ツール・ド・フランスを楽しむ4ステップ<2>逃げ、アタック、スプリント…ロードレースの「3戦術」を押さえてツールがもっと身近にPR
4回にわたってお届けする「ツール・ド・フランスを楽しむ4ステップ」。第2回目は、「ロードレースの基本」を押さえていきたい。選手・レース関係者のみならず、なぜファンまでもがツールに魅せられ、熱狂するのか。スカパー!での生中継で3週間のツール観戦をするうえで必要な基本の“き”を、レースの観点から着目してみる。
ロードレースはチームプレー
選手が一斉にスタートし、1番でフィニッシュラインを通過した選手が優勝。いたってシンプルに見えるロードレースだが、意外と奥深いのである。
名高いレースであれば、約200人の選手がスタートラインに並ぶ。その中で勝ち残るには、1人の力では実質不可能であることを知っておきたい。
ツールは1チーム9人で編成されるが、レース中は選手各々が役割を与えられて走っている。その中で最も実績や実力のある選手、またはコンディションが整っている選手が「エース」と呼ばれるポジションに就く。そのレースで勝利を託された選手であり、チーム内での信頼も厚いことが条件だ。
一方、残る8人は基本的に「アシスト」と呼ばれる役割を担う。エースのために全力でサポートする立場で、同じスタートラインにつくものの、自身が優勝を目指して走ることはない。いわば犠牲になるのである。
いくつかあるアシストの仕事の中でも、特に重要なのは風除けである。ロードレースでは、走行中の空気抵抗によって体力が著しく消耗する。トップクラスの選手は、時速40kmを超えるスピードで数時間走り続けるが、強い風圧を受けるため、単独で走り続けて勝利するのは困難となる。できる限り集団で走り、他の選手を風除けにしながら体力の消耗を最小限にとどめるべく、選手間で協力をする。
これはエースを万全のタイミングで勝負に送り出すうえでも大切だ。エースの体力を消耗させないよう、アシストたちは前を固めて風除けを務めるのである。
エースとアシストがそれぞれの役割を果たして勝利を目指す。ロードレースはチームプレーで成り立っているのだ。エースの勝利はチームの勝利。アシストはエースが1位でフィニッシュするために献身的に働き、エースはアシストの働きに応えるため、大きなプレッシャーの中で戦っているのである。
案外分かりやすい!? 3つのレース展開
3週間全21ステージで争われるツールは、1ステージあたりおおよそ150~200kmが平均的なレース距離。気が遠くなってしまうほどの長距離だが、その間にレースで起きていることは思いのほかシンプルだ。レース展開については、3つの戦術を基本として理解しておこう。
・逃げ
選手たちが一斉にスタートすると、その直後から各チームのアシストを中心に何人かの選手が全力でペダリングして飛び出しを図る。彼らは「逃げ」と呼ばれる立場となり、レースを先行する。逃げは1人のこともあれば、数人のグループになることもある。
逃げの選手たちがレースの先頭を走ったまま、フィニッシュへたどり着くことは少ない。たいてい、レース終盤までには集団に吸収されてしまうのだ。逃げの狙いは、わずかな勝利の可能性にかけているケース、億単位の莫大な金額でチームを支えるスポンサーを宣伝するためのアピール、ライバルチームにプレッシャーをかけるため…など、さまざまある。
・アタック
レース後半、逃げグループを吸収すると勝負はいよいよ本番。優勝を争うような有力選手を中心に、戦いを優位に展開するために「アタック」を仕掛ける。アタックとは、ほぼ全力で急激なペースアップを図ることで、実力のある選手がこの攻撃に転ずれば、メイン集団は一瞬にして破壊される。アタックが成功すれば、1人または数人のグループでフィニッシュを目指すことになる。
こうした動きは、主に山岳ステージで見られる。
・スプリント
フィニッシュを目前に、集団が1つの場合はスプリントによる優勝争いになる。スプリントを得意とするスピードのある選手の出番である。
スプリント勝利を狙うチームは、フィニッシュ目前に「トレイン」と呼ばれる隊列を組む。エースを風から守るため、そしてハイスピードで走るために何人ものアシストが前を固める。
最後のアシストは“発射台”と呼ばれ、エースをタイミングよく前方へと放つ。スプリント時のスピードは、実に時速60kmを超えることもある。
これは主に、平坦ステージで見られる。
レース中の食事とトイレは?
ロードレースの競技時間は、4~5時間。長いときであれば6時間を超える。1レースにつき、消費するカロリーは6000kcalとも7000kcalとも言われる。成人男性の1日の平均摂取カロリー(約2000kcal)の3倍以上を一気に使い尽くす計算だ。また、水分摂取量にいたっては、夏場であれば10リットルに及ぶ場合も!
そのため、選手たちは水やスポーツドリンクを入れたボトルをバイクに装着しておく。また、コース上に用意された補給所でパンやジェル状の食品を受け取ったり、スタート時に携帯しておくなどして、走りながら適宜補給を行う。
一方で、それだけ飲食物を摂取していれば、体から出ていく量も激しい。汗としてはもちろんだが、それ以外にも・・・。
そこで、選手たちはレース中どこかのタイミングで「トイレタイム」を設ける。場所や時間の基準はなく、レース展開が一旦落ち着きを見せたときに、次々とコース脇に立ち止まって用を足す。また、状況が整わない場合は、バイクに乗りながら「巧みに」出してしまう選手も・・・。
レース中に食事をするくらいなのだから、当然出すものも出さねばならない、そんなところである。
◇ ◇
ここまで読んだら、あとはツール・ド・フランスの開幕を待つのみ。7月2日から始まる3週間の戦いでは、ロードレースとの出会いを実感し、思いがけない感動や驚きに魅せられることだろう。いよいよ始まるツールは、すべてスカパー!のJ SPORTSで生中継される。
スカパー!でツール・ド・フランスを独占生中継
タイトル :ツール・ド・フランス2016
放送日時 :7月2日(土)午後7:00~ 7月24日(日)
チャンネル:J SPORTS 4(BS245)
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