根県が約69万人で続く。昨年スターバックスが鳥取に、ドトールが島根に出店して“全国制覇”したが、両県民は長年「アッチにはあるのに、ウチにはない」とライバル心を燃やしてきた。

 会社員女性と一緒に演説を聞いていた自営業女性(81)は「何かと比べられたり、間違われたり、対抗意識のようなものはある」。2人は「鳥取は積極的な人が多いけど、島根は奥ゆかしいというか…」と、県民トークで盛り上がった。

 地方と都市部で当選必要票数に大きな差がある「1票の格差」是正のために誕生した合区。戸惑っているのは候補者も同じだ。両端を結べば東京―名古屋間とほぼ同距離で、約350キロといわれる。陣営からは「回り切れるわけがない。特例で選挙カーを2台使えるのはいいが、候補者の体は1つ。名前を連呼してるのに、当の候補者が乗っていないという、あり得ないことも起きる」との声も上がる。

 青木氏は演説を終えると猛ダッシュ。聴衆一人一人と握手した。実はこれ、島根ではあまり見られない“鳥取スタイル”。陣営によると「島根は親藩・松江藩の時代から上意下達。今も支援組織が強い。鳥取は一人一人に訴えることが大切」という。

 隣にあっても別の県。異なる文化、アイデンティティーがある。候補者3人全員が、次の選挙での合区解消を訴える。

 ある自民県議は「行政単位は2つのまま、選挙区は1つになり、国会議員を送り出せない可能性もある。1票の格差是正のためにというが、田舎ばかり矛盾を押し付けられる」と語気を強めた。

 ▼合区 1票の格差を是正するため、有権者の少ない選挙区を統合、定数を減らす措置。今夏の参院選で初めて導入。定数変更により最高裁から違憲判決が出された13年参院選の格差4.77倍は2.97倍となる。参院選の選挙区は都道府県単位のため県境をまたぐ。徳島と高知の選挙区も統合。

[ 2016年7月2日 05:30 ]

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