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【英EU離脱の衝撃(4)】
「何が起こるか分からない世界に入り込んだ」 リーマン・ショック級の影響回避へ全力
東京・霞が関の経済産業省。会合を終えた三菱重工業の宮永俊一社長は懸念の色を隠さなかった。
「できる限り事業環境が損なわれない形で(交渉を)していただくことを願っている」
前週末の国民投票で英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、経産省は27日、トヨタ自動車や日産自動車、日立製作所など英国に拠点を置く大手企業を招き、意見交換会を行った。ただ、現時点で世界の実体経済に及ぼす悪影響の深刻度はまだ読み切れない。経団連の根本勝則常務理事は「離脱の条件がまだわかっておらず、不確実性の高いことが懸念要素。対応もこれからだ」と打ち明けた。
今後、英国がEUに離脱を正式に通告しても、その後2年間は現状を維持できる。EUは、英国と包括的な経済・貿易協定を結ぶ方向で検討に入った。ただ、離脱にはいくつものステップがあり、将来の事業環境を見通すのは困難だ。新たな協定で英国に対するEUの規制や関税が見直されれば、進出企業の事業にも影響が出る恐れがある。
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