国土面積の0・6%の沖縄県に、米軍専用施設の約74%が集中している。あ…[続きを読む]
活発な前線の影響で、九州を中心に大雨の被害が出ている。前線はいったん南…
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活発な前線の影響で、九州を中心に大雨の被害が出ている。前線はいったん南下するが、梅雨末期は大雨が降ることが多い。今後も警戒が必要だ。
すでに地震の被災地、熊本では集中豪雨で土砂崩れも発生し、6人の死者が出た。雨の多い季節は続く。各家庭でいま一度、万一に備え、避難場所などを確認しておきたい。
近年、経験したことがないような豪雨は毎年のように降っている。昨年の関東・東北豪雨では茨城県で堤防が決壊し、鬼怒川が氾濫(はんらん)。14年には広島の土砂災害で74人の犠牲者が出た。
目立つのが、同じ場所で大雨が長時間降る現象だ。
前線上の低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、その空気が上空に持ち上げられ、積乱雲が次々と発生して一定の地域にかかり続ける。「線状降水帯」と呼ばれる。
地形にもよるが、通常、1時間雨量が50ミリを超えると災害が発生しやすい。近年、50ミリを超える豪雨は珍しくない。経験則が通用しない時代と認識すべきだ。気象庁は極端化する気象の予報精度を高め、早めの警戒呼びかけに努めてほしい。
首都圏では渇水で水不足が心配される。だが、ゲリラ豪雨のように、都市でもよくある強雨の場合、数時間で道路冠水や川の氾濫が起こりえる。
国土の約7割を山地が占める日本は年間約千件の土砂災害が発生し、ほぼ毎年10人以上が犠牲になっている。都道府県が公開している土砂災害危険箇所を、周知することが重要だ。
政府の中央防災会議は5月、防災基本計画を改定した。ポイントは、水害時の避難勧告の出し方だ。過去には外出は危険と判断するなどして、市町村が避難勧告の発令を躊躇(ちゅうちょ)することがあった。基本計画は、避難勧告を出した上で、災害の切迫状況に応じ、とるべき避難行動を説明するよう補足した。
近所の堅牢な建物への退避や、外出が危険なら自宅の高層階での待機を呼びかけるなど、情報提供の工夫も有効だ。
住民も命を守るための意識を高めねばならない。自宅周辺の危険を認識し、避難方法を状況に応じて考えておきたい。
気象庁によると、日本近海の平均海面水温は100年で1・07度上昇した。世界全体の平均の倍だ。温暖化で大気中の水蒸気が増えるなか、海水温の上昇で暖湿な空気が入り込めば、豪雨はさらに起こりやすくなる。
日本は河川が多い国でもある。氾濫や土砂崩れの恐れは随所にあることを肝に銘じたい。
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