これは、ごく当たり前のこと
「約束がまったく違う」
「やっぱりあいつらは信用できない」
M&Aされた企業関係者からしばしば聞かれる言葉です。
先日の行われたシャープの株主総会でも鴻海がリストラするという噂に対しても同様の声が出ていると聞きます。確かに、鴻海はシャープを買収する前は「リストラしない」とアピールをしていました。こうした事前の約束はどこまで信じていいものでしょうか。今回はこの問題について考えてみたいと思います。
まず、結論から言って、買収・投資実行後の運営についての事前の約束はあくまでも「努力目標」であり、反故にされる可能性は常にあると捉えるべきです。とりわけ片方の業績が極端に悪く、もう片方が支援するタイプのM&Aでは一層その可能性は高くなります。
第一の理由は、どれだけ事前に調べても、相手企業の内情を100%知ることは不可能だからです。直感的に言えば、会社の真実の姿を100とすれば、買収交渉前のデューデリジェンス(会社の資産などあらゆる側面を評価するプロセス)時点で理解できる内容は、30にも満たないというところでしょう。
買収する側にとっては、蓋を開けてみないとわからないことが相当あるのが普通で、その結果として「事前に約束した内容を変更せざるを得ない」という事態に至ることは、ごく当たり前のこととして起きるわけです。
もちろん、「高い買い物をしたと後で文句を言われても困る。約束は約束。守ってもらわなければ困る」と相手に言いたくなる気持ちも理解できないわけではありません。しかし、契約の段階で「どんな状況になっても約束は守る。破った場合は●●のペナルティがある」といった条項があるならば、恐くて買収する気になれないでしょう。その結果、だれも救済の手をさしのべてくれないとすれば、買収される側にとっても、賢い選択とは言えません。
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