Windows 7/8.1からWindows 10への無料アップグレード期間終了まで残り1カ月を切ったが、まだ話題には事欠かない。
米MicrosoftでWindows開発の総責任者を務めるテリー・マイヤーソン氏は6月28日(現地時間)、複数の米メディアに対して「Windows 10を入手する(Get Windows 10)」アプリ(以下、GWXアプリ)に関する仕様変更の意向を伝えた。
次回のWindows UpdateでGWXアプリの画面を変更し、Windows 10無料アップグレードのキャンセル操作をしやすくする。Windows 10に移行せず、当面は旧OS環境を使い続けたいというユーザーには朗報だ。
GWXアプリとは、Windows Updateで自動的にWindows 7/8.1搭載PCへ組み込まれ、タスクトレイに常住してWindows 10への無料アップグレードの告知を行い、ここからWindows 10のインストールを予約・実行できるというものだ。
Windows 10にアップグレードしたいユーザーにとっては親切な仕組みだが、そうでないユーザーにとっては、不要だからと何度削除しても、たまのWindows Updateで復活したり、次第によりアップグレードのキャンセル方法が分かりづらい操作画面に変わっていったりと、評判は芳しくない。
実際、今回の仕様変更が行われる前のGWXアプリは、ユーザーが予約していなくても「アップグレードの時間を強制指定」する仕様となっており、手動で日時を変更しないと、自動的にWindows 10へのアップグレードが開始されてしまっていた。
その前段階のGWXアプリも「今すぐアップグレード」「今夜アップグレード」「時刻を指定」の3つの選択肢があるだけで、アップグレード自体をキャンセルするためのボタンが省かれていた。望まないアップグレードを避けるためには、なるべく後の時間を指定しておくか、レジストリ等を操作してGWXアプリの通知自体を消すしかなかった。
さらに、GWXアプリのポップアップ表示右上にある「×」ボタンを押してもアップグレードのキャンセルにはならず、承認したことになってしまっていた。
こうした数回の仕様変更でWindows 10へのアップグレードは予約が自動で行われるようになり、徐々にキャンセル方法が分かりづらくなっていき、多くのユーザーが「PCを使っていたら、勝手にWindows 10をインストールし始めた」と混乱したというわけだ(実際にはソフトウェアライセンス条項を「承認」するとWindows 10のインストールが始まり、ここで「拒否」すればキャンセルできる)。
実際、Microsoftの強引なWindows 10無料アップグレード推進策は、世界各国で問題となっている。
日本では6月7日に、Windows 10へのアップグレード策が法的に問題ないのかという参院議員の質問主意書に対して、政府が答弁書を決定し、「答えるのは困難」と回答を避ける場面があった。また、6月22日には消費者庁がWindows 10への無料アップグレードについて、「確認、留意が必要な事項」としてニュースリリースを出すに至っている。
さらに、米国ではこうした意図しないWindows 10へのアップグレードの結果、PCを長い間使えなくなったというユーザーがMicrosoftを提訴した訴訟で、同社が1万ドル(約100万円)を支払ったとの報道まで出てきた。
さて、次回のWindows Updateで変更されるGWXアプリは、ボタンが「今すぐアップグレード」「時刻を指定」「無料アップグレードを辞退する(Decline free offer)」の3つとなる。つまり、ユーザーが従来より簡単にWindows 10へのアップグレードをキャンセル可能になった。
また、ポップアップ表示の右上にある「×」ボタンを押すと、以前のように非表示に戻るという分かりやすい動作になる(ただし、この場合は数日後に再度アップグレード通知画面が表示され、キャンセルしたことにはならない)。
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