米テスラ車 自動運転機能で走行中に初の死亡事故

米テスラ車 自動運転機能で走行中に初の死亡事故
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アメリカの電気自動車メーカー、テスラモーターズは、自動運転の機能を使って走行中のテスラの車で初めての死亡事故が起きたことを明らかにし、アメリカの運輸当局はシステムに問題がなかったかを検証する予備的な調査を始めることになりました。
アメリカ運輸省によりますと、ことし5月7日、南部のフロリダ州の交差点で、テスラの電気自動車「モデルS」が、前方で左折していた大型トレーラーと衝突する事故が起きました。この時、車は、アクセルやブレーキを自動で調節する自動運転の機能を使って走行していましたが減速せずに衝突し、運転手の男性が死亡しました。
テスラによりますと、当時は日ざしが眩しかったことから自動運転の装置が白い色のトレーラーに反応せず運転手も認識できなかったためブレーキをかけられなかったとしています。
死亡事故を受けて、アメリカ運輸省の道路交通安全局は、自動運転システムの設計や性能に問題がなかったかを検証する予備的な調査を始めることを明らかにしました。
テスラは、アメリカで去年10月から自動運転の機能を提供していますが、これを利用中に起きた死亡事故は初めてだということです。自動車メーカー各社が自動運転の開発にしのぎを削る中で起きた今回の事故は、メーカー側に安全対策を求める議論にも影響を与えそうです。

テスラの自動運転機能 日本でも提供

テスラモーターズは、去年10月、アメリカなどで運転手がハンドルやアクセルを操作しなくても自動で走行できる機能の提供を始めました。「モデルS」と呼ばれる主力の電気自動車にはあらかじめ周囲の状況を把握するカメラやセンサーが装備されていて、インターネットを通じてソフトウエアを更新することで機能を追加したり向上させたりすることができます。
機能としては、運転手がハンドルやアクセルなどを操作しなくても車線に沿って前の車との距離や速度を制御して走行できるほか、ウインカーを出すだけで自動的に車線を変更することができます。このサービスは日本でも国の承認を得てことし1月から提供しています。
ただ、テスラは、こうした機能はあくまで運転の支援が目的だとしており、運転手には常にハンドルに手を添えることを求めているほか、車の操作の責任は運転手にあることを強調しています。
テスラによりますと、このサービスを利用しているすべての車の走行距離の合計はこれまでに2億1000万キロを超えていますが、死亡事故が起きたのは今回が初めてだとしています。

死亡した男性 自動運転の動画を生前投稿

テスラモーターズの自動運転の機能を利用中に死亡した男性は生前、この機能によって交通事故を防ぐことができたという動画をインターネット上に投稿していました。
男性がことし4月に動画共有サイト、ユーチューブに投稿した動画では、運転中に左から急に走行車線に割り込んできたトラックをセンサーが感知して自動的にハンドルが右に切られて接触を防ぐ様子が映し出されています。この投稿に対しては、テスラのイーロン・マスクCEOもみずからのツイッター上で、自動運転機能が衝突を防いだ動画だと紹介していました。
テスラは、亡くなった男性について、「彼は革新的な発明や技術の進歩、それにテスラの使命を強く信じていた友であった。残された彼の家族と友人に心からお悔やみを申し上げる」とコメントしています。