空港テロ「自爆の1人 IS支配地域から」報道
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トルコ最大の都市イスタンブールの国際空港で起きた自爆テロ事件で、ロシア南部の出身の容疑者の男が、過激派組織IS=イスラミックステートが支配する隣国シリアのラッカからトルコに入国して犯行に及んだと地元のメディアが伝え、捜査当局はISとの関連を捜査しています。
トルコ最大の都市イスタンブールにあるアタチュルク国際空港で先月28日に起きた自爆テロ事件では、犠牲者の人数が増え、44人が死亡、200人以上がけがをしました。
トルコのアラ内相は30日、今回の事件について議会で説明し、これまでの捜査結果から、過激派組織ISが関与したとみていることを強調しました。そのうえで、これまでに外国人4人を含む13人を拘束したほか、自爆した容疑者の男3人のうち1人の国籍を特定したことを明らかにしました。
地元の主要なメディアは30日、当局の情報として、3人はロシア南部、ウズベキスタン、それにキルギスの出身者だったと伝えていて、このうちのロシア南部の出身の男が、ISが支配し一方的に首都と位置づけるシリア北部のラッカから5月25日にトルコに入国し、イスタンブールに拠点を置いて今回の犯行に及んだと伝えています。また、別の地元のメディアは、この男が去年もトルコに入国していたと伝えていて、捜査当局は入国のいきさつなどを調べるとともに、ISとの関連を捜査しています。
トルコのアラ内相は30日、今回の事件について議会で説明し、これまでの捜査結果から、過激派組織ISが関与したとみていることを強調しました。そのうえで、これまでに外国人4人を含む13人を拘束したほか、自爆した容疑者の男3人のうち1人の国籍を特定したことを明らかにしました。
地元の主要なメディアは30日、当局の情報として、3人はロシア南部、ウズベキスタン、それにキルギスの出身者だったと伝えていて、このうちのロシア南部の出身の男が、ISが支配し一方的に首都と位置づけるシリア北部のラッカから5月25日にトルコに入国し、イスタンブールに拠点を置いて今回の犯行に及んだと伝えています。また、別の地元のメディアは、この男が去年もトルコに入国していたと伝えていて、捜査当局は入国のいきさつなどを調べるとともに、ISとの関連を捜査しています。
トルコ ISに加わるための拠点に
旧ソビエトの中央アジア諸国や、ロシア南部のイスラム系住民の多い北カフカス地方からは、若者たちがトルコを経由してシリアへ渡り、過激派組織IS=イスラミックステートに加わってきました。
中央アジアのウズベキスタンやタジキスタンなどでは、強権的とされる政権や、多くの人たちが出稼ぎに行くロシアの当局に対する反発などから、ISに加わる若者が増えて、その数は数千人に上るとみられています。また、ロシア南部、北カフカス地方のダゲスタン共和国などでは、高い失業率を背景に、一部の若者がISに加わっているほか、地元のイスラム過激派勢力もISに忠誠を誓って、警察の関連施設を襲撃する事件を相次いで起こし、ISとの連携を強めています。
トルコは、中央アジアやロシア南部の出身者たちがISに加わるためにシリアに渡る拠点となっていて、ロシア政府はトルコ政府に対して、シリアとの国境での取り締まりを強化するよう求めてきました。
ロシアのプーチン政権は、北カフカス地方や中央アジアの出身者たちがシリアからロシアに移動し、テロ活動を活発化させることに強く警戒していて、シリアでISなどに対する空爆を開始した理由の1つにも挙げています。
中央アジアのウズベキスタンやタジキスタンなどでは、強権的とされる政権や、多くの人たちが出稼ぎに行くロシアの当局に対する反発などから、ISに加わる若者が増えて、その数は数千人に上るとみられています。また、ロシア南部、北カフカス地方のダゲスタン共和国などでは、高い失業率を背景に、一部の若者がISに加わっているほか、地元のイスラム過激派勢力もISに忠誠を誓って、警察の関連施設を襲撃する事件を相次いで起こし、ISとの連携を強めています。
トルコは、中央アジアやロシア南部の出身者たちがISに加わるためにシリアに渡る拠点となっていて、ロシア政府はトルコ政府に対して、シリアとの国境での取り締まりを強化するよう求めてきました。
ロシアのプーチン政権は、北カフカス地方や中央アジアの出身者たちがシリアからロシアに移動し、テロ活動を活発化させることに強く警戒していて、シリアでISなどに対する空爆を開始した理由の1つにも挙げています。
3人が借りていたアパートは
NHKの取材班は30日、イスタンブール中心部の移民や難民が多く暮らす地区で、容疑者の男3人が借りていたというアパートを訪ねましたが、部屋の窓はすべて日よけが降ろされていて、中の様子をうかがうことはできませんでした。
