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【国際】

英首相「離脱通告せず」 EU首脳、早期交渉を要求へ

 【ロンドン=小嶋麻友美】英国のキャメロン首相は二十七日、国民投票後初めて議会で演説し、「結果を受け入れ、結果をできる限りよい形で実行する手続きを今こそ始めなければならない」と述べた。その上で、二十八日の欧州連合(EU)首脳会議では、交渉の正式スタートとなる離脱通告は行わず、十月までに選ばれる次の首相が重要な決定を下すべきだとした。

 キャメロン氏は、離脱多数の結果は望ましいものではなかったとしながらも、「結果に疑いはない」と指摘。

 離脱に向け、関係省庁の官僚や専門家らによる特別チームを編成するとし、スコットランド、北アイルランドなど地方行政府とロンドン市庁も「交渉過程に十分に関わることになる」と保証した。

 経済の安定については、財務省と中央銀行のイングランド銀行が強力な緊急対策を用意していると強調した。

◆EU側 日程明示を

 【ベルリン=垣見洋樹】EU離脱決定を受け、EU主要国のドイツ、フランス、イタリアの首脳が二十七日、ベルリンで会合を開き、対応を協議する。英国側が明言していない離脱手続きの開始時期について、EU首脳らは経済的な混乱を最小限にするため明確な日程を示すよう求めており、三カ国で方針を話し合うとみられる。

 ドイツのメルケル首相は二十七日の記者会見で「私はブレーキでもアクセルでもない」と英国に圧力をかけない方針を表明。英国内の離脱派が求めている事前交渉については「離脱の通知を受けるまで非公式交渉をすることはない」と完全に否定した。

 一方、ドイツ紙WAZ(電子版)はフランスのオランド大統領が「できるだけ早く英国を離脱させ、英国が損する形にしなければならない」と語ったと報じている。

 独仏両国で、英国への対応で意見が分かれているとの見方も出ているが、両首脳は二十六日、電話で三十分会談。ロイター通信は仏大統領府筋の話として「英国離脱をどう扱うかについて、両国で完全な合意ができた」と報じた。

 独紙ルールナハリヒテン(同)によると、ドイツ出身の欧州議会議長、シュルツ氏は「英国政府には今すぐ行動してほしい」と強い口調で離脱交渉開始を要求。独仏などEU加盟六カ国外相も、早い時期の交渉を求めている。

 一方、イタリアのレンツィ首相は英国のEU離脱について「過去数年で最大の痛恨事だが、新たな欧州統合に向けチャンスにもできる」とイタリア紙に語り、官僚的な運営や緊縮財政に反対し、移民受け入れの制限を訴えている。

 

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