【6月29日 AFP】ウィンブルドン選手権(2016 The Championships Wimbledon)で人気急上昇中のマーカス・ウィリス(Marcus Willis、英国)。試合中にチョコレートバーや炭酸飲料を口にしながら、テニス界の底辺をさまよってきた選手は、仲間から「愛されキャラ」として慕われている。

 世界ランキング772位のウィリスは、予選を勝ち抜いて本戦出場権を手にすると、27日の1回戦ではワールドツアー初勝利を飾り、2回戦ではロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)との対戦が実現するハリウッド映画顔負けの人生を歩んでいる。2016年のこれまでの獲得賞金がわずか65ドル(約6600円)だった選手にとっては、まさに夢のような展開だ。

 普段は子どもや年配者にテニスを教える仕事で生計を立てているが、収入が安定しないため、25歳になった現在でも実家暮らしを続けている。それでも今大会で賞金5万ポンド(約680万円)を確保したことで、生活の基盤はだいぶ安定するだろう。

 そのウィリスの素顔は、同じ英国出身のリアム・ブローディ(Liam Broady)によって明らかにされている。ウィリスはこれまで、知名度のほとんどない、モチベーションも上がらない大会を転戦するなかで、楽しければそれでいいという姿勢でテニスに取り組んでいたという。

 1回戦でアンディ・マレー(Andy Murray、英国)に敗れたブローディは、ウィリスについて、「順調な様子がみられて、とにかくうれしいよ。苦しい時期を過ごしてきたのを知ってるからね」と語った。

「こんなことを明かしても、本人は気にしないと思うから言うけれど、これまでの彼は、なんていうか愛されキャラみたいなところがあったと思う。だけど今はスイッチが入って、ひたむきにプレーしているように見える」

「マーカスは芸人なんだ。米国で一緒にチャレンジャー大会に出たことがあるんだけれど、そのときはコートでペプシをがぶ飲みして、スニッカーズをむしゃむしゃ食べていた。そのときからだよ。彼にカートマン(アニメ『サウスパーク(South Park)』に登場する丸々としたキャラクターの名前)っていうあだ名がついたのは。ぴったりのあだ名だ」