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猫まみれ涙娘。

石岡ショウエイ(漫画家)と石岡琉衣(小説家)のブログ。ゆる四コマ『ペットボトルくん』と毎日更新!

【知ってて当然?】あの小説家のペンネーム、興味深い由来10選

漫画(家)と小説(家) ペットボトルくん まぐねっこ

 問題。江戸川乱歩、司馬遼太郎、武論尊、この三人に共通することは?

 

 前回は漫画家のペンネームの由来について述べた。

necole-kidman.hatenablog.com

 

 よって今回は、小説家のペンネームについて述べることにする。

 

 漫画は、「作品タイトル」で選ばれることが多いが、小説は、「作家名」で選ばれることが多い気がする。

 漫画は「同一タイトルで長くつづく」のが当たり前であるのに対し、小説は「一冊で完結する」のが基本であるから、ファンはこの作家の別の作品を読んでみたい、という思いから、必然的に作家名を覚えることになる。

 

 となると、ペンネームを考える場合、漫画家よりも小説家のほうが、「どんな名にするか」は、より重大な意味を持つことになる。しっかりと覚えてもらわなければならないからだ。

 

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(芸人だが、この名を受け入れ、そしてしっかり売れた玉ちゃんはすごい……) 

 

 個人的に、いいなと感じた小説家のペンネームは、『人のセックスを笑うな』なんていうタイトルセンスも抜群の「山崎ナオコーラ」先生。本名「山崎直子」をすこしいじっただけのものだが、私の頭には、どこか懐かしい夏の田舎の風景が浮かんだ。

 かつてこのブログで、小説家は読者に対し記憶に残るアイコンを提供すべき、と書いたが、その点でもかなりいい。一発で覚えられたし、この人の作品を読んでみたい、と思わされた。

  ただし、好きなコーラは「ダイエットコーラ」らしく、真のコーラ好きからは、異端と呼ばれそうだ。

 

 私も小説家としてのペンネームを考えていたとき、ナオコーラ先生にならって本名の「まさひで」になにかを足した名前にすることを検討したことがある。

 友人から提案されたのは、「まさひデーモン」であった。

 お前も蝋人形にしてやろうか!(デーモン木暮)

 

 

どっちを先に知った?

 冒頭の問題、江戸川乱歩、司馬遼太郎、武論尊、三者の共通点はなにか。

 正解は二つあり、ひとつ目は、「元ネタとなった人物がいる」である。

 

・「江戸川乱歩

 私が都内に構えていた仕事場の近くに墓があり、知ったときは妙にテンションがあがったものだが、作風のせいか、なぜか墓参りに行くことが怖く感じられた江戸川乱歩。

 元ネタは、アメリカの文豪「エドガー・アラン・ポー」。

『少年探偵団』や『怪人二十面相』といった子ども向け作品により、江戸川乱歩のほうを先に認知していた私は、エドガー・アラン・ポーという名を知ったとき、エドガーのほうが乱歩の名をパロディしたのだと思った。

 そしてそんなことをするのだから、コメディアンなのだと思っていた。まさか「推理小説、探偵小説の祖」といわれる、伝説的存在だったとは。

 恥ずっ、過去の私、恥ずっ!

 

 

・「司馬遼太郎

 氏の『龍馬がゆく』『燃えよ剣』なくして、現在の日本人が抱く「坂本龍馬像」「新撰組像」はない。そもそも、たいした認知度もなかったというではないか。

 文壇において、歴史小説の書き方を一新させた存在である司馬遼太郎という名は、「司馬遷」に遼(はる)か及ばない、という意味でつけられた。

 知った当時の私が感じたのは、「司馬遷……、だれだっけ?」だった。

 紀元前中国の歴史書『史記』を記した偉大な歴史家である。たしかに大きすぎる存在である。

 

 私もこんなペンネームを考えたことがある。

「司馬遷にはるか及ばないとした司馬遼太郎、その司馬遼太郎にはるかに及ばない」という意味で、「司馬遼・遼太郎」 。

 ボツにした理由。『ジョジョ』三部の主人公「空条承太郎」に語感が似ていたからである。それこそ、はるかに及びませんよ、オラオラオラ。

 

 

・「武論尊」先生。

 ここだけ漫画原作者なのはお許しを。そして前述の二人には先生という敬称がついていないこともお許しを。故人は敬称をつけないほうが偉大さがより伝わる気がするので。

 

『北斗の拳』などの原作担当、武論尊先生の元ネタ人物は、「チャールズ・ブロンソン」である。

 超名作映画『大脱走』にも出演していたアメリカの俳優。古きよき時代における、いい男の象徴のような役者であった。

 ガキだった私は、名前ではぴんとこなくて、「う~んマンダム、の人だよ」といわれてやっと認識できた。40代以上ならかならず知っているCMに出演し、この言葉は流行語になった。

 熱い男の世界を描く武論尊先生らしい由来である。

 

 

 ーーということで、以上の三人に共通すること、正解の二つ目。それは、かなり個人的な意見だが、本人が憧れた元ネタ人物の知名度を越えている、ということである。

 もちろん、若い世代限定であるが、私のように知った順番が、元ネタがあと、という方は多いのではないか。

 

  上記の先生方とは真逆、敬意を表するからこそ、似た名前にしないようにする選択をした作家がいらっしゃる。

 

・「村上龍」先生

 本名は「村上龍之助」なのだが、「芥川龍之介」と名がほぼおなじであることを畏れ多いとして、「龍」と変更された。

 

 私がもし「村上」という姓だったなら、「村上龍」「村上春樹」両先生に畏れ多いとして、名を変えていたかもしれないなあ。ペンネームっぽくも感じられる「芥川龍之介」「村上春樹」両先生は、本名である。

 

 

この二人の共通点は?

