「思考のスピードが速い」人の頭の使い方
「推測・意見・事実」を仕分けしよう
もっと頭を使って考えろ!――。上司からこんな叱責を受けたことはないでしょうか。「正解がない」といわれる今の社会は、思考力が求められる時代です。日本IBMのシニア・プロジェクト・マネジャーとして、数百人のメンバーを抱える木部智之氏は、「思考のスピードが速い人」はインプットのしかたが違う、と断言します。『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』の著者であり、自他共に認める“スピード狂”である木部氏に、効果的なインプットの方法について聞きました。
「思考のスピードが速い人」と言うと、頭の回転が速く、矢継ぎ早にアイデアを思いつく人を想像するかもしれません。「自分には、天才的ひらめきは降りてこない」「頭がこんがらがって、整理するのが苦手」とコンプレックスがある人もいるでしょう。
でも私は、生まれ持った「頭のよさ」と「思考のスピード」は、まったく別のものだと考えています。
推測や意見よりも大事な「事実」
最速で答えにたどり着くために「まず」必要なこと。それは、「正しい情報」をインプットすることです。
インプットが間違っていると、結局、すごろくで言う「振り出しに戻る」状態で、正しい事実をとらえるところからやり直さなければならなくなります。
最近は「今は正解のない時代だ。だから自分の頭で考えよう」ということがよく言われますが、自分の頭で考える前に絶対に必要なのが、事実を正しく把握することです。事実を間違ってとらえたままの状態でいくら考えても、それは結果的に考えたことにはなりません。
インプット情報のひとつに人の発言があります。そして、人の発言を正しくとらえるには「推測」「意見」「事実」の3つがポイントとなります。相手がどれを述べているかを分類しながら聞くと、正しくインプットできるようになります。