稀勢の里、先代師匠・隆の里と同じ30歳で綱とり決める

2016年6月28日6時0分  スポーツ報知
  • 柔和な表情で取材に応じた稀勢の里
  • 土俵入りをする横綱・隆の里

 日本相撲協会は27日、大相撲名古屋場所(7月10日初日・愛知県体育館)の新番付を発表した。東大関の稀勢の里(29)=田子ノ浦=は愛知・長久手市の宿舎で会見。先代師匠の故・鳴戸親方(元来月10日初日横綱・隆の里)や父・貞彦さん(70)が“大器晩成”と評した大関は、30歳で臨む名古屋で4度目の綱取りに挑む。新関脇の魁聖(29)=友綱=、栃ノ心(28)=春日野=、また稀勢の里と同期入門で新入幕の北はり磨(29)=山響=も宿舎で会見した。

 稀勢の里の表情には自信がみなぎっていた。先代師匠は83年名古屋場所後に30歳9か月で横綱昇進。自身も7月3日に30歳の誕生日を迎え、同じ状況で4度目の綱取りに挑む。報道陣にそのことを問われると「しっかりね。なんとかそういう気持ちでいますよね」。穏やかな口調の中に、先代の足跡をなぞる決意がみなぎっていた。

 “大器晩成”の系譜を持つ。「相撲界入った時から師匠に言われてましたね。僕はよく分からないですけど」。本人は首をかしげるが、父・貞彦さんも50代で脱サラし独立。その父は「周りと比較して晩成型ということ。昔なら体が動く最大は25歳くらいだったけど今は30歳とか32歳。これからですよ」と三十路(みそじ)での昇進に期待をかける。

 同じく晩成型だった先代の指導が今の稀勢の里を形作る。「僕の全てはそれでできている」。中学卒業後15歳で角界入りしてから食事の取り方、着物の着方、畳の上での振る舞い方まで。「10年間そういうふうに指導してもらったので。全てがそういうふうになっているから」。教えは体の奥深くまで染みついている。

 綱取りの条件として横綱審議委員会が示すのは14勝以上の優勝。「やることは変わらない。特別、今場所違うことをやるわけじゃない。いつも通りにやれれば一番いい」。先代の教えを胸に、無冠の大器が悲願達成に挑む。(秦 雄太郎)

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