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世界初、水中を泳ぐオオムカデを発見

ナショナル ジオグラフィック日本版 6月29日(水)7時31分配信

15年前にタイの小川で発見されたオオムカデが、実は新種だった

 水の中に入れば恐ろしいムカデに襲われずに済むと思ったら、大間違いだ。そこには泳ぎが得意な巨大ムカデがいるかもしれない。

【写真】こちらも衝撃、オオムカデの一種(動物ポートレート集)

 世界で初めて水陸両生のムカデが新種として記載され、2016年5月、その詳細が学術誌『ZooKeys』に掲載された。新種のムカデはオオムカデ属の一種で、最大で体長20センチほどになる。

 一般的なムカデと同じく、彼らも肉食で毒をもっている。生息域は東南アジアに限られているとみられる。

新婚旅行で発見

 英国ロンドン自然史博物館の昆虫学者、ジョージ・ベッカローニ氏は2001年、新婚旅行でタイを訪れた。そして熱心な昆虫学者の例に漏れず、彼も現地で昆虫を探し回った。

「世界中どこへ行っても、決まって小川沿いにある石をひっくり返してみるのですが、このムカデを見つけたのも、やはりそうした石の下でした。体が非常に大きくて脚が長く、緑がかった黒という不気味な体色をしていました」とベッカローニ氏は話す。

 ベッカローニ氏が石を持ち上げたとき、隠れていたムカデは森の中ではなく、川の中へと逃げ去った。流れに沿って川底を走ると、石の下に身を隠した。

 ベッカローニ氏はなんとかそのムカデを捕まえ、水を張った大型の容器に移した。するとムカデはすぐに底まで潜り、ウナギのように体をくねらせながら力強く泳いだという。容器から取り出すと、その体からは水が抜けて、ムカデは完全に乾いた状態になった。

 ベッカローニ氏はこれを標本としてロンドン自然史博物館へ持ち帰り、専門家に意見を求めた。しかしこのときは、懐疑的な反応しか得られなかった。オオムカデはそれまで乾いた場所でしか見つかっておらず、水陸両生のムカデの存在も知られていなかったからだ。そうした事情から、この標本は博物館のコレクションの中に長い間埋もれて過ごすことになった。

晴れて「新種」に

 一方、ベッカローニ氏と同じ博物館に勤務するグレゴリー・エッジコム氏は、タイにいる教え子のワルット・シリウット氏と共に、あるムカデを新種として記載しようとしていた。

 二人はラオスにある滝の周辺で標本を2点採集し、DNA分析によってこれが新種であることを確認した。ムカデの学名はScolopendra cataracta(スコロペンドラ・カタラクタ)と定められた。カタラクタはラテン語で「滝」を意味する。

 ベッカローニ氏が以前タイで採集した水陸両生のムカデのことをエッジコム氏に話したところ、この標本もスコロペンドラ・カタラクタであることが二人によって確認された。

 スコロペンドラ・カタラクタの標本は、これまでに4点しか見つかっていない。ラオスで採集された2点、ベッカローニ氏がタイの川で見つけた個体、そして4点目は、1928年にベトナムで採集されてロンドン自然史博物館に収蔵されていた個体で、それまで誤って一般的な種として分類されていた。

 ベッカローニ氏は、今回の新種が他のムカデとは異なる生態的地位をうまく利用しているのだろうと考えている。

「他のオオムカデは陸上で獲物を捕まえます。この新種はきっと夜間に水に入り、水生あるいは水陸両生の無脊椎動物を狩っているのでしょう」

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最終更新:6月29日(水)7時31分

ナショナル ジオグラフィック日本版

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