論説
新年度を迎へる神政連 参院選と憲法改正に全力を
平成28年06月27日付
2面
神道政治連盟の中央委員会が六月十四日に神社本庁で開催され、これまでの事業の報告並びに決算、平成二十八年度の活動方針案と事業計画案など六議案が承認された。とくに今年は現行憲法が公布されてから七十年を迎へることもあって、「国家と国民を律する大本となる憲法の速やかな改正の実現」を目指すことを最重点に挙げ、そのためにもこれまで以上に重要な意味を持つ第二十四回参議院議員通常選挙において「改憲に必要な勢力の確保を目指し、組織を挙げて取り組んでゆく」ことを確認し合ふ大事な会議となった。
長曽我部延昭会長からは、現行憲法の改正を目指して国民を啓発し、理解を求める先導的役割を神政連が担っていかねばならないとの覚悟が述べられ、また来賓の田中恆清神社本庁総長からは、「神政連は利益誘導団体ではない。国の根幹に関はる問題を正していくところにその使命がある」との宮﨑義敬前会長の言を引用しつつ、さまざまな雑音に決して負けずに信念を貫いてほしい旨の激励があった。
○ 中央委員会の前日夕刻には、都内ホテルで神政連国会議員懇談会の総会並びに都道府県本部との合同懇談会も開催された。自由民主党の安倍晋三総裁はじめ多くの国会議員が出席したが、とくに安倍総裁からは、サミットに参集した全首脳による伊勢の神宮への表敬訪問や、今春、神武天皇二千六百年式年大祭が斎行された橿原神宮に自身が参拝したことなどにも触れつつ挨拶があった。
さらに中央委員会終了後には、神政連が参院選の比例代表(全国区)で推薦してゐる前国務大臣・山谷えり子議員を「励ます会」もおこなはれた。山谷議員はすでに参議院議員を二期務め、安倍内閣では国家公安委員会委員長、拉致問題担当、海洋政策・領土問題担当、内閣府特命担当大臣(防災)など国の根幹に関はる案件の国務大臣として活躍した実績を有し、安倍首相の信頼も厚い。神政連としては、今後も組織を挙げて支援をしていかなければならない。
○ 参院選に向けては、すでに各政党が選挙公約を発表してゐるが、なかでも憲法改正に関しては、自民党、「おおさか維新の会」、「日本のこころを大切にする党」の三党が改正を目指すと明記。今回、選挙協力を約した民進党と共産党は相変はらず護憲姿勢を取ってをり、公明党は記載なしだ。
最大野党の民進党はこれまで、岡田克也代表が「安倍政権の下での改憲論議には応じない」などと繰り返し発言してきた。選挙用ポスターでも「まず、2/3をとらせないこと」などといふ標語を使ひ、改憲勢力の拡大阻止を目標に掲げてゐる。それでも党内には現実的な改憲派も存在することから、九条改正には明確に反対しつつも、「時代の変化に対応した未来指向の憲法を国民とともに構想します」などと選挙公約に記してゐる。
今回、自民党は「各党との連携を図り、あわせて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指します」との公約に留め置いたが、共産党を除く他の野党との合意を目指し、参院選後には憲法審査会を再開して改憲事項の具体化と絞り込みの検討を開始する方針だ。与党の非改選の議員と合はせ、三分の二の改憲勢力の確保を目指して戦ってほしい。それは決して不可能な数ではないのだ。
○ 今年の神政連中央委員会では、最後に任期満了にともなふ役員の改選がおこなはれ、これまで二期六年間に亙って重任を果たしてきた長曽我部会長が退任し、替はって打田文博幹事長が新たに会長に就任することとなった。七月一日から打田会長のもと新体制で活動を開始する神政連の今後の活躍を大いに期待したい。
参院選は六月二十二日に公示され、七月十日に投票がおこなはれる。新体制は発足早々から参院選とその後の政局への対応に臨まなければならない。また今回の参院選からは、新たに十八歳以上の有権者およそ二百四十万人が投票に参加することになる。これらの若い人たちに対する啓発も重要となってくるであらう。
わが国を取り巻く国際情勢もこのところますます厳しさを増してをり前途多難ではあるが、神政連が国会議員や関係団体と密接に連携・協力しつつ、所期の目的を達成することを願って已まない。
平成二十八年六月二十七日
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