金正恩氏、国務委員長に…党・国家とも最高位
【ソウル米村耕一】北朝鮮の国会にあたる最高人民会議が29日、平壌で開かれ、5月初旬の党大会で朝鮮労働党委員長に就任した金正恩(キム・ジョンウン)氏を新設の国務委員会委員長に推挙した。最高人民会議には金党委員長も出席した。朝鮮中央テレビが報じた。
金党委員長が党と国家機関の両方で、新たに設けられた最高ポストに就任したことになり、本格スタートから4年余りが経過した金正恩体制は「制度的な完成に到達した」(韓国の北朝鮮専門家)との見方が出ている。
「脱非常事態」か
今回の最高人民会議では憲法も改正され、従来あった国防委員会が国務委員会へと改変された。国防委員会は2011年に死去した金正日(キム・ジョンイル)総書記の下で発展、強化されてきた経緯がある。
韓国統一研究院の金甲植(キム・ガプシク)北韓室長は、国務委員会の設置について「国防委員会は(大量の餓死者が出た)苦難の行軍の時期に強化された一種の非常管理体制だった。今回の改変は非常事態が一段落し、社会主義による正常な国家に戻ったことをアピールするものだ」と分析している。
また、国務委員会の副委員長には黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長、崔竜海(チェ・リョンヘ)党副委員長、朴奉珠(パク・ボンジュ)首相の3氏が選出された。
3氏はともに党政治局常務委員であり、そのほかの国務委員も大半が党政治局員によって占められた。
党が軍や国家機関を掌握し、体制が安定していることを示す狙いがありそうだ。