ファンタジスタ店長です。
2016年4月26日に全国で一斉稼動を開始した「艦これアーケード」、皆さんご存知の通り空前の大ヒットゲームです。
この大ヒット作がゲーセンに与えた影響を今更ながら考えてみました。
艦これアーケードの利益はどれくらい?
艦これアーケードは岡山の片田舎にあるうちでさえも稼働率99%を誇る化け物ゲームです。
これだけ稼動してればさぞ儲かってるだろう、と思われるかも知れませんが実際はそうでもありません。
プレイにかかる課金は当然あるんですが、カード代が結構高いです。ただの紙ではなく1枚1枚がICカードなのでそれも当然かも知れませんね。売り上げ、課金、カードの仕入れにそれぞれかかる消費税も差し引かれるので、カード印刷時の利益は2~30円程度、ホロカードが出た時はお店側が赤字になる場合もあります。
そのため、通常の交代制でプレイしてもらった場合の利益は、対戦格闘ゲームがフル稼働した場合より少ないと考えてもらって差し支えないです。
無制限台は儲かります!
ただし「無制限台」「建造祭り」をやっているお店は例外です。まったく出撃せずに建造だけしてゲーム終了するのであれば、交代制に比べると利益は5~10倍ほど見込めます。無制限台の利益ペースはプライズマシンがフル稼働した場合に近いと思います。セガから出荷制限がかかってるため、無制限での運営を続けるのは通常不可能はなずなんですが、やっているお店があるのは不思議ですねえ!?セガも「どの店にも平等に出荷してる」と言ってるのですが・・・。
その無制限台でプレイした人がカードを転売して月に50万以上の純利益を出した、という話も聞こえてきます。そこまで行くとゲーセンより儲けてるんで、まじめに交代制で運営してる店は何とも言えない気持ちになります。
「三国志大戦」の新作ではカードの転売が出来ない仕様なので、ゲームを楽しむつもりのない転売屋を封じられるのは面白い試みですね。
とはいえゲーセンにとっては転売屋もお客様なので難しい問題です。
運営方法によってはマイナスも?
最近は落ち着いてきましたが、混雑を整理するためにゲーセン側はさまざまなやり方をしています。
うちはエントリーシート制(ES制)と呼ばれる、紙に名前を書いて自分の順番が来たら名前を消してプレイするというやり方を取ってます。この方式だと順番待ちをしてる間に他のゲームを遊ぶことが出来るので、プレイヤーにもゲーセン側にもメリットがあります。
待機列を作らせているお店もあります。こちらは順番待ちをしている間プレイヤーが動けないので、他のゲームの稼動は期待出来ませんし、列の並び次第では他のゲームの稼動を妨げていることもあります。ゲーセンにとってあまりメリットのない方式ですが、エントリーシート制でトラブルがあったため待機列制になったというお店もあったみたいですね。
また、整理券を配布しているお店もあるようです。こちらは整理券を配布するスタッフ、番号を管理するスタッフ、呼び出しするスタッフなど人手も必要で、整理券自体も用意しなくてはいけないし、なかなか大変な方式だと感じます。番号呼び出しツイッターアカウントを持っているお店もあるみたいですね。人件費も含めお店の負担がかなり大きいと思うのですが、待機列を作らせないためにこの方式を取っているのかなと想像します。
そして前述の無制限台をしているお店は早いもの勝ちだったり抽選だったりするようです。一度座らせてしまえばあとはほっておけばいいので、「楽な上に儲かる」と言うゲーセン側としてはこれが一番おいしい運営方法かも知れません。
ですが、せっかくの新作タイトル、たくさんの人に触ってもらって提督デビューしてもらうことが大事です。無制限台をやっているお店は、そういう部分を無視して利益だけに走っていると感じるので、あまり良い印象は受けないですね・・・。
どの方式もプレイヤーのマナーやモラルに守られている部分があります。ゲーセンの負担を軽くするためにも各店舗の運営方法をしっかり確認してプレイヤーにも楽しく遊べる環境作りに協力してもらえたらと思います。