 ではつづいての問題。前述の武論尊先生と、乙一先生の共通点は?

 

・「乙一」先生

 とくに若い世代に支持されることが多い、ミステリー、ホラーを得意とされている乙一先生。そのペンネームの由来は、「漢字二文字」で「画数ができるだけ少ない」ものを考えての結果だ。

 漢字二文字というのは、出身であるライトノベルの世界では、イラストを担当する作家の名が二文字のことが多かったからであり、画数を減らしたかったのは、画数の多い漢字が好きではなかったからだという。「乙」も「一」もたしかに、画数は最小限の「1」だ。

(「Z1」という電卓型コンピューターの商品名が由来という説もあるが、上記の理由が一番のものとされる)

 

 私はてっきり、サインするのが楽だから、という理由だと思っていた。

 ちなみに『マインドアサシン』などで知られる漫画家、「かずはじめ」先生の名を漢字で書くと、「一一」である。書くのが楽な名前ナンバーワンであろう。

 

 武論尊先生との共通点、という問題の答えだが、それは、「複数のペンネームを持つ」である。

 武論尊先生は「史村翔」先生と同一人物であり、「池上遼一」先生との合作『サンクチュアリ』などを生みだしている。

 乙一先生は、「山白朝子」先生、「中田永一」先生と同一人物である。以前、『ダ・ヴィンチ』誌上で三人が語りあう企画が掲載されていて笑ってしまった。なぜか芸人の「パペットマペット」の姿が頭に浮かんだ。

 いつか私も、石岡ショウエイと石岡琉衣の対談記事でも書いてみようか。

 ・Amazon

 上記の作品にクレジットされている五人の名は、すべて「乙一」先生である。 

 

 

 何人、ご存じ?

 ・「夏目漱石

 中国の故事「漱石枕流」に由来し、がんこ者、ひねくれ者を意味しているとされるが、もともとは「正岡子規」の数あるペンネームのうちのひとつだった。

 個人的には本名の「夏目金之助」のほうが好みだが、あの上流階級チックな顔には、「漱石」のほうが似合っている気はする。

 

 

・「二葉亭四迷

「くたばってしめえ」という罵りの言葉に基づくといわれている。みずからをそう呼んでいるという説と、父にそういわれたという説があるが、どちらにしろ、えらい言葉が元ネタだと驚く。

 

 

・「石田衣良」先生

 本名の姓「石平」を、姓と名に分けた。私たちがフルネームを呼んでいるつもりでも、ご本人は、姓だけを呼ばれたように感じているということか。

 私の名でやってみる。「石岡」→「石尾・蚊」なんてどうだろう。みなさんもやってにみては。

 

 

・「伊坂幸太郎」先生

 ベストセラー作家にあやかろうと身内が考えたもので、「西村京太郎」先生とおなじ画数の漢字を連ねたという。
「西」「伊」が6画、「村」「坂」が7画、「京」「幸」が8画、「太郎」は字もおなじ。

 かつ、ローマ字表記すると、ある言葉が浮かびあがる仕掛けがある。

「isakakotaro」→「オラと案山子(かかし)」

 デビュー作『オーデュボンの祈り』において、言葉を話す案山子は重要な役割を果たしている。

 

 

・「西尾維新」先生

 アルファベットで表記すると「nisioisin」であり、どちらから呼んでもおなじ回文となっている。言葉の操り方が特徴的な西尾先生らしい発想だ。

 ただし、「西尾」が本名なのかは存じ上げない。 

 

 

 ーーということで、小説家の名の由来について、10人ほどあげてみた。 

 ほかにも何人かおもしろいと感じたエピソードを持つ作家さんがいるのだが、どうも信頼性に問題を感じ、書くのを控えた。

 みなさんも、ペンネームとして考える必要はなくとも、ネット上のIDやハンドルネームを決める際の参考にしてみては。

 

 

きょうも玉稿届きました

 前回から急遽始まった私の友人、五郎による四コマ漫画『まぐねっこ』。

 連載は連載でも、『ペットボトルくん』とおなじく「日刊」連載だという意思表示なのか、本日も原稿が届いていた。

 ということで。

 

・日刊ゆる四コマ『まぐねっこ』(by 五郎)

 その2

 

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 まぐにゃんこちゃんの表情……!

 

 

ゾロ目、33!

 このブログのメインコンテンツは、あくまでもこの四コマである。ここまでの長文は、あくまでも刺身の「つま」的存在である。たぶん。

 

・日刊ゆる四コマ『ペットボトルくん

 その33

 

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  私はもう8年ものあいだ禁酒をつづけている。ノンアルビールのクオリティが年々あがっているのがありがたい。

 

 

  一番のお気に入りだが、ほかのにすり替えられていても、違いを指摘できる自信はまったくない。

 

 ふう、きょうは持病が悪化してとうとう日付をまたぐまで遅れてしまった。

 今回はここまで。ぷしゅっ、としようかな。