東京ばかりに人が集まり、地方は過疎化が止まらない。こうした流れを変える…[続きを読む]
自宅やマンションなどの空き部屋を宿泊用に提供する「民泊」について、政府…
・最新の社説は朝刊休刊日を除き午前5時半ごろ更新します。(編集の都合などで遅れる場合があります)
自宅やマンションなどの空き部屋を宿泊用に提供する「民泊」について、政府の専門家会議が報告書をまとめた。
旅館業法に基づく許可が必要なホテルや旅館とは区別し、新たな法律を作って解禁する。部屋を提供する家主や、家主から管理を委託された不動産業者、貸し手と借り手をインターネットで仲介する専門業者に、届け出や登録制度を通じて一定の義務を課す。そんな内容である。
民泊は、近年注目されるシェアエコノミー(共有型経済)の代表例だ。個人が所有する住宅を開放し、旅行者との出会いや交流を楽しむことに価値を感じる。そんな変化を受けた新しい概念である。
ただ、法制度が整わないまま現実が先行している。民泊を巡っても、宿泊者が残したゴミの処理や騒音を巡る近隣住民とのトラブルが急増し、見知らぬ人が頻繁に出入りすることへの不安も高まっている。
紛争を防ぎつつ、新しい価値をどう育んでいくか。積み残した課題は多く、法案作成に向けて検討を尽くさねばならない。
家主や不動産業者には、宿泊者名簿の作成▽民泊施設としての表示▽マンションの契約や規約に反していないことの確認などを義務づける。ネットによる仲介業者には利用料金など取引条件の説明義務を課す。これが制度の骨格だ。
ただ、いまも現行法を無視した「ヤミ民泊」が横行していることを考えると、どこまで実効性を保てるのか、不安が残る。京都市は、自治体が規制を柔軟に決められる仕組みを求めている。民泊と直接向き合うのは自治体だ。一考に値しよう。
物件ごとの提供日数も課題だ。報告書は「年間180日以下」としただけで結論を持ち越した。旅館・ホテル業界は「宿泊施設には特別の設備が要求されるのに、民泊はいらない。不公平だ」と主張している。
政府が民泊解禁に踏み切るのは、訪日外国人の急増で大都市圏を中心にホテルが不足している事情が大きい。2020年の東京五輪もにらみ、既存の資産を活用するのは有効な方法だろう。ただ、海外では民泊の拡大で賃貸物件が不足し、家賃が高騰する弊害も指摘されている。
「共有」を通じて交流が増えること自体は好ましい。海外からの旅行者に日本の日常に触れてもらう機会となり、草の根での文化理解につながるだろう。
遊休資産を使った金もうけにとどめず、新たな価値につなげる。そんな意識で民泊の健全な発展を目指したい。
トップニュース
PR比べてお得!