昨日の夜中から麿白の外に出たい欲がまた高まってきたようで、部屋の外に面したスペースを隈なく探索しだした。
クローゼットも、服にしがみついてよじ登るという技を会得してしまい、一番上の奥まで行ってしまった。
さらに、カーテンも同様に登ってしまい、エアコンのダクトの辺りを調べ回る。
そこで排泄さえしなければ特に問題はないのだが、問題は猫のご多聞に漏れず、登るのはうまいが降りるのがヘタクソである。
クローゼットからも荷物をガタガタと落としながら不安に震えた目でこちらを見つつ降りてくるのだった。
そこまでやると、もう登りたいとは思わないだろうが…。
流しに登って排水溝を舐めようとしたりガスコンロをのぞいたりするので、流しは水を出して驚かせ、コンロは一瞬だけ点火をして驚かす。効果はあって両方ともしなくなったが、その一瞬の点火でヒゲが丸まってしまった。
マッサージをしてもいつもと違ってそわそわして落ち着かない。
グルーミングをしたり、部屋を歩き回ったりである。やっぱり外が気になるのだ。
こちらも眠れないのでいい加減にせいよ、というとふてくされてPCチェアでご覧の顔である。
よしわかった、そこまで言うならお望み通り外に出してあげよう。
できれば週末にしたかったが、ハーネスをつけてのお散歩である。
行先は、茶トラ兄弟、栗白たちがいる公園、麿白と出会った最初の場所である。
猫が経験で学習するのに一番効果があるのは、他の猫と接する事であると思う。
人間がしつけをしようとするとどうしても言葉等に頼り、何か「出来事」を起こそうとすれば先ほどのヒゲが丸まってしまったようにやり過ぎてしまう事もある。
麿白は野良生活がそんなに長かった猫だとは思えないし、それほど他の猫の脅威にも遭わなかったのだろう。
だったら、自分に馴れていて安全、そして性格的にも温厚で万一の時にも麿白にも危害を加えないと断言できる茶トラ兄弟と会わせ、麿白が望む外と言う世界はどういう場所なのかを体験で知って貰おうという寸断である。
麿白の性格からいって、おそらくは茶トラ兄弟にビビって、「外怖い!おうち最高!」となるはずである。
逆に茶トラ兄弟になじんだり勝ったりすれば、それはそれで麿白のストレス解消で公園への散歩というレパートリーが増える事になる。流れキジはもちろん追い払った上で。
それで、いざハーネスを装着して外へと出発である…と、いきなりその場でうずくまってしまった。
動物病院に行くときは、同じようにハーネスを付けたが堂々としていたのに…他の猫の匂いがするのか。
抱っこして公園に歩いていくと、三毛覆面が通り過ぎる姿があった。なるほど。
抱っこから逃げようとするが、自分から歩きたいという逃げ方ではないので抱っこのまま公園へ。
到着すると、茶トラ1号と3号がいつものように出迎えに来た。
麿白を下におろす。麿白は固まる…茶トラ兄弟は麿白に最初は気付かない。
が、3号が「ん?」という感じで気付き、ふんふんと匂いを嗅ぎながら近づこうとする。
麿白、弾けるように逃げようとする。
1号、それに驚いて逃げ出す。さすがだ、何でこう1号は推測通りの行動をしてくれるんだ。
麿白はそれにも驚く。3号もそれに驚いて間をとり様子をうかがう。
麿白は腰が抜けてしまったようだ。
時間にして30秒程度。ここまでだ、という事で抱っこして連れて帰る。
1号と3号と栗白が「えっ?何があったの?」という顔をしている。
さすが1号と3号である、思った以上だった。
麿白は帰りの抱っこの中でチワワみたいになってしまっていた。
明らかな恐怖を感じている。いやキミ、仮にも外の生活を数日していた訳だろう。
家に着きドアを開けると、固まってた身体から力が抜けるのが解った。
ハーネスを外すと、脚を拭く間もなくベッドの寝る時の定位置に転がる。
最初は怖がってどこかに隠れるかと思ったが一切そんな事はなかった。
とにかくの甘えたがりに戻った。
何回も転がりマッサージを要求する。
喉のゴロゴロもかつてないくらいの音量と響きである。
効果あり過ぎだったようである。
「おうちマジ最高!外に出るなんてクソだね!」そう言ってるようである。
落ち着いた所でケージに入れて猫スポットの巡回に出る。
ケージの中でもかなり落ち着いていた。
家に戻ってからも外を覗く行動を一切しなくなった。
玄関まで行っても、ドアの外も気にしない。
茶トラ兄弟に感謝である。
またころっと忘れて外に出たがるかもしれないが、その時はまた茶トラ先生か栗白先生にお願いする事になるだろう。
夜も信じられないくらいおとなしくなった…自分を保護者と認識しなおしたんだろうか。
ただ、食事はカリカリ、新しい成猫用猫缶はまったく口にせず…。
シーバデュオ子猫用がまだ残っていたので大丈夫かと思って開けてみたらそれは嘔吐してしまった。
やっぱ合わないのか。
大便は早朝にした。尿は二回、少量…今日は少ない。
ひさしくこんな寝相で寝ていなかったが…何ちゅう格好だ。
本当に、数日でも野良だったのか?
病気になったから捨てられて、翌日に捕獲器にかかったとかじゃないのだろうか。
ωもうっすら白毛に覆われつつある。
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