こんにちはカコイです。最近暑すぎるので小型扇風機を買いました。そしたら曇りの日が多くなり涼しくなってしまいました。
それはさておき、現在取っているクラスSociology101(社会学)のクラスで興味深い言葉があったので、今日は復習がてらそのことについて纏めてみます。
マクドナルディゼーション(McDonaldization)
マクドナルディゼーション、別名マクドナルド化という言葉をご存知でしょうか?この言葉は社会学の用語で、アメリカのメリーランド大学社会学部教授ジョージ・リッツァが作った言葉です。
この言葉(McDnaldization)は現代社会の中において、マクドナルドの経営理念が象徴する合理化があらゆる場所に浸透していることを指します。レストランだけでなく、教育、政治、司法、旅行、ダイエットにおいてまでこの合理化の過程は広がっています。この過程、つまりマクドナルドのような合理化が進むことをマクドナルディゼーションと読んだのです。
マクドナルディゼーションの4つの要素
ファーストフードといえばマクドナルド。東京では「マック」、大阪では「マクド」と呼び名の論争が起きるぐらい深く日本に浸透している企業ですが、生まれの地アメリカにおいては、大衆文化において中心的な位置を占めるほどの影響力をもつ企業です。昨今、多くのマクドナルド店舗の閉店など経営悪化の面が指摘されていますが、まだまだ大きな力をもった企業であることは間違いありません。
なぜ、マクドナルドがこれほどまでに浸透し、そして全米そして世界中に店舗を持つまでに成功したのか。そこには現代社会に沿った合理化、つまりマクドナルディゼーションには4つの要素があるのです。
効率化(Efficiency)
1つ目の要素は効率化です。皆さんはマクドナルド、すなわちファーストフードに何を求めるでしょうか。名の通り迅速なフードサービス、注文のしやすさでしょう。
注文、調理過程の効率化
マクドナルドに入ると、レジの上にはメニューが有り、そこにはセットごとに番号が振られています。そこで自分が食べたいバーガーを選びレジでその番号を告げ、コンボ(セット)にするかバーガーの単品にするかを告げます。コンボにする場合はドリンクの種類を商品名でなくラベルで見やすくなったドリンクのコーナーから選びます。これだけです。
アメリカのマクドナルドの場合はドリンクはカップを渡されるので自分でドリンクバーのように自由に注ぎます。
調理工程においても最適化された調理方法のマニュアルによって迅速な調理が可能です。また、店舗に隣接した駐車場により短距離で店舗に入店できる。そしてドライブスルーを使えば車を降りずに注文も可能になります。
つまり、メニュー、注文システム、調理過程はすべて効率化されているのです。
客自身が動く
さらに、マクドナルドの中でも最大の効率化は客の行動を利用することです。客は列を作って注文し、トレイを受け取り自分で確保した席に移動させ、ゴミを捨て、トレイを込み箱の上に重ねる。ドライブスルーは商品を渡すだけでゴミの処理は客自身で行います。そしてその行動自体を客に非効率と思わせないのです。
レストランと比べてみましょう。最初に店に入り、自分たちが何人か告げ、案内されるまで待ち、案内された席に移動し、文字ばかりで見にくいメニューから選び、注文し、テーブルに注文した料理が来るのを待ち、食べ終わったら会計を済ませる。(アメリカの場合は会計もテーブルです。)
比べてみると、どれだけ効率化がされているのかが分かるのではないでしょうか。
予測可能性(Uniformity/Predictability)
この予測可能性は簡単に言うと商品とサービスがいつでもどこでも同じであるということを指します。マクドナルドは変化しないのです。いつどんな時どんなところでも、マクドナルドのメインの商品たちは同一のクオリティを保っています。マクドナルドは厳格なマニュアル化に基づいて材料などを規定しています。人々はその変わらないということに心地よさを感じるんです。
マクドナルド・モデルの成功が暗示しているのは、人々の多くが意外な驚きのほとんど存在しない世界を好むようになったということである。 マクドナルド化 - Jinkawiki
店でのサービスと商品
商品もマニュアル化された作り方で作られ、同じ材料同じ味の調味料で同じ調理方法によって同じ商品が作られます。
店でのサービスも同様です。店員も予測が可能の接客をマニュアルによって叩きこまれています。別の店舗の別の店員でも、いつも行くマクドナルドの店員と同じような接客をします。すべてマニュアル化され、問題が起きたらマニュアルに沿って対処すればいい。すべての立場の行動がマニュアル化され、それが組織として成り立っています。また、店員もそのマニュアル化された仕事で効率よく動くことができ、注文に対して単純な作業を繰り返すだけでよくなります。
いつ、どこにいっても同じようなサービスと商品があるマクドナルド。それが安心を与え多くの客にリピートさせる理由なのかもしれません。
あの赤にMのような黄色のマクドナルドのマークがあると、思わず「マックだ!」と思ったことがありませんか?
