文/木村草太(首都大学東京教授)
まずは整理してみよう
7月10日投開票の参議院選挙では、憲法改正が争点の一つになっている。
もっとも、一口に憲法改正といっても、その内容は千差万別だ。全く正反対の性質の改憲提案がなされることすらある。そんな中で、漠然と「憲法改正の是非が争点です」とか「憲法改正に賛成ですか?」と言われても、まじめに考えたことのある人であればあるほど、答えようがないだろう。
そこで、「改憲が必要なのか」を考える前に、まずは、憲法改正についてどんな議論が行われているのかを整理してみよう。
選挙序盤の報道では、自民、公明、おおさか維新などのいわゆる「改憲勢力」が、参議院で3分の2の議席を獲得する可能性もあると言われている。もっとも、それらの党を一括りにするのはあまりに乱暴な話だ。
それぞれどこをどう改正すべきかについての主張は、一致しているわけではない。各党の憲法改正についての選挙公約を検討してみよう。
おおさか維新の会:本当に「憲法改正」が必要?
「おおさか維新の会」のマニフェストでは、"改革メニュー"の冒頭に「憲法改正」の項目が掲げられている。自民・公明両党のマニフェストが経済政策から始まっているのに比べると、おおさか維新は、かなり改憲に積極的だという印象を受ける。
では、その中身はどうか。
ここでは、①教育の無償化、②道州制の実現を含む統治機構改革、③憲法裁判所の設置の三つが提案されている。こうした主張の是非はひとまず置いておいて、これら提案を実現するために、本当に「憲法改正」までする必要があるのかを考えてみよう。
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