瞑想を中心にしたプログラムで、集中力・傾聴力を高める「マインドフルネス」。
これは、いまストレスの低減法として、あるいは学習効果を高める方法として、そしてビジネス分野ではリーダーシップ養成として、グーグル等、米国の大企業でも採用されている大注目の技法だ。
このマインドフルネスの講座をスタンフォード大学で開講し、その真髄をエリートの卵たちに伝えているのが、スティーヴン・マーフィ重松氏。
日本人の母、アイルランド人の父から生まれ、米国で教育を受けたマーフィ重松氏が、このたび『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』を刊行したことを機に、マインドフルネスの意義、授業の一端を明らかにする。
なぜマインドフルネスが広がっているのか
2014年2月3日発行のタイム誌は、その表紙で「マインドフル・レボリューション」を宣言し、マインドフルネスを「ストレスで疲れ切ったマルチタスキング(同時処理)文化に心の集中を見いだすサイエンス」と呼んだ。
その特集記事を読むと、健康と幸福のための秘訣として、一般大衆がいかにマインドフルネスに取りつかれているかを描きながら、それを単なる「最新の一時的な流行」として片づけることはできないと述べている。
今やマインドフルネスは社会の主流となり、その実践方法や私たちの生態、心理、社会関係に及ぼす効果がますます立証され、さらに強固な支持を獲得しつつある。マインドフルネスを磨けば自分や自分と人生を共にする人々に大きな利益をもたらすという科学的根拠は人々の心をつかんではなさない。
これまでにないほどマインドフルネスが必要とされているのは、ストレスで憔悴しきった現代人が、複数のことを同時に処理する生活を送るなかで、集中できる時をなくしているからだろう。
スマートフォンに病みつきになった私たちは、通りを歩いていても、電車に乗っていても、待合室で待っている時にも、顔を下に向けてその世界に浸っていることが多い。もちろんそれには良い点もあるが、その場にいるということから気が逸れてしまっている。
ほんの少しでも手があけばスマホに没頭していて、ただ呼吸している状態でいたり、自分の内や外で起きていることに気づかない。ただ「そこにいる」だけではわずかな時間を過ごすにも落ち着かないのだ。
マインドフルネスとは、瞑想習慣であるとともに、覚醒した瞑想とでもいうべき状態をいう。それは集中力、感情のコントロールなど、トップとして必要な資質全般にわたって影響を及ぼす。
また、マインドフルネスは私たちを人間たらしめる多くの重要な性質、たとえば、先天的に備えている共感力、思いやり、親切心によって私たちは互いに深くつながっていることを理解する能力にも作用する。
そのため、マインドフルネスを実践することで、注意力、衝動抑制、感情抑制が改善するばかりか、人々が共感、思いやり、親切心によってつながっていることがわかるようになってゆく。
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