[PR]

 広島や長崎に投下された原爆の被爆者と遺族が、原爆症の認定申請を却下した国の処分の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁(谷口豊裁判長)は29日、被爆した6人全員を原爆症と認め、処分を取り消す判決を言い渡した。

 原爆症の認定基準について国は、2013年12月に救済範囲を拡大した新たな基準を設けたが、6人は新基準でも救済の対象外となった。

 判決は、新基準について「一般的な目安で、一切の例外を許さない基準ではない」と指摘。基準外であっても被爆の程度が同等と考えられれば、基準内と同様に扱うべきだと述べた。

 その上で、爆心地から4・2キロで被爆して慢性心不全を発症した男性や、原爆投下の6日後に爆心地付近を通って心筋梗塞(こうそく)になった女性など、6人はいずれも「放射線が原因で発症し、治療が必要だ」と認めた。

 新基準で不認定だった被爆者を原爆症と認める司法判断は大阪、熊本などで相次ぎ、東京地裁でも昨年10月、原告17人全員が勝訴した。今回の6人は、東京地裁での第2次提訴分。

 判決後の集会で、原告団長の山本英典さん(83)は「東京地裁の二つの判決を見れば、裁判を起こさずに済む制度を作るべきなのは明らかだ」と語った。弁護団の中川重徳弁護士は「基準を機械的に適用する国の考えを一刀両断にした、意義の大きい判決だ」と評価した。

 厚生労働省は「国の主張がほぼ認められなかった。今後の対応は関係省庁と協議した上で決める」との談話を出した。(千葉雄高)