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【社説】

空港民営化 地域の拠点に育てよう

 仙台空港が完全民営化される。国管理の空港では第一号で、高松や福岡などが続く予定。柔軟な経営で収益を上げ、利便性の向上を図るとともに、地域の魅力を国内外に発信する拠点に育てたい。

 空港民営化は滑走路などの所有権を国に残し、運営権を民間に与える方式を採る。東急電鉄グループ、前田建設工業、豊田通商の連合体が仙台国際空港株式会社を設立した。国に運営権料二十二億円を支払い、少なくとも三十年経営する。

 既に空港ビル運営と物販、航空貨物取り扱い業務を始めており、七月一日から着陸料収受や滑走路の維持管理など、本格的に空港経営に乗り出す。管制とCIQ(税関、出入国管理、検疫)は従来通り国が担う。

 民営化の狙いは機動的、効率的な空港経営だ。滑走路と空港ビルの一体経営により、空港ビルの収益を、これまで国が一律に決めていた着陸料の低減に充てられる。閑散期に着陸料を下げれば、路線維持につながる。海外路線の開拓に向けて自由度は広がる。メリットを最大限に生かしてほしい。

 国管理二十八空港のうち、滑走路など航空系事業で営業黒字は新千歳と小松だけ。空港ビルなど非航空系を合わせても羽田、広島、松山を加えた五空港しかない(二〇一四年度)。小規模な自治体管理の六十五空港はなお厳しい。

 ただ民営化=黒字化ではない。重複コストを削減できても、利用増につながるとは限らない。どう収益を得るかが最大の課題。経営側の創意工夫はもちろん、周辺地域挙げての努力も必要だ。

 仙台は格安航空会社(LCC)の誘致を掲げ、ピーチ・アビエーションが来夏からの拠点化を表明した。ソウル便の毎日運航も決まった。民営化のたまものだ。

 「東北ブランド」の発信もうたう。二次交通、広域観光などは民間のノウハウが生きる。空港を拠点に地域の魅力を高め、震災復興の象徴となってほしい。

 海外では複数空港の一体経営が少なくない。北海道で検討されだした。地方空港の生き残り策として、近隣との経営統合は避けて通れない課題だろう。

 統合といえば、北陸の小松、富山両空港は、新幹線開業で利用客が三〜四割減った。能登を含め三空港の一体化はできないか。地域の魅力向上へ民営化の“応用”と合わせ検討する価値は十分ある。

 言うまでもないが、コスト面を優先するあまり、安全や環境対策を怠ることは許されない。

 

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