FCVかEVか、エコカー戦略めぐり苦悩する現代自動車

FCVかEVか、エコカー戦略めぐり苦悩する現代自動車

 「燃料電池車(FCV)か、それとも電気自動車(EV)か」

 韓国の現代自動車が、未来のエコカー戦略をめぐり苦悩を深めています。世界に先駆けFCVの量産に入って以降、一時はFCVに社運を賭けているように見えましたが、最近はEVの開発に力を入れています。

 FCVは水素と空気中の酸素の反応によって生じる電気で走行する車です。排出するのは水だけで、空気中の粒子状物質(PM)までも吸収するため、未来のエコカーとされています。

 現代自は2013年、世界に先駆け「ツーソン」の量産型FCVを発売しました。しかし、水素を充填(じゅうてん)する設備の不足、1台8000万ウォン(約690万円)を超える価格のせいで、韓国での累計販売は数十台、世界販売は数百台にとどまっています。

 これに対し、相対的に価格が手ごろで充電設備も多いEVは、昨年発覚した独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正の影響もあり、人気が高まっています。米EV大手テスラ・モーターズが4000万ウォン(約340万円)台の新型EV「モデル3」を発表すると、わずか1週間で32万台を超える予約が舞い込みました。

 現代自の経営陣は、テスラの新車の人気ぶりにやや衝撃を受けたようです。20年までにエコカー28車種を開発してエコカー市場で世界2位を達成するというビジョンを先ごろ提示したのも、そのためです。一度の充電で320キロ以上走行するEVを向こう2年以内に発売するとしています。現代自の幹部は「われわれが目指すべき未来のエコカーの方向は、究極的にはFCVだが、その前にEVを経由していかざるを得ない」と話しています。

 一方、日本勢はFCVに集中する傾向にあります。トヨタ自動車は14年末に量産型FCV「ミライ」を発売し、販売台数ですでに現代自を追い抜きました。また、ホンダは先ごろFCV「クラリティフューエルセル」を発売し、日産自動車も来年からFCVを販売する計画です。

 現代自が、エコカー主導という「名分」と販売拡大という「実利」の間で悩んでいることは、理解できます。しかし、そうしてぐずぐずしている間に二兎(と)をどちらも逃すという愚を犯さないでほしいと思います。

辛殷珍(シン・ウンジン)記者
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