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Fate/only thistle 作者:たつ
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それは、そこにあるだけで

勢いで書いちゃいました(テヘペロ)
三月、冬木市街の一角。
突如として七人の魔術師が行方不明となる。
それは、新たなる聖杯戦争の幕開けだった。


「ここは、どこだ?」
弦岡総士は起床してまずそうつぶやいた。
立ち寄ったコンビニの自動ドアが開いたあたりから記憶がない。
どうやら民家の一室のようだが、ここは……
「気付かれましたか、マスター。」
見知らぬ若い女性がこちらを見てそう言った。
軍服姿の若い西洋人女性。
どういう状況だかさっぱりわからない。
総士は言いようのない不安に苛まれた。なにか、自分の知らない間になにかが進行しているような、いつの間にかもうもどれない所まで足を踏み込んでしまっているような。
そんな不安を感じとったのか、女性はおもむろに口を開いた。
「マスターは、『聖杯戦争』というものを知っていますか?」

聖杯戦争ーーそれは究極の願望器『聖杯』を手にいれるための儀式のことだ。
七人のマスターによって召喚された七騎のサーヴァントによる殺し合い。
しかしそれは、もうすでに終わったはずだった。一人の未熟な魔術師と、とある騎士王によって。
事実、総士はその調査のために『プロフェッサー』によって時計塔から派遣されてきたのだった。
しかし、それが今、起こっているのだという。

「正確には並行世界の冬木の聖杯戦争にマスターもろとも召喚されたのですが……まあ大体そんなところです。」
聖杯戦争であることに変わりはないらしい……。
まじまじと右手の甲をみる。そこには刻印が刻まれていた。
令呪。サーヴァントをしばるための刻印。
つまり、自分がマスターであるという事の証だった。
そして、サーヴァントは……。
目の前の女性が
「アーチャーのサーヴァント、リュドミラ=パヴリチェンコです。ミラ、とお呼びください。」

聖杯戦争のルールは事前に教えこまれていた。しかし、平行世界であるからか、少しだけ異なっていた。
一つ目、マスター全員が覚醒し、ルール説明が終了した瞬間が正式な開始となる。
二つ目、相手のサーヴァントを倒すと『聖杯のかけら』を手にいれることができる。全て収集することで聖杯を呼び出すことができる。また、サーヴァントが相手に倒された時、もっている『聖杯のかけら』を一つ相手に渡すことで消滅を防ぐことができる。
三つ目、『聖杯のかけら』を全て失うと、サーヴァントは消滅する。
四つ目、マスターは拠点一つを『城』とすることができる。また、その敷地内には自サーヴァント、同盟を結んだマスターのサーヴァント、敵対サーヴァント一騎のみがいることができる。城主のマスターにサーヴァントがいなくなる、もしくはマスターが死亡した場合、『城』指定は解かれる。
五つ目、マスター同士で同盟を結ぶことができる。最大二名。どちらかがもう一方に攻撃した場合、同盟決裂となる。なお、『城』内では同盟者に攻撃することはできない。

以上が異なっていたルールだった。
総士の場合はこの民家が『城』となる。
当分はここにとどまることにした。
水道もガスも電気も通っている。食料もある。誰の家かは知らないが、主人はいない。ありがたく使わせてもらおう。
「あら、もうお昼ですね。」
ミラは壁にある時計を見ながらそう言った。
言われてみると、お腹がへってきた総士はとりあえず腹ごしらえをすることにした。
「腹がへっては戦はできぬ、とは日本の言い伝えですが、聖杯戦争でもいえることでしょう。これからの方針でも話し合いながら、交流を深めるのもまた一興でしょうし。」
「そうですね!そうしましょう。」
同意がとれたところで、台所に行く。
野菜や肉類はなかったため、今回はインスタントカレーということになった。交流を深めるのにインスタントはどうなんだとも思ったが。どうしようもないので仕方がない。
皿に盛ると食欲をそそるいい香りがしてくる。空いた腹には少々刺激が強い。
テーブルに座ると、きちんと『いただきます』をしてから食べる。
「(うまい。)」
「(おいしい。)」
「(インスタントもバカにできんな。)」
「(インスタントもバカにできませんね)」
かつかつ、はむはむ、ぺろり。
……。
「「(はっ!)」」
ようやく当初の『交流を深める』という目的を思い出した。
どちらも恥ずかしさで顔を赤く染めながらの、たどたどしい交流が始まる。
「そ、そういえば、マスターのお名前をお聴きしていませんでした。」
総士もそのことを思い出して、きまずそうに言った。
「あ、はい。申し遅れました。ぼくは魔術協会の魔術師もどき、弦岡総士です。これから、どうぞよろしく。」
「ええ、よろしくお願いします。その……よろしければ『タメ口』で会話させていただいてもよろしいでしょうか?もちろんマスターも……。」
「ああ、そういうことだったら全然。」
「では、そうさせてもらいます。……改めて、よろしく、マスター。」
ミラはそう言って手をさしだした。
総士はその手を握り返した。
「こちらこそよろしく、ミラ」


「マスター。」
「ん、ミラ、どうかした?」
「いや。ただちょっと質問があって。」
「ん、なんでもどうぞ。」
「じゃ、じゃあ聞くけど……」
次に続く質問は、とても単純な、それでいて大きな意味を持つものだった。聖杯戦争における、最も重要な質問。
「マスターには、なにか聖杯に願いたいことがあるの?」
それに対する返答は
「あるよ。」
単純にして当たり前の答えだった。
「あたりまえだろ。ぼくはそのためにこの冬木……あの冬木を訪れたんだから。逆に、なんでそんなこと聞いたんだ?」
「それは……だってマスターは落ちつきすぎだから。普通はもう少し取り乱すものだと思うの。さっきだって、いきなり、腹ごしらえだ、とかいいだすし。マスターは本当に現状を理解してるの?」
「おいおい、最初っからきついねミラは。まぁ君の言いたいこともわかるよ。でもね、ぼくはそれ以上に冷静でありたいと思う。なにが起こるかわからないけれど、折角チャンスができたのなら、それを逃がさないように少しでも頭で考えなくっちゃ。」
まあ、あんまりなにかが浮かぶわけでもないけどね、と締めく
くった。
その答えに、ミラは心底安心したように微笑んだ。
「じゃあ今度はぼくが聞くけど――」
総士がミラに聞きかえそうとしたとき、総士の右手の甲にある令呪が赤く点滅しはじめた。
「これはっ!」
総士はミラに視線をむける。
「ええ、この光は合図。」
いつになく張りつめた空気を身に纏い、言った。
「聖杯戦争が、正式に開始されたことの。」


魔術師たちの様々な思惑が交錯するこの戦いは、エゴイズムのぶつかりあいだ。
望みを叶えるため、名を上げるため、理由は数あれど、それらの願いを潰すため、彼らは互いに潰しあう。
生よりも願望を、死よりも殺しを、他人よりも己を。
聖杯戦争は、ここに開幕した。
「最近全然更新しない癖にこんなもん書いて大丈夫なのか?」って神様が言ってる。
ごもっともです。

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