全国17都府県のコンビニのATMで現金約18億円が一斉に引き出された事件で、顧客カードの情報が流出した南アフリカの銀行のシステムが不正アクセスに遭い、引き出しの直前にプログラムが誤作動を起こしていたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。
警察当局は国内外の犯罪組織が協力し、ハッキングでシステム異常を起こした上で、一斉に犯行に及んだとみて南ア当局と情報交換をしながら捜査を進めている。
捜査関係者によると、引き出しには南アのスタンダード銀行発行の顧客カード情報が入った偽造カードが使われた。引き出しが行われた5月15日早朝の約3時間、同銀行のシステムには出金を承認した形跡がなかった。ハッキングで誤作動を引き起こして承認させた後、形跡を消去した可能性があるという。
偽造カードの作成では、同銀行から流出した約3千件の個人情報が悪用されたことが既に判明。警察当局は犯行グループが事前に偽造カードを用意するため、個人情報もハッキングで不正に入手した可能性が高いとみている。
事件を巡っては、各地で現金引き出し役の「出し子」や指示役が窃盗容疑などで逮捕されている。警察当局は高度なハッキングの技術を持つ海外の犯罪組織と連携し、国内の暴力団や振り込め詐欺グループが関与したとみて全容解明を急ぐ。