15世紀ごろの屋敷跡出土 京都嵐山の嵯峨遺跡、陶磁器も発見
京都市右京区嵯峨天龍寺若宮町の発掘調査で、15~16世紀の有力者の屋敷とみられる遺構が見つかったと民間発掘調査会社の京都平安文化財(京都市伏見区)が30日に発表した。中国製の青磁や白磁、天目茶碗などが多く出土し、当時の天龍寺周辺の繁栄ぶりがうかがえる。
調査地は、天龍寺などの大きな寺院や離宮を中心に形成された嵯峨遺跡の一画。室町時代の地図によると、一般の民家や商家などがある街区となっていた。
建物の遺構は2つあり、周囲には大きな井戸があり、炉を備えた工房の痕跡が見つかった。戦国時代の遺物が多く、輸入陶磁器のほかにも瀬戸、備前、信楽などの陶器が大量に見つかり、裕福だった居住者の暮らしをしのばせる。
また、硯(すずり)の出土も多かった。調査地近くの清滝では粘板岩がよく採れ、近代まで硯の産地だったといい、製造の歴史は室町時代後期に遡ることが分かった。
調査担当者は「応仁の乱では天龍寺周辺も巻き込まれたが、その後も調査地周辺は復興していた様子が分かってきた」と分析している。
現地説明会は2日午後1時半~3時半。当日のみ現場携帯電話090(5670)5195。
【 2016年06月30日 23時00分 】