文/岡本亮輔(北海道大学准教授)
外国人が褒める国ニッポン?
スーパーカブで旅するアメリカ人、宮本武蔵を愛するメキシコ人、ハンコ好きのフランス人――テレビ東京が日本に来る面白い外国人たちを映し続けている。
『YOUは何しに日本へ?』や『世界!ニッポン行きたい人応援団』はおそらく訪日外国人の激増をうけて企画された番組だろう。
2015年、訪日外国人は1974万人と過去最高を更新した。2015年度とすれば2000万人の大台を超えている。彼らのほとんどが訪れる東京のテレビ局としては、やって当然の番組だ。『和風総本家』でも、日本に興味のある外国人や海外メディアを招待する企画がしばしば放映されている。
まさか、わらじ作りに魅了されるハンガリー人や盆栽用ジョウロ作りを極めたいイタリア人がいるとは想像もしなかった。日本人には何ともないものが外国人には素晴らしく見えるというギャップはたしかに面白い。
同じようなことは一般の観光でも見られる。ホストに変哲のないものを目当てに多くのゲストがやって来る。その結果、ホストが自分たちの生きる場所や歴史をとらえ直して誇りを持つというプロセスだ。
観光研究には、ホストの人々の認識変化と地域プライドの獲得を観光がもたらす良い変容として論じる立場がある。さらに、こうした変容を通じて、深い異文化理解や他者理解に到達するという学級委員的な意見もある。政府の観光立国推進基本計画では「国際相互理解の増進」が目標の一つに掲げられており、国策的な意見と言っても良いだろう。
一方、こうした番組に対して日本礼賛番組という批判的な見方があるのも分かる。「外国人が褒めているのだから日本は良い国だ」というメッセージが読み取れなくもない。
しかし、より重大なミスリーディングは映し出される外国人の国籍だ。
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