2年目を迎えた2人のトリプルスリー打者が明暗を分けている。ヤクルトの山田哲人(23)は、脅威のハイペースで量産している25本塁打だけでなく、打率、打点、得点、盗塁、出塁率の6部門でセ・リーグトップに立つ。一方、ソフトバンクの柳田悠岐(27)は、打率が3割に乗らずにリーグ9位。本塁打も10本と、打球が上がらない。出塁率の.451だけはリーグトップだが、昨年は.413あった得点圏打率が.288と低迷。チャンスでの勝負強さも失われつつある。開幕前に「40本、40盗塁」の“40-40”を宣言したのは柳田だったが、皮肉にもその“40-40”にまい進しているのは、山田の方だ。
なぜ2人は、ここまで明暗を分けたのか。
柳田が、昨季のような数字をクリアできていない理由は、いくつか考えられる。
昨年オフに右肘の手術をしたにも関わらず、チーム事情からセンターでスタメン出場を続けた影響。同時に開幕から日本記録を作るほどの執拗な四球攻撃でバッティングを狂わせられた。データを見てみると、激しい徹底マークで、対右投手に対する外角真ん中、対左投手の外角低め、対左投手の内角真ん中の打率が今季は極端に下がっている。対角に攻められウイークポイントをあぶりだされているのだ。特に日ハムの対チーム打率が、昨季の.323から.200に落ちた。
昨年は4割以上を打った有原、メンドーサに対しては、今季はまだノーヒット。オリックスの松葉に対しても打率は.000のままである。昨年はカモにしていたロッテの涌井にも打率.231、0本、0打点と抑えられるなど、これまでやられていた投手が柳田対策に成功している。
しかも、本塁打をのぞく打球が、ヒットになる確率を示すセイバーメトリクスのBABIPという数値が、昨年の.402から.354に下がっている(それでも通常以上の数字だが)。つまり柳田の特徴である驚愕の打球の速さで抜けていく打球も減っているのである。
元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、セ、パの投手力の差を指摘する。
「柳田も山田もトリプルスリーをやった後の今年はデータを洗い直されて徹底してマークされることになるのは当然のこと。では、そのデータ通りのピッチングができるか否かの投手の能力を見ていくと、交流戦の結果で明らかなように、パの投手の方が勝っている。それも各球団にエース級だけでなく、複数の投手が揃っている。そういう環境の中で戦う柳田が数字を落とすのはある意味、無理もないのかもしれない。山田と柳田の明暗理由は、セ、パの投手能力の差による相関関係にあると思う」
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