ヒットしてるなら入荷すればいいのに
艦これ稼動後にこんな内容の書き込みを見たことがあります。
「全部の設置機械を艦これにすれば儲かるのに、なんでそうしないんだ?俺がゲーセン経営してたらそうする」
この辺については過去記事でも書いてますが、ゲーセンの入荷事情を知ってると苦笑いしてしまいます。
艦これアーケードの注文締切は2015年3月20日でした。その時点では「2015年7月」発売予定で、実際には延期が繰り返されて注文可能な締切も延びてるんですが、まぁそれくらい早く注文しておかなくては発売日に入手出来ない、ということです。
艦これをそのタイミングで注文できなかった人は追加発注の時に注文するのですが、その追加発注の締切も「稼動日より前」というのがこの業界です(そもそも追加発注がないゲームのほうが多い)。そのため、発売後にヒットしたのを確認してからの導入は定価では100%無理。他の店に売ってもらうしかないんですが、当然手放しませんよね。
と言うことで、艦これアーケードを後から入荷するのは無理!です。
止まってないゲーセン閉店ラッシュ
艦これアーケードが世に出てからもゲーセンの閉店ラッシュは止まりません。
艦これアーケードで確かに新規のお客さんを開拓出来ているんですが、それ以上に既存のゲーマーが艦これのあるお店に通うようになり、艦これのない店に足を運ばなくなってしまった。艦これがゲーセンにもたらしたのはゲーセンの二極化の加速でもありました。その存在が閉店ラッシュを推し進めた可能性は充分考えられます。
ゲーセンの活性化にはキラータイトルが発売されれば良いという単純な話ではないと言うことですね。どんなお店でも導入出来るストⅡのようなタイトルが出てこなくては、全てのゲーセンが救われることは難しいです。
ここまで書いて「Port24さんのブログ」と内容丸かぶりな気がしてきましたが、ゲーセン側から艦これアーケードを評価するとこういう感じになると言うことかなと思います。
アフター艦これが大事
艦これアーケードを入荷したお店は少なからず利益を手にすることが出来てると思います。
が、ゲーセンという商売は現金を遊ばせておくようなことはしません。その利益は次のタイトルの購入費用になります。
話題になっているところでは「ラブライブアーケード」「三国志大戦」「マジシャンズデッド」などが年末のビッグタイトルです。
新規の客層を開拓出来そうな「ラブライブアーケード」の受注は特に好調なようです。おそらく艦これを導入した店舗の多くが発注しているんじゃないかなと思います。(うちは無理でしたが)
これらの購入したゲームがコケてしまった場合艦これの利益をむざむざ失ってしまうことになります。逆にヒットした場合も、入荷しなかったゲーセンからは客足が離れてしまう事になりかねません。これがゲーセンの難しいところです・・・。
艦これアーケードを導入しなかったお店は余計に「次のヒット作は必ず入荷しなくてはいけない」という立場におかれます。そう考えると、場合によってはさらにゲーセンの閉店ラッシュが進むかも知れません・・・。
「買わなきゃ良かった」と思ってしまうようなタイトルは出さないようメーカーさんには頑張って欲しいものです!
うちは三国志大戦の導入を考えています!たのむーヒットしてくれー。
また、艦これアーケードで新しくゲーセンに足を運んでくれるようになった層をゲーセンに定着させることも大事ですね。
うちでいえば艦これの近くに設置した音ゲーのインカムが好調です。プライズに艦これ関連商品を入れるのも効果的です。プレイヤー同士の交流もしやすいようにネームプレートを配布したりもしています。別ゲー勢で艦これを始めた人と、艦これでゲーセンに来るようになった人が話をしてるのを見るのは嬉しいものです。
ゲーセンが楽しいところであるというのをたくさんの人に知ってもらいたい。そのための手段として艦これアーケードは抜群に優秀です!
僕個人としては、艦これアーケードはまだ「助走期間」だと思ってます。これから増台に向けてさらに面白いゲームになってくれると期待してます!