ロンドン市長「移民を受け入れないと日本のように経済停滞する」
ロンドン市長ボリス・ジョンソンと舛添都知事(写真:Motoo Naka/アフロ)
ユネスコへの拠出見直し問題にどんな読者コメントがついているのだろうなあと英紙ガーディアンのサイトに行ってみると、当該記事にはコメントがついていなかった。が、全く関係のない日本関連記事に3百以上もコメントがついていた。
訪日して日本の小学生とラグビーでタッチダウン。などというほのぼのとした話題を提供していたロンドン市長ボリス・ジョンソンが、その裏側で「移民を入れない国は日本みたいに経済が停滞する」と警告を発していたという。
この記事についているコメントのほとんどは日本に関するものではなかったが(どこの国の人も他国の例から自分の国について考えてしまうもののようだ)、しかし以下のようなものも見られた。
保守党では、キャメロン首相の次の党首をめぐるリーダーたちの争いが始まっており、テレーザ・メイ内務相などは党大会でほとんど排外的と言ってもいいスピーチを行って「あれは右すぎ」と党内のリベラル派にドン引きされている。が、難民・移民問題を受けて、UKIPや、それ以上に過激な右翼政党が活気づいている英国では、「よく言った」の声を飛ばしている人々も少なくない。
保守党の次の党首の大本命はオズボーン財務相と言われているが、ボリス・ジョンソンも候補の一人と言われており、保守派テレグラフに執筆した記事の中で保守党内の右傾化する陣営を批判している。
ボリス・ジョンソンは、オックスフォード大学の悪名高きブリンドン・クラブ(超一流の上流階級の子弟が集う社交クラブ)のリーダーだった人で、同期のキャメロン首相のほうが実は隅っこにいる目立たないメンバーだったという。キャメロンは他のメンバーたちと外で大暴れするより自室でザ・スミスなどのレコードを聴くのが好きなオタクだったというドラマを見たことがある。現在の英国は、こうした超トップエリートたちによって運営されている。だからこそ労働党の新党首ジェレミー・コービンは、「地べたの現実を知らない一部のエスタブリッシュメントだけが国民の運命を決める社会はおかしい」と主張して人々の心を掴んだのだ。が、いくらコービンが出て来たって社会が夢のように一晩で変わるわけはない。保守党の党大会の会場周辺でデモを行った左派の人々が保守党員に生卵をぶつけたりしている映像を見ていると、これもまた「あまりに単純な怒りの矛先の一本化」と指摘されてもしかたのない材料を提供していると思う。
「きちんと機能してくれる一貫性のある野党」
が切実に、世の中が殺伐とするほど求められている。
それはたぶん英国だけの話ではないだろう。