不妊治療のために、もっと自分を律さなければならないと思いながらもぬるぬると過ぎていく毎日。自分に甘くて嫌気が差します。
第9回

不妊治療のために、もっと自分を律さなければならないと思いながらもぬるぬると過ぎていく毎日。自分に甘くて嫌気が差します。

2016/06/30公開

お悩み

私はダメな自分が本当に嫌です。
現在結婚して何年か経ち、不妊治療と仕事を並行し、気づけば三十路になっていました。
不妊治療のためにタバコをやめなければならない、肥満体型をどうにかしなければならない、もっと自分を律さなければならないと思いながらもぬるぬると過ぎていく毎日。
やらなければいけないと思いながらも継続することができない自分に嫌気が差します。
本当に自分に甘い、こんな私はどうすればいいのでしょうか。
もう、どうしようもないほどのダメ人間なのでしょうか。

回答

ご質問誠にありがとう御座います。
 
ええ、ダメ人間だと思います。自分に甘くて、本気になれない、どこにでもいる極めて普通なダメ人間だと思います。

ちょっと、たとえ話をしてみましょう。

例えば「自分は太っているから彼氏ができない」という悩みを抱えている方がいたとします。
それならばダイエットをすればいい、ということになるのですが、そんな簡単に割り切ることができれば、誰も悩んだりしないのです。
しかし『簡単に割り切れない』理由はいたってシンプルですので、その理由について説明させていただきます。

1つめの理由は『保証』。
保証というと非常に難しい感じがしてしまいますが、そんなに難しい話ではありません。
要するに「痩せれば彼氏ができるのか」ということ。
みなさまもお気づきのことと思いますが、この世界には「痩せているのに彼氏がいない女性」などいくらでもいらっしゃいます。つまり「太っているから彼氏がいない」とお悩みの方も、心の底から本気で「太っているという理由だけで」彼氏がいないとは思っていません。性格に問題があるのかもしれませんし、身だしなみに問題があるのかもしれない。いずれにしても「せっかく痩せたのに、結局彼氏はできなかった」ということになってしまう可能性を考えているのです。
どうせ彼氏ができないなら、わざわざつらい思いをして痩せる理由なんてありません。それが『簡単に割り切れない』理由の1つめで御座います。
 
2つめの理由は『逆の意味での保証』。
先ほどは「痩せても彼氏ができないかもしれない」という『保証』の話をさせていただきましたが、それとはまったく逆で「痩せなければ絶対に彼氏ができない」という『保証』もまた、この世には存在しません。
これまた先ほどとは逆の話になりますが、この世界には「太っているのに彼氏がいる女性」もまたいくらでも存在します。ということは、いまの時点で「太っているから彼氏ができない」とお悩みの女性も、何かのきっかけで「太ったままで彼氏ができる可能性」が存在するのです。そうなれば「わざわざ痩せなくたって彼氏ができるかもしれないから」という可能性を考えてダイエットをしません。これが『簡単に割り切れない』理由の2つめで御座います。
 
さて、この2つが原因で割り切れない方の場合、確率の観点から痩せたほうがいい、というのが私の意見になります。別段、太っていることが悪いというわけではないのですが、確率で考えれば「太っているより、健康的なスタイル」のほうが彼氏ができる可能性は間違いなく高いでしょう。
 
もちろん、彼氏なんていうものは正直どうでもよくて、ご自身の健康のためにも平均的な体型になったほうがいいのは間違いございません。それに「自分に自信を持つ」という意味でも「体型」でお悩みならば痩せたほうがよいでしょう。
 
しかし『簡単に割り切れない理由』は先ほどの2つだけではなく、もう1つ存在するのです。そしてじつはこれこそが最大の原因でしょう。
 
その理由を説明する前に、私の祖父の死因について少しお話しさせていただきたく思います。私の祖父は10年ほど前に喉頭がんで亡くなりました。喉頭がんというのは、のどにできるがんのことで、最大の要因は『タバコ』と言われております。
私の祖父もその例に漏れず、何十年もタバコを吸い続けたヘビースモーカーだったのですが、彼のすごいところは、医者から「タバコをやめないと死ぬ」と言われても「なお」タバコを吸い続けたことです。
祖父は「タバコをやめれば寿命が延びる」ということを疑っていたわけではありません。ですので、先ほどの1つめの理由ではないのです。そして「タバコを吸っていても治る」という可能性を信じていたわけでもありません。ですので、先ほどの2つめの理由でもありません。
 
祖父がタバコをやめなかった理由こそが、私が3つめの理由に考えているもので御座います。
 
それは、そもそもやめる気がない。
 
世間一般の考えからすれば「タバコ」と「命」はどう考えても「命」のほうが重要でしょう。

ですが少なくとも私の祖父は「タバコや止めて10年長生きするくらいなら、タバコを吸っていますぐ死ぬ」と考えていたように思えます。

ですので家族は「やめろ、やめろ」と慌てていたものの、本人はまったくやめる気がありませんでした。
 
これは何も珍しいことではありません。
というより「やらなければいけないことをやらない」という原因のほとんどはこれであると思います。
私の祖父がちょっと特殊なのは「そのことになんの引け目も感じていなかった」ということだけであり、それ以外は極めて普通な判断をしている人間であったことでしょう。
 
これをダイエットに当てはめて考えてみましょう。
 
ダイエットというものは得てしてツラいものです。その苦痛を100だとしましょう。
もし「彼氏ができる」ということの幸福が150であったのであれば、誰だってダイエットをします。むしろやめるほうが難しいくらいです。
しかし、ダイエットをする苦痛が100であるのに対して、彼氏ができる幸福が50であったら、いったいどこの誰がダイエットをするでしょうか?
 