現地のメディアによりますと、男らは、事件のおよそ1か月前、不動産業者を通じてこのアパートの部屋を借り、事件の準備を進めていたということです。そして、事件の当日、男らはアパートからおよそ300メートル離れた商業施設まで歩いたあと、タクシーをつかまえて、アタチュルク国際空港に向かったということです。このタクシーの運転手は、地元メディアの取材に対して、「男らはトルコ語で『アタチュルク空港』と行き先を告げたあと、黙っていた。落ち着いた様子で不審な点はなかった」と証言しています。
近所の住民は「3人の姿を見たことはないし、知っているという人もいない。誰も住んでいないものだと思っていた」と困惑した様子で話していました。
警察は、アパート近くにある携帯電話販売店の監視カメラに写っていた3人がスーツケースを引いて店の外を歩く映像を押収しました。店長のジャヒット・チフトチさん(38)は、3人とは面識がないとしたうえで、この地区に移民や難民が増えていることについて、「最近、知らない人の姿が増え、どこの出身の人なのかすら分かりません。この地区は複雑な問題を抱えつつあり、将来の火種になるかもしれません」と話していました。
現地のメディアによりますと、男らは、事件のおよそ1か月前、不動産業者を通じてこのアパートの部屋を借り、事件の準備を進めていたということです。そして、事件の当日、男らはアパートからおよそ300メートル離れた商業施設まで歩いたあと、タクシーをつかまえて、アタチュルク国際空港に向かったということです。このタクシーの運転手は、地元メディアの取材に対して、「男らはトルコ語で『アタチュルク空港』と行き先を告げたあと、黙っていた。落ち着いた様子で不審な点はなかった」と証言しています。
近所の住民は「3人の姿を見たことはないし、知っているという人もいない。誰も住んでいないものだと思っていた」と困惑した様子で話していました。
警察は、アパート近くにある携帯電話販売店の監視カメラに写っていた3人がスーツケースを引いて店の外を歩く映像を押収しました。店長のジャヒット・チフトチさん(38)は、3人とは面識がないとしたうえで、この地区に移民や難民が増えていることについて、「最近、知らない人の姿が増え、どこの出身の人なのかすら分かりません。この地区は複雑な問題を抱えつつあり、将来の火種になるかもしれません」と話していました。
日系企業 警戒も離れられない事情
JETRO=日本貿易振興機構によりますと、イスタンブールには日本人が駐在している企業が90社以上あり、およそ1400人の日本人が暮らしています。
このうち、日本の大手食品メーカーの子会社「ユナイテッド・ジェネティックス」では、日本人3人が勤務しています。2年前に赴任した副社長の井上岳彦さんは、ことしになって、テロが起きた旧市街や中心部には近づかないようにするなど行動範囲を制限していると話しています。そして、トルコでテロが相次ぐようになった去年の夏以降、契約しているセキュリティー会社や日本総領事館から届く治安に関するメールを頻繁にチェックするよう心がけているということです。
井上さんは「赴任したときには治安も悪くなかったので、こうしたメールを読んでいなかったのですが、今はどこで何が起きてどういうことになっているのかは頭に入れておこうと思っています。それに使う時間は、ここでビジネスをやっていくうえで必要投資だと、頭を切り替えてやっています」と話していました。このメーカーが主要な原料にしているトマトは、生産量と消費量でトルコが世界有数だということで、井上さんは「トルコを避けて通るわけにはいきません。海外での事業は、身の安全や治安について情報を集め、宗教のことも学んで、ようやくやっていけるのだと思います」と話していました。
JETROによりますと、今のところ日系企業の撤退や縮小の動きはないものの、日本からの出張を見合わせるケースは相次いでいるということです。
このうち、日本の大手食品メーカーの子会社「ユナイテッド・ジェネティックス」では、日本人3人が勤務しています。2年前に赴任した副社長の井上岳彦さんは、ことしになって、テロが起きた旧市街や中心部には近づかないようにするなど行動範囲を制限していると話しています。そして、トルコでテロが相次ぐようになった去年の夏以降、契約しているセキュリティー会社や日本総領事館から届く治安に関するメールを頻繁にチェックするよう心がけているということです。
井上さんは「赴任したときには治安も悪くなかったので、こうしたメールを読んでいなかったのですが、今はどこで何が起きてどういうことになっているのかは頭に入れておこうと思っています。それに使う時間は、ここでビジネスをやっていくうえで必要投資だと、頭を切り替えてやっています」と話していました。このメーカーが主要な原料にしているトマトは、生産量と消費量でトルコが世界有数だということで、井上さんは「トルコを避けて通るわけにはいきません。海外での事業は、身の安全や治安について情報を集め、宗教のことも学んで、ようやくやっていけるのだと思います」と話していました。
JETROによりますと、今のところ日系企業の撤退や縮小の動きはないものの、日本からの出張を見合わせるケースは相次いでいるということです。