ジャンプにおける『ハンターハンター』の連載再開は、待ち望んでいた読者の期待を裏切ることなく、熱狂を持って迎えられたようだ。
王位継承を巡る争いはクラピカだけでなく、クロロ、そしてヒソカまでをも巻き込む様相を見せ、先の読めぬ展開に目が離せない。
ヤングアニマルにおいては『ベルセルク』が、半年ぶりの連載再開。アニメとゲームも控えていて、こちらも熱い。
どちらの漫画も、そう遠くない未来にふたたび休載に入ることを、ほとんどの読者が察していて、にもかかわらずそれを受け入れているところが、おかしくも切ない。
待ってはいるけど待ちきれない
連載、というからには、毎週、もしくは毎月、といった掲載誌の刊行のタイミングにあわせて定期で読めるべきなのだが、漫画の連載とは過酷な仕事だ。それぞれの作家が事情を抱えていて、休載を挟まざるをえないことになる作品は少なくない。
そこで再開が切望されている作品の中から、私が個人的に厳選して三作、挙げてみることにしよう。
第三位は……
『バガボンド』!(井上雄彦)
最新刊の37巻がでたのは2014年の7月。私が忠犬のごとく「待て」の期間に入ってから、まもなく三年目に入る。単行本をだすためには、あと二話分ほど必要という。
物語は佐々木小次郎との決闘を残すのみといえる。最大のライバルとの大一番を残しての「待て」は、かなりきつい。
井上先生は伊勢神宮に墨絵を奉納するなど、漫画家という範疇にとどまらない活動を展開されている。「待て」の私は、なかなか「よし」の声を聞けそうにない。
つづいて第二位……
『REAL』!(井上雄彦)
また井上作品かよ! と怒らないでほしい。
困難に立ち向かう者への、いや、困難から逃げようとする者たちをも対象にしたエールが、心に深く染みるのである。
「きみは、おれだ」
何度となく、そう感じた。
最新刊の14巻がでたのは2014年の12月。「待て」の期間は、バガボンドほどではないが、一年半になる。
さあ、栄えある(?)第一位は……
『スラムダンク』!(井上雄彦)
えっ、予想どおりのボケだって? うーん、精進します……。
スラムダンクは休載というか、「第一部完」という扱いで最終刊を終えているので、「第二部」の開始を期待してもいいじゃないかという思いで選出。
現実味がないのは、わかっている。だが、『あれから10日後』という作品でその後のエピソードをちらりと見せていただけたように、ちょっとしたファンサービスレベルのものなら、あるかもしれない。ないかもしれない。たぶん、ない。
第一部完、の31巻がでたのは1996年。第二部に備えて「待て」をしている者がいるとするなら、その期間は20年にもなる。
個人的には、以下に示す「完全版」に、「単行本」にあったおまけページを加えた「真・完全版」みたいなものがあったらいいのにと考えている。キャラたちの気の抜けたオフショットも、スラムダンクの魅力の一つだった。
私が井上作品の大ファンなのは事実なのだが、このままでは、これがふざけた記事だという扱いを受けてしまいそうだ。なので、井上作品を除く、という注釈のもと、連載の再開を熱望している漫画作品を、あらためて三つ、挙げておくとしよう。
・その1
『働きマン』(安野モヨコ)
先日まで、松田奈緒子先生の『重版出来!』のドラマ版が放映されていて、世間一般の評価は知らないが、漫画家ウケはかなりよかったように思う。
そして私は、おなじくドラマ化もされたこの作品のことをたびたび思いだしていた。漫画業界だけでなく、出版業界、といったふうに舞台をすこし広げているが、書物を作ることにかける人たちの情熱に、共感したり、切なくなったり、感謝したり。
最新刊の4巻がでたのが2007年8月。「待て」の期間はもうすぐ9年、もうあきらめてはいるのだが、松方さんの奮闘が、また見たい。
・その2
『NANA』(矢沢あい)
最新刊の21巻がでたのが2009年。「待て」期間は7年になる。
コミックス派なので知らなかったのだが、聞くところによると、22巻をだせるだけの話数(四話)はすでに「クッキー」に掲載済みなのだという。
ということは私は、すでに世にでている四話を、すでに世にでているにもかかわらず、チェックできずにいるということなのだ。
22巻をださないことに事情はあるのだろうが、このもどかしさを、なんとかしてほしい……。
・その3
『よつばと』(あずまきよひこ)
13巻を読むことはできないのだろうと、私はもうあきらめて…………、あっ、よつばと、でてたんだった! 12巻の発売から2年9カ月の「待て」を経た去年の末頃に!
私が気づいたのは、三カ月ほど経ってからだった。作風に影響され、のんびりまったり待つことに、なれていたのかもしれない……。
待たされるのをよしとはしたくないが、待ったかいがあった、と「待て」の期間にも意味があったように感じてしまう私は、ハチ公なみの忠犬である。
みなさんもそれぞれに、再開を切望している作品があることだろう。
好きな作品だと、毎週、毎月しっかり掲載されていても、その一週間、一カ月が待ちきれなかったりする。完結してからこの作品と出会いたかった、なんて思ったこともある。
作家をせかすことはできない。
ファンはただ、待つのみである。
休載はしませんよ(いまのところ)
ゆる四コマ『ペットボトルくん』の時間です。
その29
更新が待ちきれない、と「待て」状態の読者を抱える書き手に、私もなりたし。