相続の関係の話
先月私の父が亡くなりました。63歳でした。親戚の皆さんもまだ若いのにねぇ……、と零していました。父は山登りが大好きで大学時代に始めた山登を亡くなった年齢までずっと続けていました。父の口癖でしたが「何時かはチョモランマの登頂に挑戦してみたい――」と言う話をよくしていました。しかしその父が日本のアルプス山脈を登っている際、行方知れずとなり、見つかった時は体には体温が無く、固く固まった状態でした。母はその姿を見て泣き崩れてしまい、父の亡骸から離れようとはしませんでした。母と父は大学時代に知り合い、卒業と同時に結婚し私を出産、結婚した当初は生活もままならない日々が続いたと話していました。
一宮市内に引っ越してきてからは叔父の会社で働くようになり生活も安定してきたと言っていました。苦労を共にしてきた父を母は本当に大切に思っていたのだと思います。しかしその後、お葬式が終わり、二日ほどたって相続の事で兄の兄弟のおじさんとおばさんがウチにやってきて、母とあれやこれやと話しているのが耳に入ってきました。あとで聞いてみたのですが遺産相続の事だと母は言っていました。私たちが住んでいる家はもともと長男だった父がおじいちゃんが亡くなった時に相続した物だったのです。父が亡くなった今、家を継ぐのは母になります。それがどうもおじさんやおばさん達は気に入らないみたいなのです。
しかし母も父が残してくれた財産は我が家のものだし私たち家族で守っていくつもりでいます。だから母も一歩も引く気はないようです。私はこんなに気の立っている母を始めてみました。母は必死に父の残してくれた財産を相続し、大切にしていこうと考えているのです。私も何かできないものかと思い、友人に話してみると「あぁ、それなら簡単だよ、一宮市の石黒法務事務所に頼めばいいじゃないかぁ――」と言うのです。私は初めて聞くその石黒法務事務所の名に「へぇ~、そんなところがあるんだぁ……」となって早速家に帰って母に教えてあげました。
すると母も同じことを考えていたようで「そうなのよ、私も石黒先生のところに頼もうかなぁ、と考えていたところなのよぉ……」「なんだぁ、お母さん知ってたのぉ……」「知ってるも何も石黒法務事務所の石黒先生はお父さんの同級生だもん、よく一緒に山登りやってたのよ――」その話を聞いてなんだか世間は狭いなぁ、と思いました。数日後、母は石黒法務事務所に相続の件をすべて任したそうです。私はこれで母も楽になるなぁ、と感じました。