ドイツのメルケル首相は英国に対し、欧州連合(EU)離脱に関して幻想を抱かないようにとくぎを刺した。英国の離脱選択後初のEU首脳会議を前に発言した。会議にはキャメロン英首相も出席する。

  メルケル首相は28日ドイツ連邦議会で演説。英国はEU離脱後の特別待遇を期待することはできないとし、英政府が離脱を正式申請する前に新たな関係について非公式に協議することもないと言明した。

  「今回のような場合、EUの協定が定める条件にいかなる誤解もあってはならない。英国の友人たちに対する私の唯一のアドバイスは、下さなければならない決断について幻想を抱くな、というものだ」と語った。

  EU加盟国首脳はこの日から2日間の日程でブリュッセルに集まり、英国の離脱を話し合う。このサミットに臨む独政府の姿勢を説明したメルケル首相に議員らは喝采した。

  離脱の「交渉でいいとこ取りは絶対に起こり得ない。EUの一員であることを望む国と望まない国との間には明白な違いがなければならず、そうなるだろう」とも首相は断言した。

  メルケル首相の演説と時を同じくして欧州議会では、「どうしてここにいるんだ?」とユンケル欧州委員長が離脱派の旗手のファラージュ英国独立党党首を詰問する一幕もあった。

  既に辞意表明しているキャメロン英首相はEU加盟国首脳らとの居心地の悪い最後の晩餐を控え、「英国はEUを離脱するが、そのプロセスと結果ができる限り建設的なものになることを望むと説明するつもりだ。EUを離脱はするが欧州に背を向けてはならないのだから」とブリュッセルで語った。

  
原題:Merkel Tells Cameron Before EU Summit: Don’t Delude Yourself (2)(抜粋)