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ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

言葉の争いが面白い名古屋名物!台湾ラーメン(アメリカン)

言葉 食べ物 ネタ記事

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このところ全国各地のご当地品を広める広報活動のお手伝いをしていて、日本には美味しいものや面白いものが沢山あるなあと感心する毎日だったのですが、その中でも今回は名古屋名物について、個人的に面白いと思ったことを紹介します。

名古屋名物

名古屋といえば、きしめん、味噌煮込みうどん、カレーうどん、あんかけスパゲティ、台湾ラーメンと、美味しい「麺類」のご当地名物食品が多いことで有名です。そして、「味噌煮込みうどんといえば山本屋」「カレーうどんといえば若鯱屋」というように、どの料理にも名古屋では知らぬ人のない有名なお店があるのですが、今ここに挙げた山本屋と若鯱屋には、お店の名前をめぐって、汁で麺を洗う言葉の争いをしていた過去があります。

味噌煮込みうどんの山本屋

味噌煮込みうどんのお店には、「山本屋総本家」「山本屋本店」というよく似た名前のお店があります。どちらも名古屋に拠点を置くこの二つ、実は全くの別会社で、似ている名前を使っている相手企業をどちらもライバル視しています。

山本屋総本家のHPには、味噌煮込みうどんを「名古屋名物にまで育て上げた山本屋総本家」という記述があり、元祖感をアピールしているように見えます。
一方、山本屋本店のHPには、味噌煮込みうどんの「専門店としての姿勢を貫き、より高品質で付加価値の高い商品」という記述があり、きしめんなど他メニューも置いてある総本家とはレベルが違いますよとアピールしているように見えます。

面白い。味噌でうどんを洗う山本屋の争い、めっちゃ面白い!

それぞれの特徴としては、このHPのアピール文が表している通り、「山本屋総本家」は昔から庶民に親しまれてきましたよというお店の展開をしているので、きしめんなど色んなメニューがあってお値段もリーズナブルなのに対して、「山本屋本店」は少しだけお値段が高いものの味とサービスの良さが評価されているようです。


いまや、どちらも愛知県内だけで10店舗以上を展開する超有名店。

そこへ最近、もう1つの「山本屋」が登場しています。それが、味噌煮込みうどんの山本屋大久手

大正14年に山本屋という名前をもらって創業したのがはじまりだとしている「山本屋総本家」に対抗しているのか、この「山本屋大久手」のHP沿革を見ると、同じく大正14年に創業した店主の親戚筋として何代もお店をやっていることが示されています。

もう、何が何やら。。。たかが店名だし、傍目には「どうでもいいよ、わかりやすく区別してくれない?」って思ってしまうんですが(笑)、それでもこんな風にやいのやいの言ってるのを知ってしまったら、ぜんぶの味噌煮込みうどんを食べ比べてみたくなってしまいます。
お店側にとってはそれが狙いなのでしょうから、どうでもいいと言いつつも完全にてのひらの上で転がされてしまっているのだと思いますが、なんだかんだで面白いから仕方がない。

しかし、それ以上に面白いのがカレーうどんです。

カレーうどんの若鯱屋

若鯱屋(わかしゃちや)といえば、全国に60店舗以上をチェーン展開する有名なカレーうどんのお店です。
若鯱家|ちゅるちゅる、うまうまでおなじみ、名物カレーうどんの「若鯱家」
一方で、かつて「若鯱屋 黒川本店」を名乗っていたにも関わらず、訴訟に敗れて現在では「本店鯱乃家」と屋号を変えたカレーうどん屋があります。

もちろん、どちらも名古屋市内に拠点を置く会社。

そう聞くと、この本店鯱乃家という店が後から若鯱屋を名乗ろうと便乗したのだろうと思うかもしれませんが、実は意外なことに「本店鯱乃家」の方が現在の「若鯱屋」より古くから若鯱屋を名乗ってカレーうどんを出していたそうです。

じゃあ、どういう経緯で「若鯱屋 黒川本店」は「本店鯱乃家」に名前を変えることになったのか、WIKIPEDIAにはこんな悲しい話が載っています。

若鯱屋の起源となる店舗は黒川(当時の黒川本店、現在は「本店鯱乃家」と屋号を変えて営業)にあり、繁盛店として知られるとともに名古屋一円のうどん屋の跡取りが修行する店としても有名であった。しかしブランド名の商標登録を行っていなかったことから、同店出身者の一人が「若鯱家」を商標登録し、本店とは無関係に当該名称で1988年頃から各地にチェーン展開を開始したものである。

なんと、かつて有名店だった「若鯱屋」の黒川本店で修業した弟子筋が、まだ商標登録されてないのをいいことに「若鯱屋」を商標登録してチェーン展開を開始。法的には先に登録した方に権利が与えられるため、訴訟に敗れた師匠筋にあたる「若鯱屋」の黒川本店は、「鯱乃家」への店名変更を余儀なくされたというのです。

本店鯱乃家さん、かわいそう…!