たしかに世間は「ダイエットの苦痛は100で、彼氏ができる幸せは150だから、ダイエットをしたほうがいい」みたいな主張をしています。

それが多くの方に該当することもまた間違いないでしょう。
 
ですが、自分自身の幸せを考えたとき、かならずしもその公式は正しくありません。

どれだけ世間が「彼氏ができる幸福は150だよ」と言ったとしても、もしかしたら彼氏ができる幸福は『0』であるばかりか、マイナスだと感じる方もいらっしゃることでしょう。
 
そんな方は、どれだけ「ダイエットしなきゃ」と思っても、ダイエットは成功しません。
そもそもダイエットを望んでいないのですから、当然です。

では、そんな方はどうやってダイエットを成功させればよいのでしょうか。
 
……
…………
 
と、考えてしまうから問題なのです。

どれだけ世間が「ダイエットをして彼氏を作ったほうがいい」と言ったところで、その方にとってはダイエットをしないほうが幸せなのですから、なんでダイエットをしなければいけないのでしょうか?
 
それは私の祖父がかたくなにタバコをやめなかったのと同じです。

たしかに一般的な価値観であれば、命とタバコを天秤にかければ、命のほうが幸せだ、と思う方が多いでしょう。

ですが、その公式は私の祖父には当てはまらなかったのです。それならば、いったいなぜ、タバコをやめなくてはいけないのでしょうか?
 
さて、それでは、今回のお悩みにお答えさせていただきます。
 
本当に子どもを作りたいのでしょうか?
 
たしかに世間や親は「子どもを作れ」「子どもを作ったほうが幸せだ」と口うるさく言ってくることでしょう。

ですが、もし『禁煙』や『ダイエット』の苦痛より、子どもができる幸せのほうが大きいのであれば、それはそんなに難しいことではないのです。

これはご質問者さまのような『ダメ人間』であれば当然のことでしょう。

『ダメ人間』というのは楽なほうへ、幸せなほうへと流れていく極めて普通な価値観を持っている人間のことで御座います。
ですので、そんな人間であれば、どう考えたって『禁煙』や『ダイエット』という『楽で幸福な手段』に流れ着くはず。
 
それにも関わらず、ご質問者様が『禁煙』や『ダイエット』ができないということは、それが『幸福な手段』ではないということ。世間とのズレでお悩みなだけで、本質的に悩みは存在しないのです。
 
ちょっと考えてみてください。本当に『子ども』が欲しいですか?
ご質問文には、少しも「子どもがほしい」というニュアンスがありません。これは小さなことのようで、けっこう重要なことで御座います。

少なくとも私にはこのご質問文は「べつに子どもが欲しいわけではないけど“世間のプレッシャーでしかたなく”子どもを授かる努力を強いられている」という悩みについてのご質問にしか見えません。

考えてもみてください。この世界に「仕事がしたくてしかたがない人間」がどれだけいると思いますか?
たぶん10%もいないと思います。
 
それにも関わらず、みなさま、なんだかんだ言って仕事をしています。
それは『仕事をするということが幸せな手段』であるからにほかなりません。
みんな「仕事が嫌い」と口にしながら、それが『幸せになる手段』とわかれば、なんだかんだ言って仕事をするのです。
 
ダメ人間は、そういう『自分が幸せになる手段』には敏感です。
ですので、ダメ人間であればあるほど、頑張っても達成できない課題というのは『そもそもそれが幸せにつながっていない手段』であることが多い。
そんな『幸せにつながっていない手段』なのですから、そもそも「達成しよう」と思うこと自体が意味のないことなのですが、それを世間とかの軋轢(あつれき)で「達成しよう」などと思ってしまうから悩みになってしまうのです。
 
逆に『自分が幸せにならない手段』を達成できてしまう『立派な人』は、そもそも存在しているのかすら怪しいですが、もし存在するとすればそれは『何かがおかしい人』でしょう。

少なくとも私はそんな人間を見たことがありませんが、そんな人間を目指す理由など、私はひとつも思いつきません。
 
たしかに、世間には、いわゆる『世間一般的な幸福』というものが存在します。

結婚もそうでしょう。出世も、彼氏も、彼女も、友人も、趣味も、健康も、すべてが世間一般で言われるところの『幸福』で御座います。
 
ですが、それがいざ『自分自身の幸福』かと言われれば、かならずしも正しくはありません。

『世間の幸福』という価値観から「こうしたほうがいい」と言われて、そのように行動しても、その幸福のための課題が達成できないのなら、それは「そもそもそれが幸福ではない」という可能性を考えなければなりません。
 
私たち『ダメ人間』は、どうにも怠惰で楽な方に流れる生き物なので、どれだけ世間が「こうしたほうが幸せだ」と言ったところで、それが自身の『幸せ』につながっていないのであれば、その課題を克服することができないのです。

[プロフィール]
都内某ラブホテルで働く傍らで、ツイッターや質問サイトで人生相談を行う。やたらと長く、脱線しまくりな回答が見どころ。


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著  者
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レーベル
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