強制退去処分 取り消し求めたタイ人高校生と母が敗訴

強制退去処分 取り消し求めたタイ人高校生と母が敗訴
日本で生まれ、甲府市の高校に通っているタイ人の男子生徒が、母親とともに受けた強制退去処分の取り消しを求めた裁判で、東京地方裁判所は、暮らしたことのないタイに送還されると生活が困難になると認めた一方、「日本で養育できる人がいない」として、訴えを退ける判決を言い渡しました。
甲府市で母親と暮らしている高校2年生のウォン・ウティナンさん(16)は、母親が不法滞在だったため在留資格がなく、3年前に東京入国管理局に出頭して日本で暮らすための在留特別許可を求めましたが認められず、2人とも強制退去の処分を受けました。日本で生まれ育ったウティナンさんはタイ語の読み書きができず、タイで暮らすのは難しいとして、母親とともに処分の取り消しを求める訴えを起こしました。

30日の判決で東京地方裁判所の岩井伸晃裁判長は、母親については「タイに戻っても生活に特段の支障はない」と指摘しました。一方、ウティナンさんについては、暮らしたことのないタイでは生活が困難になると認めましたが、「退去させられる母親の代わりに日本で養育できる人がいない」として、いずれも訴えを退けました。

ウティナンさんは「日本は母国でタイに居場所はありません。支えてくれる人や友だちがたくさんいる日本にいさせてください」と訴え、控訴する考えを示しました。