ただ、商号登録をして名前の権利も得た現在の若鯱屋の方は、どんどん店舗を増やしてカレーうどんファンを開拓しつづけているので、経営の才能があったのだろうとなとも思います。それはそれで一つの功績。

しかし、1人の消費者としては、やはり店の名前がどうこうなんて知ったこっちゃありません。気になるのは、どっちが美味しいのだろうかという、その一点!
実際にお店に行くのが一番だとは思いますが、監修したシリーズがあったり通販していたりするので、リンクを貼っておきます。

カレーでうどんを洗う鯱の争いですが、この古い若鯱たちの中に最近、新たな若鯱が登場して業界を騒がせています。その店の名は「鯱市」。
カレー煮込うどん「鯱市」

なんとこの鯱市、先に山本屋の争いでも登場した味噌煮込みうどんの老舗「山本屋本店」が、姉妹店として始めたカレー煮込うどん屋なのです!!!

こりゃあ確信犯ですわ。。。だって、名前に「鯱」を使う由縁が何もないし、あれだけライバルと競い合い誇りを持っていたハズの「山本屋」は使わないのかよ!っていう(笑)
もう、山本屋の争いで味を占めたのだろうと思われても仕方がない(笑)

とはいえ食べログでの鯱市の評価は3.5と若鯱家に勝るとも劣らぬ良い評判で、味を占めたのはお客の方だった様子。
鯱市さん、若鯱どころか古狸と呼ぶべきというか何というか、、、やりおる! 面白すぎる!

さて、名古屋めしとも呼ばれる名古屋名物の面白ネーミングは他にもあります。

面白い名前たち

味噌煮込みうどんの「ミッソ~ニ」、あんかけスパゲティの「からめ亭」など、動詞なのか助詞なのか分からないものが店名になっているところもあれば、あんかけスパゲティの店には「あんかけ屋」「あんかけ亭」「あんかけ太郎」という、何の捻りもないストレートな名前で消費者の混乱を争う味自慢たちがいます。

ど、どれにすればいいんだ…??? 
また全て食べ比べさせようという作戦か名古屋人め!!!

そんな名古屋にあって、店名や商品名で争うことなく平和に展開している奇跡の名古屋めしがあります。

それが、名古屋名物「台湾ラーメン」。
味仙本店 - 元祖名古屋名物台湾ラーメンの中国台湾料理店

なんか国とか地方とかの単位が逆になってるっていうか、ずいぶん無茶していませんかっていう感じがしてしまいますが、元々は中華料理店「味仙」を営む台湾出身の店主がまかない用に作っていた激辛ラーメンを台湾ラーメンとして店に出したところ好評で、その味に病みつきになった人が「私の店でもこの台湾ラーメンを作りたいんですが、いいですか?」と聞くと「いいよー」とあっさり承諾する味仙店主、という流れで台湾ラーメンを出す店が名古屋にどんどん増えていつしか名古屋名物になったのだとか。

そのため台湾に行ってもこの台湾ラーメンは存在せず、日本の味仙が起源になっている正真正銘の名古屋名物なのだそうです。

台湾ラーメンを他店が真似することに何のケチもつけない味仙の店主、名古屋名物として台湾ラーメンという名前と味を受け入れる名古屋人。
なんと良い話なのだろうと感動すると同時に、山本屋の争い・鯱の争いのエピソードを思い起こして、そのギャップに思わず笑ってしまいます。面白いよ名古屋!

さて、その台湾ラーメンの味仙に僕も行ったことがあるのですが、メニューはこんな感じでした。
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そこでビックリしたのは、台湾ラーメン(アメリカン)という商品。

名古屋名物の台湾ラーメンのアメリカン。

名古屋名物、台湾ラーメン、アメリカン。

…グローバル化しすぎ!(笑)
麺に国境線を練り込んでるんですか、っていうくらいメルカトル図法を無視したネーミングに爆笑。

いちおう後で調べて分かったネーミングの理由なのですが、台湾ラーメンは大量の唐辛子を使った激辛味で、その辛さを薄く抑えたマイルド版をアメリカンと呼んでいるのだそうです。薄くマイルドに抑えたものをアメリカンと呼ぶ語法はアメリカンコーヒーから来た和製英語なのですが、それを台湾ラーメンに応用してしまうとは、恐ろしき言葉のセンス!

名古屋名物の言葉の争い、面白すぎますてー。

ちなみに、この記事を書いたきっかけは、最近こちらの記事を読んだからです。
bakazee.hatenablog.com
watto.hatenablog.com

たしかに関東には、台湾ラーメンを知らない人も多いですよね。
でも僕、こないだセブンイレブンのご当地ラーメンシリーズで台湾ラーメンを見ましたし、今日は台湾ラーメンのカップ麺が売られているのを見たんです!
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この夏、もしかして、全国的に台湾ラーメンのブームが来るんじゃないでしょうか。
暑い夏に激辛の台湾ラーメンブーム、来そうだよなあ。。
コンビニで売られているチルドタイプやカップ麺タイプもいいですが、一応、味仙が出してる本商品もリンク貼っておきますね。

おまけ

ちなみに、僕が数年前まで住んでいた東京の田無市にも、おかしなネーミングのお店がありました。
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「PARIS吉祥寺本店」

東京に詳しくない方のためにも説明しておくと、吉祥寺というのは東京都武蔵野市の中にある地名です。東京都田無市とは無関係です。

「PARIS吉祥寺本店」

この店は、田無という洒落っ気のない街に現れたパリだと言いたいのか。それとも、東京でも比較的お洒落感のある吉祥寺だと言いたいのか。それにしても本店とはいったい何を意味するのか。

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田無市にあるPARIS吉祥寺本店は閉店してしまったため、謎は謎のまま、僕らは田無をあとにしたのでした。

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