計算可能性(calculability)
計算可能性は簡単に言うと量を重視するということです。(emphasis on quantity rather than quality)
マクドナルドが人気の点の中の1つに、値段の低さがあります。そもそもなぜ値段が安く感じるのか。「値段の割には多い」「安いのに沢山食べれる」つまり量に対しての値段を考えているのです。
そしてもう一つ重要なことが、それは商品の提供スピードの速さです。時間とお金を考えて効率良く行動する。交通機関に乗るのも、食品配達サービスを利用するのも、そもそも外食するのも家で弁当を作る時間と手間を天秤にかけた結果、その時間の節約に対して料金を払うわけです。
その点において、マクドナルドは「安い上に迅速なサービス=低コストでの時間の節約」が可能なのです。だから商品の提供が迅速であるということで「商品の質が良い」と思わせ、加えて「大きいのは良いことだ」と思わせることが可能になるんです。
質より量。大量生産大量消費のこの時代に、安い、そして迅速なサービス、時間の節約これらが計算可能性なのです。
制御(control via automation)
最後の制御はつまり、いかに効率よくシステムを構築するかです。上記のマニュアル化は勿論、メニューのシンプル化も制御の一部です。この項目で最近一番ホットなものは、自動注文システムです。
出典:日本人よこれが本場アメリカのマクドナルドだ! - -Genius-
アメリカで多く見られる注文の自動化です。これによってとうとう人と話さなくても注文をすることができるようになりました。アメリカでありがちな雑談も無くなって、さらに注文のスピードも上がります。
4つの合理化
マクドナルディゼーション=効率化・予測可能性・計算可能性・制御
以上の4つの合理化がマクドナルディゼーションで言われるメインの合理化方法になります。しかし、zationが付いている、つまりマクドナルド化。つまり、この4つの合理化が一番最初に書いた様々な分野で応用されていること、すべてが同じように合理化されることがマクドナルディゼーションなのです。
カレッジで考えてみる。
授業ではカレッジまたはユニバーシティのケースで、この中のどの合理化がどのように使われているかが話になりました。
簡単にまとめると、夏や冬の5週間で終わる(春と秋は16週間)のショートセッションつまり短期講義は、計算可能性での量よりも質での合理化です。
シラバスという指導計画書も、殆どの箇所は同じことが書いてあり生徒を混乱させないように書いてある、つまり予測可能性なのです。
制御もすべての生徒はカレッジのメールアドレスとIDを持ち、専用のカレッジの個人サイトで授業の登録やドロップが平等にできるように制御されています。
また、多くの講義のテストやクイズではマークシートが利用されて、教授またはTAが採点に時間を掛けなくて良い自動化により効率化がされています。
マクドナルディゼーションの限界
ここまで簡単にマクドナルディゼーションについて書いたわけですが、僕自身は最近この合理化が通用しなくなってきている気がするんです。
例えば先程の画像の出典先のブログ
アメリカマクドナルドと日本マクドナルドは全然違う。
ハンバーガーの種類は全然違います。逆にアメリカではテリヤキバーガーなどは扱っていません。
同じなのは、ハンバーガー、チーズバーガー、チキンナゲット、ポテトぐらいかな。
ご存知のかたも多いと思いますが、マクドナルドのメニューは国単位で考えると結構違う場合があります。たとえば日本なら月見バーガーがあるようにです。(まぁこれもある季節になったら月見バーガーが出るという予測可能性の一部ですが…。)
また、最近のMcCafeでは結構座り心地のよいスペースが窓際に用意されていたりと、上記の内容とは少し外れたものがあります。
限界
地域の差
なぜ、そのようなことが起きているのでしょうか。まず一つはグローバル化には4つの合理化が完璧には活用できないからです。国や土地の文化によっては人の味の好み、そして宗教によっては牛肉を食べることが出来いなのど違いがあるのです。だからここではマクドナルドはLocalizationつまりローカル化をしているわけです。
健康問題
そして2つ目はやはり健康問題でしょう。
グーグルで「マクドナルド 危ない」で検索すると山のように危険性を発信しているサイトが有ります。
チキンナゲットの騒動も新しいです。 matome.naver.jp
スーパー。サイズ・ミー(Super size me)という30日間マクドナルドを食べ続けるドキュメンタリーはアカデミー賞のドキュメンタリー部門にエントリーされました。
合理化の末
現代社会では多く、本当に多くの業界でこの合理化が進んでいます。でも、合理化、利益率を求めすぎた結果、大きな問題となってしまっていることも事実です。
考えてみてください。スターバックスも昔の喫茶店とは大きく違い効率化されています。スーパーも商店街の八百屋と違って大きく効率化されています。僕たちはマクドナルディゼーションされている社会で生きていると言っても過言ではないのです。
質より量を求めて、値段のやすさを求め、安心できる場所を求め、僕たちは安いものを大量に買っているんです。気づいたら最低賃金で働くファストフードの店員の数は増え、最低賃金の底上げで議論になり、消費者は安いものを求める。いくら給料が上がったって、安くて早くてに入るものが好きだからお金が回らないのです。
昨今の不景気問題に直接的にかかわらないかもしれないけれども、少なくとも合理化の末の僕らの考え方が不景気に関係するんじゃないでしょうか。
今日はこんなところで。
P.S. いつもマックって書くのにマクドナルドって書くの地味に疲れます。
参考: http://kwww3.koshigaya.bunkyo.ac.jp/wiki/index.php/マクドナルド化