トップ > 愛知 > 6月28日の記事一覧 > 記事
愛知“老舗”ピカデリーが閉館 名駅の映画館統廃合、6月末で
名駅地区で“老舗”の看板を掲げてきた「ピカデリー」(名古屋中村区名駅四)が、隣接地で七月十五日にオープンするシネマコンプレックス(複合型映画館)、「ミッドランドスクエアシネマ2」との統廃合のため、今月末で閉館する。簡素なスクリーンと、世代を選ばない作品上映で「街の映画館」として親しまれた。特別なセレモニーはせず、三十日夜の上映後、静かに幕を下ろす。 運営する中日本興業(同)によると、ピカデリーのルーツは、ともに一九五七年開館の「アロハ劇場」「セントラル劇場」までさかのぼる。それぞれ八八年の改称で「ピカデリー1」「2」になった。 ピカデリーは、ロンドンの有名なエンターテインメント街にある通りの名前だ。同社で四十年、映画部門に携わる原田克己常務は「同じ松竹系だった東京の『丸の内ピカデリー』にあやかる意味もあった」と明かす。 センチュリー豊田ビル二階にある現在のピカデリー(二スクリーン、四百四十二席)は二〇〇三年開館の「ピカデリー5」「6」が前身。当時のピカデリーは全六スクリーン、計千五百席の規模を誇った。だが〇七年にシネコン「ミッドランドスクエアシネマ」が完成。三年後、経営効率化で1〜4は閉鎖となり、今回、最後に残った二館も「一定の役割を終えた」(同社)と判断された。
休日最後の営業となった二十六日、閉館を惜しむファンらが足を運んだ。十年前から毎月一回、家事の合間に映画を楽しんだ熱田区の主婦(47)は「作品選択が『落ち着いた』感じで、自分にあっていた。あの座席で時を過ごすのも最後と思うと残念」と語った。 最終上映は、日本警察史上最大の不祥事といわれる事件を基にした「日本で一番悪い奴ら」とマイケル・ダグラス主演の「追撃者」。 閉館行事をしない理由を、「閉館とはいえ、新しいスクリーンへバトンを渡すためなので」と原田常務。最後につぶやくように付け足した。「三十年近く慣れ親しんだ看板。そりゃあやっぱり、少し寂しいですよ」 (安藤孝憲、中川知也) PR情報
|
|
Search | 検索