【6月28日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は27日、欧州連合(EU)からの離脱を選択した英国民投票後初の公務として訪れた北アイルランドで自身の健康について尋ねられ「私はまだ生きています」と返答した。

 この数日間、英国では国民投票でEU離脱派が勝利し、首相が辞意を表明し、それらを受けて過去30年間で最低のポンド安を記録し、サッカーではイングランドがアイスランドに衝撃的な敗北を喫した。

 こうした事態を目にした後にエリザベス女王は英統治下の北アイルランド訪問を開始したが、2日間の日程に含まれた北アイルランド自治政府高官らとの会見には、かつて反英テロ活動を展開したカトリック系過激組織アイルランド共和軍(IRA)の司令官だったマーティン・マクギネス(Martin McGuinness)自治政府副首相も出席した。

 テレビ中継された会見で、マクギネス氏が「こんにちは、お元気ですか?」と述べ、握手をしようと女王に手を差し出すと、女王は握手に応じて笑いながら「私はまだ生きてますよ、ええ」と返した。

 さらに女王は「このところ、私たちは大変忙しくしていますね。極めて色々なことがあります」と語った。女王の発言が英国の政治情勢に関することだったのか、最近2回あった90歳の誕生日祝賀行事を指したのかは定かではない。

 EUからの離脱を選択するという、英国内の地域関係を緊張させる衝撃的な結果が出た国民投票について、エリザベス女王は声明を発表していない。国民投票では北アイルランドとスコットランドでEU残留派が上回った一方、イングランドとウェールズで離脱派が上回り、総計では離脱派が52%だった。

 一方、マクギネス氏が所属する北アイルランドのカトリック系民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)は、北アイルランドが英国から離脱してアイルランド共和国と合流することを望んでおり、ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)をめぐる国民投票後もすぐに統一アイルランドをめぐる投票の実現を呼び掛けた。

 女王とマクギネス氏は非公開で会談を行ったが、国民投票についての話が出たかとの質問に対し「私たちは多くのことを議論したが、どれもあなた方に申し上げるつもりはない」と述べた。(c)AFP