アーティストニュース・レポート
やくしまるえつこ、「人類滅亡後の音楽」を遺伝子組み換え微生物で発表
2016.06.30
2016年9月17日〜11月20日まで茨城県北地域6市町の海と山を舞台に開催され、公式テーマソングをやくしまるえつこが手がける国際芸術祭「KENPOKU ART 2016 茨城県 北芸術祭」。このたび、やくしまるによるテーマソングの概要が発表された。
やくしまるによるテーマソングのコンセプトは「人類滅亡後の音楽」。古来より伝達と記録によって継続されてきた人類の歴史。そして同じく伝達と記録、また、変容と拡散の歴史の中にある音楽。その関係性と、遺伝子とDNAとの関係性の類似に着目し、いつか人類が滅んだとしても、新たな生命体が記録/DNAを読み解いて奏で、歴史をつなぐことのできる音楽を遺伝子組み換え技術を用いて制作する。
「KENPOKU ART」が開催される茨城県北地域は自然と科学の深い結びつきを持ち、海と山には、古くかららん藻(シアノバクテリア)の一種である微生物「シネココッカス」が生息している。やくしまるは、この微生物「シネココッカス」の塩基配列を組み込んだ楽曲を制作し、さらにその楽曲情報をコドン変換し、DNAを人工合成してこの微生物の染色体に組み込む。楽曲そのものはもとより、この遺伝子組み換え微生物そのものを「KENPOKU ART」のテーマソングとする。
制作された音楽をDNA情報にもつ遺伝子組み換え微生物は自己複製し続けることが可能なため、最強にして最長の音楽記録媒体、歴史に類を見ない流通形態となる。
このテーマソング音源は「KENPOKU ART」会期スタートと同時に世界一斉配信される。また、芸術祭期間中は、関連展示会場としてFabCafe MTRLに新設されるバイオラボにて、この遺伝子組み換え微生物の実物が展示される予定。

やくしまるえつこによるテーマソングのステイトメント
「人類滅亡後の音楽」
人類は古来より伝達と記録によってその歴史を継続させてきた。そして音楽の歴史もまた、伝達と記録、ひいては変容と拡散の中にある。
歌われ/奏でられた音楽は、口承で/楽譜で/ラジオで/レコードやCDで/クラウドで、他者に伝えられ/複製され/演奏され、その過程で変異を発生させながら時空を超えて拡散する。音楽とメディアの深いかかわりは、伝達と記録の関係性であり、それは遺伝子とDNAであるとも言える。
「KENPOKU ART」が開催される茨城県北地域には自然と科学の深い結びつきがあり、それは人間のユニークな創造性によって深められ、多くのエネルギーを生んできた。自然とともに科学技術を発展させることは、自然のもつ記録/DNAを読み解き、その意味する情報/遺伝子を人間ならではの科学技術や芸術に置き換えて伝えていくことでもある。そしてそのさいに発生する/させる変異には大きな生命力――存続のためのエネルギー――が宿る。
このように様々なエネルギーをもつこの地の海と山には、古くかららん藻(シアノバクテリア)の一種である微生物「シネココッカス」が生息している。この微生物の塩基配列を組み込んだ楽曲を制作し、さらにその楽曲情報をコドン変換し、DNAを人工合成してこの微生物の染色体に組み込む。楽曲そのものはもとより、この遺伝子組み換え微生物そのものを「KENPOKU ART」のテーマソングとし、新しい音楽――伝達と記録、変容と拡散――の形を探る試みである。
この音楽をDNA情報にもつ遺伝子組み換え微生物は自己複製し続けることが可能である。いつか人類が滅んだとしても、人類に代わる新たな生命体がまたその記録を読み解き、音楽を奏で、歴史をつなぐことになるだろう。
イベント情報
「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」
会期:2016年9月17日(土)〜11月20日(日)
開催市町:茨城県北地域6市町(日立市・高萩市・北茨城市・常陸太田市・常陸大宮市・大子町)
配信情報
やくしまるえつこ KENPOKU ART 2016 公式テーマソング「(タイトル未定)」
2016年9月17日世界一斉配信
遺伝子組換え微生物展示予定:FabCafe MTRL
http://kenpoku-art.jp/artists/etsuko-yakushimaru
関連リンク
■やくしまるえつこ オフィシャルサイト:http://yakushimaruetsuko.com/